【発達障害と進路選択】小学生で診断、不登校・勉強嫌いな娘と中1から焦らず進めた高校選びを振り返って

ライター:ゆたかちひろ
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大阪で暮らすアラフィフのおばちゃん、ゆたかちひろです。私自身、ADHD(注意欠如多動症)の診断を受けています。2026年現在、長男と次女はADHD(注意欠如多動症)とASD(自閉スペクトラム症)です。次女は小学生の時に診断を受けましたが、そこでまず考えたのは、ずっとずっと先の進路のことでした。

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監修: 初川久美子
臨床心理士・公認心理師
東京都公立学校スクールカウンセラー/発達研修ユニットみつばち
臨床心理士・公認心理師。早稲田大学大学院人間科学研究科修了。在学中よりスクールカウンセリングを学び、臨床心理士資格取得後よりスクールカウンセラーとして勤務。児童精神科医の三木崇弘とともに「発達研修ユニットみつばち」を結成し、教員向け・保護者向け・専門家向け研修・講演講師も行っている。都内公立教育相談室にて教育相談員兼務。

発達障害の診断を受けて、進路について考える

小学生の頃にASD(自閉スペクトラム症)/ADHD(注意欠如多動症)の診断を受けた次女。診断を受けてまず真っ先に考えたのは進路のことでした。「勉強が嫌い」と言う次女の進路がすんなり決まっていくとは思えなかったのです。

今後は配慮や支援も必要なら受けられるほうが良いのでは?と思い、まず中学受験を勧めてみました。準備すればまだ間に合いそうな時期だったのもあり、通える範囲にあって、面白いカリキュラムのある学校などを勧めてみましたが……「友だちと離れるのはイヤ」と一蹴されてしまいました(笑)。
「友だちと離れるのはイヤ」と一蹴!
「友だちと離れるのはイヤ」と一蹴!
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いろいろと調べて提案したものの、本人は見もしませんでした!悲しい!中学受験は無理そうだなとあきらめて、次は進学予定の地元中学への根回しです。

一時期、学校に行くのを嫌がるほど苦手な同級生男子がいました。ちょっとしたことで喧嘩してしまうため、なるべく接触しないよう避けていても、話しかけられることが多く、結果言い争いに発展してしまうのです。

そこで、中学ではクラスを離してもらえるよう小学校からの引き継ぎをお願いしました。さらに、兄姉が通っていてPTA活動もしていた関係で中学の校長先生に直接ご相談し、「そういった配慮はいつ頃、誰にお願いをすれば良いか」のアドバイスをもらいました。そうした準備を重ねて、ひとまず地元中学へは楽しく通えるようになりました。もっとも、2年生で担任の先生が変わったことがきっかけで、不登校になったんですけどね。

中学校では課題が「学校へ行くこと」に

中学2年生の頃から「学校へは行ける日にはなるべく行く」ぐらいの時期もあり、そのまま3年生になっても提出物がしっかりとは出せていないし、テストの点数も下から数えたほうが早いぐらいでした。

自分が興味のない勉強にはまったく努力ができない次女ですが、興味のある内容の時だけは妙に点数が良くなります(笑)。中学校に入ってからはずっとそういった感じで、わが家の3人兄妹の中でも成績はかなり低いほうでした。不登校気味になった頃には家庭教師を探したりもしましたが、進学どころか「中学校へ行くこと」が課題になっていました。

そんな次女も、現在は中学3年生の受験生です。もしこの時期になってから慌てて進学の準備を始めていたら、きっと何もできなかったと思います。

実は、中学1年生の頃から少しずつ動いていました。兄や姉の後について大学のオープンキャンパスへ見学に行ったり、姉の進学先の候補としてあがっている高校の文化祭に連れ出したりして、高校や大学がどんな雰囲気かを見せていきました。本人が楽しそうにしていたのを見て、そこからやっと次女自身が興味を持ちそうな高校の文化祭へ。親からの押しつけ感が出ないよう気をつけながら、じわじわと「高校進学」が視野に入るように誘導していきました(笑)。
じわじわと「高校進学」が視野に入るように誘導して……
じわじわと「高校進学」が視野に入るように誘導して……
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進路の話は、押しつけないように気をつけながら

いろいろな進路を調べて見せ、少しずつ興味を持たせる中で、次女が特に目を輝かせていたのは大学内にある「3Dプリンター」や「ものづくり特化の工房」でした。

そこで、中学1年生の時に「ものづくりが学べる高校」の文化祭に遊びに行かないかと誘い、連れて行きました。そこは平均的な学力がないと入れない公立高校でしたが、ものづくりやデザイン、美術の専科コースがあることを知り、高校進学に興味を持ってくれたのです。

