【大人の発達特性】在宅から週5日出社へ。双極性障害の私が環境の変化を乗り越えた大切な「マイルール」

ライター:くろまる
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出典 : http://amanaimages.com/info/infoRF.aspx?SearchKey=10018001004

都内で猫と一緒に暮らしているくろまるです。幼少期から発達の凸凹があり生きづらさを感じていて、大学時代に双極性障害(双極症)を発症。ひきこもりと就労移行支援の利用を経て就職し、現在は自立訓練(生活訓練)事業所の支援員をしています。今回は新しい場所に慣れるまでの取り組みを紹介します。実は最近転職して大きく環境が変わったので、今実際に工夫したことを書いていきます。

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監修: 鈴木直光
筑波こどものこころクリニック院長
1959年東京都生まれ。1985年秋田大学医学部卒。在学中YMCAキャンプリーダーで初めて自閉症児に出会う。同年東京医科歯科大学小児科入局。 1987〜88年、瀬川小児神経学クリニックで自閉症と神経学を学び、栃木県県南健康福祉センターの発達相談で数々の発達障がい児と出会う。2011年、茨城県つくば市に筑波こどものこころクリニック開院。

まず不安の明確化から

私はこの4月に転職して、今原稿を書いている段階で2ヶ月たちました。その間に欠席や早退はなく、業務や人間関係も問題なく過ごせています。ただ、それはさまざまな工夫のおかげだとも感じています。なんといっても環境の変化には弱いので。これまでも新しい場所への適応には苦労してきました。

というわけで、大きな環境の変化へ私なりに意識したこと、工夫したことを紹介していきます。

不安の明確化

まず行ったのは不安の明確化です。これまで私はフリーランスのWebライターとして活動していました。基本は在宅勤務です。それが4月からは通所型の事業所の支援員として、週5日フルタイムで決まった時間に働くことになりました。非常に大きな変化です。

この変化に対して不安なことを書き出してみたところ、
  • 生活リズム(起床就寝時間、遅刻しないか、体調を崩さないか、テンションが上下しないか)
  • 人間関係(社員との関係、利用者さんとの関係、無理に合わせていないか)
  • 業務関係(ブランク、前の職場との違い、ミスが怖い)
が挙がりました。上から不安が強い順です。

ちょっと意外でしたが、生活リズムが変わることに一番強く不安を感じました。それに人間関係と業務は入社してみないと分からないため、まずは入社前に生活リズムについて取り組んでいきました。

ちなみに、不安の書き出しはすぐに綺麗にまとまったわけではなく、「起きられるか」「遅刻しないか」など感じたことを自由に書き出してから、それを項目ごとに分類する形で整理していきました。

採用が決まってから入社日まで2週間くらい期間があったので、その間に不安の明確化と準備ができたこと自体がいい工夫だったなと今振り返って思います。

起きる時間を一定にする

生活リズムが一番になったのは、変化への対応が苦手なことと、生活リズムが崩れることによる体調の影響を考えたからです。私は変化が大きいと変にテンションが上がり、それが続くと躁状態に至る可能性もあります。一度躁状態になるとコントロールが効かなくなるので、なんとしても防ぐ必要があると考えています。

そこで決めたのは「起きる時間を変えない」こと。新しい職場は勤務時間は一定ですが、シフト制で土曜勤務もあります。また、最初の月は本社での研修、別事業所での研修、配属先での業務と行く場所がコロコロ変わりました。
そういった状況でも「起きる時間を変えない」ことにしました。一番遠い場所に合わせて起きる時間を設定したうえ、休日も同じ時間に起きるようにしました。近い場所に行く日はもう少し眠ることができるかもしれませんが、それよりも私は「変わらないもの」の確保を優先しました。

これはかなり効果がありました。「明日は何時に起きるんだっけ」「アラームの設定間違えていないかな」などを考えることがなくなり、心の負担がかなり軽減されました。

ほかにも「変わらないもの」を確保した

また、毎日家を出る時間にその日の出勤場所の通知が来るように設定しておきました。予定表が配られてすぐに設定しておいたので、当日慌てて確認することがなくなり、こちらも心の負荷を減らす効果がありました。

近い職場には当然早く着くのですが、その場合はカフェに寄ってゆっくりしていました。そのカフェもチェーン店を選び、どの職場に行くにも同系列の店に入っていました。お金を使いますし遠回りになることもありましたが、必要経費だったと思っています。

