援助要請の具体

「援助要請スキル」について、「なんとなくイメージはできるけれど、具体的にはどのようなものがあるのでしょうか?」と聞かれることがあります。そこで、いくつかの具体例をご紹介します。

家族への援助要請(情緒的・基盤的サポート)

  • 情緒的・受容的要請: 「今日いやなことがあった」「悲しかった」と、感情をそのままアウトプットし、共感や慰めを求める。 
  • 生活・環境調整の要請: 「学校に行きたくない」「朝になると、体が動かない」といった、登校や生活リズムに関する切実な限界を訴える。 
  • 物理的・資源的要請: 忘れ物を届けてもらう、必要な文房具を買ってもらうなど、学習を支える物理的なリソースを求める。 

先生への援助要請(道具的・解決的サポート)

  • 学習に関する要請: 「解き方が分からない」「ヒントがほしい」など、学習上の行き詰まりを解決するための情報を求める。 
  • 環境調整の要請(合理的配慮): 「音がうるさくて集中できない」「席を替えてほしい」「時間内に終わらないので課題の量を減らしてほしい」など、バリアを取り除くための交渉を行う。 
  • 安全確保・対人関係に関する要請: 「トラブルに巻き込まれた」「いじめられている」など、自分の力では及ばない対人関係の解決や安全の保障を求める。 
  • 承認・確認の要請: 「これで合っているか?」「このまま進めてよいか?」という、見通しを立てるための確認を行う。 

友だちへの援助要請(共生的・社会的サポート)

  • 協働的要請: 「一緒にやって」「ここを教えて」「半分持って」など、作業を分担してもらいながら、協働でゴールを目指すための協力要請を行う。 
  • モデル(見本)の要請: 「ノート見せて」「どうやったか見せて」と、同年代のモデルを参考にすることで、自分の立ち位置を確認する。 
  • 社会的確認の要請: 「みんなはそう思わない?」「みんなはどうしてる?」と、集団の中での「正解」や「安心」を確認する。 
  • 遊び・余暇の共有: 「いれて」「一緒に遊ぼう」という、集団への所属を求める要請を行う。 
我々支援者が子どもの「援助要請をキャッチ」し、支援を行う際に、以下のような視点で「今、この子はどのカテゴリーの、どんな助けを求めているのか」について捉え直してみると、具体的支援が見えやすくなります。例を挙げてみましょう。

  • 家族に言うべきこと(情緒)を先生にぶつけてしまっていないか? 
  • 先生に言うべきこと(環境調整)を友だちに求めてトラブルになっていないか? 
  • 友だちに言うべきこと(協力)を一人で抱え込んで孤立していないか? 

このように整理してみることで、「援助要請=依存」という狭い解釈から、「援助要請=生きるための多層的なコミュニケーション」という豊かな捉え方へと我々の認識をリフレーミングすることができるのではないか、そう私は考えています。
参考文献:『援助を求める力』を大切にする支援(阿部利彦編著/中央法規出版社,2025)
https://www.chuohoki.co.jp/site/g/g82430282/?srsltid=AfmBOooWnaoBwZ2iMRn5XgWY1QDgeadbErXx-1BvM7vlWcigclSMuL51
前の記事はこちら
https://h-navi.jp/column/article/35030991
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