40年以上の「ずっと消えない不安」から脱出!?太極拳で手に入れた「安心」への切り替えスイッチ【ASD・ADHD・複雑性PTSD】

ライター:宇樹義子
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出典 : http://amanaimages.com/info/infoRF.aspx?SearchKey=10132005601

ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、複雑性PTSDのある私。最近太極拳を始めたことで、「モノに頼らず、自分で安心をつくれる」ようになりました。今回はこの、太極拳で「安心の自給自足」ができるようになったことについてお話します。

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監修: 鈴木直光
筑波こどものこころクリニック院長
1959年東京都生まれ。1985年秋田大学医学部卒。在学中YMCAキャンプリーダーで初めて自閉症児に出会う。同年東京医科歯科大学小児科入局。 1987〜88年、瀬川小児神経学クリニックで自閉症と神経学を学び、栃木県県南健康福祉センターの発達相談で数々の発達障がい児と出会う。2011年、茨城県つくば市に筑波こどものこころクリニック開院。

私の心身は常に「緊急事態」モード

私は最近までいつも、ちょっとした環境の刺激で心身の調子を崩すような不安定な状態でした。

何かのストレスでうまく眠れない。寒さ暑さで冷えたりのぼせたり、乾燥や湿気で肌が荒れたり。気圧で頭が痛くなったり、風の音で怖くなったり。

一般的な人なら「ちょっと嫌な感じだなあ」「ちょっと体調が悪いなあ」ぐらいで過ごせるところを、私は寝込んだりしてしまう。常に「警報が出ているような緊急事態」にいた、と言えるかもしれません。

だから私の毎日の生活は、「危険から身を守るためのグッズ」まみれになっていました。空調に服飾品にサプリに……お金はかさむし、グッズが増えていくばかりで不安がなくなるわけではない。

このままではいけないな、と思っていたところへ、私は以前から通ってみたかった太極拳教室に通い始めました。

太極拳との出合い

太極拳は、とても私に合っていたようです。教室のみんなと一緒に、ゆったりとした呼吸を保ちながら、ゆったりゆったりと動く。初めてレッスンを受けたとき、心身のざわざわがひと呼吸の間にスーッと静まっていくのを感じて感動しました。

まるで、緊急事態モードのスイッチがプツンと切れて、リラックスモードに切り替わったかのよう。これは私が持っていた知識としても納得できるもので、呼吸は自律神経のモードを自分自身でコントロールできる数少ないツールなのだそうです。

素早い動きが苦手で、速い動きだと思わず力んでしまったり、焦ったり劣等感を感じたりしてつらくなってしまいがちな私は、太極拳のゆったりしたリズムに救われました。

太極拳は、体幹のインナーマッスルをしっかり使い、体軸をまっすぐに保ち、重心をどっしりと安定させる運動です。私はみるみるうちに、脱力した状態でリラックスして歩けるようになりました。

身体が安心したら、心も安心した

不思議なことに、このように身体が安心・安定して動けるようになったら、同時に心も安心・安定していったのです。たぶん、歩くために緊張する必要がないから、注意を外界に向ける余裕ができるのですね。

気分転換のためには外を散歩しなさいとよくいいます。私は、外を歩くと気分転換ができるのは、リズミカルな軽い有酸素運動の効果と、内界から外界へ意識を切り替えることの効果によるものでは、と思っているのですが、太極拳を始めたことで「私は今までずっと、外を散歩していても足元しか見ていなかった」と気づきました!

突然、視界のいちばん遠くの空の色とか、ああ、あそこにああいうビルがあったんだ、とかが見えるようになって本当に驚きました。そして、その状態で歩いていると、5分でも歩いてるだけで、ビリビリするほど風景の美しさや季節の移ろいを感じて、すっかり幸せな気分になってしまうのです。

逆に、こんな気分の中で不安になろうといったって無理です(笑)。長いこと「一生消えないだろうな」と思っていた私の不安は、ほとんど消えてしまいました。
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安心がないなら、買うんじゃなくてつくればよかった

よく、起業系の人なんかが「ないならつくればいい」なんて言いますが、安心についても一部、同じことがいえるのかもしれません。

いくら「防具」を買い揃えたって、不安がなくなるわけじゃない。むしろ不安は固着し、大きくなっていくかもしれない。だったら、「丸腰」の自分の身体に安心をつくればいい。安心だって自給自足することができる ――これが、私が太極拳との出合いを通して学んだことでした。

安心をつくれる自分を信頼し、それを包む世界を信頼する

私は今、太極拳を通して初めて自分でつくり出すことのできた「リラックスモード」を手に、安全で安心に包まれた日々へと歩き出しています。

執筆/宇樹義子

専門家コメント 鈴木直光先生(小児科医)

太極拳の型が自分に合った心のストレス解消法だったわけで、いい出会いだったと思います。心と身体の両方の安定が重要です。太極拳を通して仲間もできたのではないかと思います。自分が強くなることで安心感が生まれます。そして身体を動かすことで疲れ、よい睡眠にもつながります。また、気圧や寒暖差による自律神経の乱れも太極拳をやることで整ってきたことも功を奏したと考えられます。継続することが大切ですね。(監修:小児科医 鈴木直光先生)
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https://h-navi.jp/column/article/35031074
(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

知的発達症
知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
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