ただ、その高校へ行くには学力が足りないのですが、それでも本人には勉強を始める気配はありません。2年後の進路のために今から嫌いな勉強に取り組めるようなら、最初から苦労はしていませんよね……。
興味のあるものとの出合いも!
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学校に行けたり行けなかったり、という状況なので、成績的に入れなかった場合も考えて、専門学校や通信制高校の情報を調べたりもしました。今でこそ多様なサポート体制のある学校が増えているようですが、当時は家庭教師の先生から「通信制高校は自分のペースで進められる分、本人の学習意欲や自己管理がカギになる」と伺ったこともあり、伴走が必要な次女には向いていないかもしれないと、早々に選択肢から外していました。

また、PTAの活動のお手伝いで進学説明会に行った際には、ここぞとばかりに気になる学校の話を聞きました。次女が中学生の間はずっと、私一人で調べることが多かったです。

そうして集めた結果をちょこっとずつ共有し、「本人が卒業後の進路を意識してくれれば」ぐらいの距離感で、接していました。グイグイいってしまうと、「もう嫌だ!」と考えることすら投げてしまいそうな次女さんですからね。
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中学3年生にして、やっと!

そうやって適切な距離感を保ちつつも、小学校から小出しに進路を意識してもらえるように情報を渡し、いろいろな高校や大学へ連れて行き、進学に対してポジティブなイメージを伝え続けてきました。別に、高校に行けなかったとしても、本人が苦しい思いをしてまで無理に進学するよりは良いと思っています。ですがやっぱり、「その年齢、その時にしか体験できないこと」は大事だと思うのです。

実は私も、高校で不登校気味だった時期があります。高校の卒業式に単位取得が間に合わず、後日たった一人の卒業式をしてもらいました。それはそれで思い出ですが、友だちと一緒に、後輩にも来てもらって記念写真を撮って卒業!ということができなかったのは、やっぱり少し残念です。

だからこそ、進学説明会では次女が行けそうな偏差値の高校に対し、「発達障害の子に対する支援があるか」、「カリキュラムや設備はどうか」をいろいろな学校のブースで聞いて回ったのです。女子にとっては、制服が可愛いかどうかも大事なので、パンフレットもたくさんもらってきました。

そうしてついに、次女が興味を持ちそうで、しかも成績から考えても難しいわけではなく、少し頑張れば入れそうな高校をなんとか見つけました!
「その年齢、その時にしか体験できないこと」をしてほしい母の想いはあれど……
「その年齢、その時にしか体験できないこと」をしてほしい母の想いはあれど……
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もし幼児の頃に特性が分かっていれば「もっといろいろな選択肢もあったのかなぁ」と、モヤモヤする思いもあるのですが、過ぎたことを言ってもしょうがないですもんね。支援が必要だと分かった時点から、先を見据えて頑張れたことをヨシとするしかないです!

逆に考えると、もし乳児の頃に分かっていたら、ここまで十数年ずっと気を張って頑張り続けることになって、もっと大変だったのかも?要は考え方一つですね(笑)。

執筆/ゆたかちひろ

専門家コメント 初川久美子先生(臨床心理士・公認心理師)

次女さんの進路についてのエピソードをありがとうございます。興味関心のあることならば頑張れるけれど、(興味関心のないことを)こつこつ頑張るのが苦手。意志ははっきりしていて、次女さんの良きタイミングではないときにあれこれと情報を伝えると一蹴される。そうした次女さんの特性や特徴をよく分かったうえで、進路についてじわりじわりと情報提供されてきたのだなと感じました。高校や大学の文化祭や公開に連れていくのはとても良かったですね。まずは興味関心を引くところから。情報収集が得意で、前もって作戦を練って動くことが得意であろうゆたかさんにとっては、次女さんの進路選択にあたっての道のりはだいぶ忍耐の時間が長かったことと思いますが、よくぞじっくり持久戦の構えで臨んでくださったと思います。

発達障害等のあるお子さんにとっての学校選択に関しては、一概に公立がいいとも私立がいいとも言えません。してほしい支援もお子さんによってさまざまであることもあり、説明会やその後の個別相談会等で問い合わせしていただくのがいいと思います。また、通信制高校は一人でこつこつ課題をこなして提出して単位を取得するイメージがありますが、今は校舎に登校して先生と一緒に課題に取り組める学校もあるなど、さまざまな特色を出している学校が増えました。

お子さんが高校(あるいは中学、大学)生活として、どんな日々を望んでいるのか(いわゆる青春したいといった感じか、勉強を頑張りたいのか、少人数がいい等)。また、特色あるカリキュラム(工業系など実技の学習が多いところ、毎日4時間程度の学習など無理のない時間割等)を望むか、普通科がよいか。パンフレットを取り寄せたり、説明会等に足を運んだりして、考えるための材料を仕入れてはお子さんと話し合うことを重ねながら、お子さんの希望に合う学校が見つかるとよいでしょう。(監修:臨床心理士・公認心理師 初川久美子先生)
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https://h-navi.jp/column/article/35031073
(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。

※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。

ADHD(注意欠如多動症)
注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。
ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
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