人から見て「非効率」だとしても、私にとっての「変えないもの」を確保するとかなり心に余裕ができるようです。

「これだけやる」を決めた

人間関係と業務については「これだけはやる」ということを決めました。

「やらないこと」を決めるという方法も試した経験がありますが、それだと「さぼっている」という感覚になってしまうんですよね。「やらないこと」を明文化すると、それに意識が奪われてしまうというか、後ろめたさを感じてしまいます。この辺は性格なのでしょうか。なので、気になることはたくさんあっても、とにかく「これだけはやる」ことに絞って決めていきました。

具体的に決めたのは「顔と名前を覚える」ことです。スタッフと利用者さん合わせて一つの事業所で30〜40人います。配属先だけでなく研修先でも覚える必要があり、さらに本社の人も覚えるので、かなりの人数に及びます。だからこそ、しっかりと顔と名前を覚えようと決めました。

福祉の現場では利用者さんを支援するのはもちろん、同じ現場のチームで支援するのが基本だからです。支援するにしても相談するにしても、直接顔を合わせて話をします。だからこそ顔と名前を覚えるのが一番重要だと考えました。

「お弁当をつくる」ことも対策の一つ

それと「お弁当をつくる」こともしました。これはちょっと変化球ですね。でもちゃんと理由があります。まずお昼の時間に悩みたくないということ。場所によってランチ事情は全然違っていて、お店がなかったりすごく混んでいたり。そこで日々考えるというのが私にとっては負担になります。

それに加えて人付き合いを減らすという意図もありました。お弁当を持っていくことで、同僚と「ランチに行く」「一緒にご飯を買いに行く」といった機会を自然に減らすことができました。

人付き合いが嫌というわけではなく、今は突発的に人と関わる余裕がないからです。お弁当を作ったおかげで、食べるものの選択や突発的な人付き合いを減らし、昼休みも「変化がない時間」にすることができました。これも体調安定に一役買っていると感じています。
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「変わらないもの」の確保が安定のコツ

書いていて、私にとっては「変わらないもの」をどれだけ確保できるかが重要だなと感じました。客観的に非効率的だとしても、自分にとっての「変わらないもの」があると、多少何かあっても心に余裕を持って対応することができるようになります。

ちなみに、記憶力と料理は自分の得意分野なので対策に盛り込みました。そういう意味ではあらかじめ自分のことを知っておいて良かったなと感じています。

今回書いたような対策をしたことで、転職してから2ヶ月経った今も順調に勤務できています。もちろんすべてうまくいったわけではなく、大きな困難もありましたが、それは別途対応しました。そのこともまたどこかで書きたいと思います。

執筆/くろまる

専門家コメント 鈴木直光先生(小児科医)

起きる時間を一定にしたことはとても良いことだと思います。人はリズムが乱れると感情のコントロールが難しくなり、イライラしやすくなる傾向があります。ことサーカディアンリズム(概日リズム)に関しては、一定に保つことが重要なのです。起きて朝陽を浴びることで人の視交叉上核にある体内時計がリセットされ、15時間後には眠くなるというシステムが人にはあるからです。睡眠を促すホルモンのメラトニンは生後4ヶ月後になると松果体から分泌されます。一般的に、メラトニンシャワーの出る2歳までに、規則正しいサーカディアンリズムに整えていくことが理想的だと言われています。メラトニンは光によって抑制されるので夜更かしして光を浴びていると脳が目覚めてしまい、結果、寝付けなくなり、朝起きるのが遅くなるという負のスパイラルに陥りやすくなります。くろまるさんが実践されたように、生活リズムを一定にすることで、人間関係や業務関係もスムーズになりうるのです。(監修:小児科医 鈴木直光先生)
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https://h-navi.jp/column/article/35031013
(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。

※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
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このコラムのコメント2件
yokkoさん
2026/06/27 10:44
とても参考になりました。やることを決めて、それだけをきっちりやるという方法、自分でも試してみたいと思います。
もんすさん
2026/06/20 16:51
「やらないことを決める」ではなく、「これだけはやるを決める」というのには、共感しました!
自分も同じ特性を持っていますが、最近職場でとうとう行き詰まって、その発想に行き当たりました。
少しずつですが、改善の兆しは見えてきています。
その後のお知らせ、楽しみに待ってます。

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