天災を極度に恐れた息子が「わが家の防災担当」へ大変身!見通せない不安との向き合い方は?中2息子との歩み

ライター:メイ
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こんにちは。メイです。
息子のトールは現在中学2年生。ASD(自閉スペクトラム症)とADHD(注意欠如多動症)の診断を受けています。
今回はトールがよく癇癪やパニックを起こしていた幼少期から小学生の頃の話と、中2の現在についてお話ししようと思います。

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監修: 藤井明子
小児科専門医
小児神経専門医
てんかん専門医
子どものこころ専門医
どんぐり発達クリニック院長
東京女子医科大学大学院修了。東京女子医科大学病院、長崎県立子ども医療福祉センターで研鑽を積み、2019年よりさくらキッズくりにっく院長に就任。2024年より、どんぐり発達クリニック院長、育心会児童発達部門統括医師に就任。お子様の個性を大切にしながら、親御さんの子育ての悩みにも寄り添う診療を行っている。 3人の子どもを育児中である。

根気強さが引き金に?幼少期の激しい癇癪

トールはまだ未就園児の頃、よく癇癪を起こしていました。公園や児童館から帰るのを嫌がったり、スーパーでおやつのコーナーから離そうとすると怒ったり、自分のやりたいことを制限されることをとても嫌がりました。
遊ぶときは1人で黙々と取り組むことが多く、「やりたいのに上手くできないから癇癪を起こす」ということはなく、上手くできなくても自分がやりたいことにじっくりと向き合っている姿をよく目にしました。そのときのトールの集中力や取り組む姿勢は本当にすごいなと、感心していました。
やりたいことに向き合っているときの集中力や取り組む姿勢は本当にすごい
やりたいことに向き合っているときの集中力や取り組む姿勢は本当にすごい
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やりたいことに没頭し、根気強いところは長所ではあるのですが、それが激しい癇癪に繋がっていた面もあるように感じます。
一度泣き出したら何十分でも泣き続ける姿を見ていると、焦りや苛立ちを感じるのと同時に、「なぜこんなに長い時間ずっと泣き続けられるんだろう」と純粋に不思議に思ったこともありました。

「未知への不安」から天災を極度に恐れた小学校低学年

トールが幼稚園から小学校低学年の頃は、未知のことに大きな不安を感じてパニックになり、大泣きするということがよくありました。
未就園児の頃のような、「やりたいことを制限されて癇癪を起こす」ということはほとんどなくなっていました。言葉の発達とともに、順序立てて説明されることで、トール自身が見通しを持てるようになり納得できるようになったからだと思います。

この頃は、特性上、いつ起こるか予測が立ちにくいからか、大雨や台風、地震などの「天災」をとても怖がるようになりました。幼稚園には徒歩で通っていたのですが、風の強い日に大泣きしながら帰宅したこともありました。
風の強い日に大泣きしながら帰宅したことも
風の強い日に大泣きしながら帰宅したことも
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そんな風に、急な出来事でパニックになったときは、どうしたら安全に過ごせるかを自宅でもトールと話すようにしていましたが、それでも「もしも突然何かが起こったら」という不安な気持ちが拭えず、安心することはできなかったようです。
自宅では、緊急時にスマートフォンから鳴るアラートの音もとても嫌がっていたので、音が鳴らないように設定し、テレビの速報が出たときもすぐにTVを消すように心がけていました。

怖いからこそ仕組みを知りたい!高学年で見せた「防災担当」への大変身

このように、パニックを起こす天災などの情報はできるだけトールの目に入らないように気をつけていたのですが、小学校高学年になった頃に、トールは防災のTV番組をチェックするようになるなど、自分から進んで情報を取りにいくようになっていきました。天災を恐れていること自体は変わりませんが、その上で「知って対策していこう」という方向に気持ちが切り替わったようでした。
防災関連のTV番組をチェックするように
防災関連のTV番組をチェックするように
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最初は、「こんな番組を見てまたパニックにならないかな?大丈夫かな?」と心配していたのですが、親の心配をよそにどんどん防災関連情報に詳しくなっていきました。いま家族の中で1番防災に対して意識が高いのがトールです。彼なりに『正しく怖がり、対策を知る』ことで、先の見通しを立てて安心したかったのかもしれません。
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中2の今、見通しの立たない「公共の場」での焦りとどう付き合うか

中学2年生になった現在、やはり未知のこと、見通しの立ちにくいことには強いストレスを感じているようです。
「どうなるか分からない」という状態がとても苦手で、先日も電車が遅延していつ来るのか分からないという状況で、トールはとてもイライラしていました。遅延していても何分後に電車が来るのかの目安が分かれば安心できるのですが、そのときは何時に来るか分からず、「ちゃんと家に帰れるのか」「何時に帰れるのか」と不安になったようで、駅という公共の場であるにもかかわらず苛立ちを隠せない様子でした。

癇癪もなくなり、パニックになることも年齢とともに減ってきているのですが、やはりまだ気持ちが大きく崩れることはあるようです。
中学生になって身体も大きくなっているので、公共の場でイライラしたり怒っている様子を見せると、周囲に誤解されてトール自身が困ったり、損をしたりしてしまう可能性があるため、マナーだけでなく安全上の観点からもあまり良くないことを話し、スマートフォンや本を見て気持ちをそらさせたり、イライラする気持ちを口に出すのではなくノートに書いてみることを提案するなど、一緒に対策を考えて実行するようにしています。
イライラする気持ちを口に出すのではなくノートに書いてみる
イライラする気持ちを口に出すのではなくノートに書いてみる
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これまでもたくさん悩んだりしてきましたが、その時々でなんとか一緒に乗り越えてやってきたので、現在の悩みもきっと乗り越えられるときがくると信じて、トールがなるべく安心して過ごせるように試行錯誤していきたいです。
執筆/メイ

専門家コメント 藤井明子先生(小児科医)

コラムを拝読し、メイさんがトールさんの成長を信じ、焦らず見守る姿勢がとても印象的でした。見通しの立たないことへの不安や、それに伴う癇癪は、発達外来でもよくご相談を受ける内容です。不安が強いときには、無理に乗り越えようとするのではなく、不安の引き金になるものから適度に距離を取りながら、少しずつ「予想外のことがあっても大丈夫だった」という成功体験を積み重ねていくことが大切です。また、不安だったことやイライラした場面、その時の気持ちをノートに書き出して振り返ることで、自分の気持ちを客観的に整理し、特性との付き合い方を見つけるヒントになることもあります。すぐに解決するものではありませんが、一歩ずつ成長を積み重ねていく大切さを改めて感じる、素敵なコラムをありがとうございました。(監修:小児科医 藤井明子先生)
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https://h-navi.jp/column/article/35031126
(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。

ADHD(注意欠如多動症)
注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。
ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
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