グレーゾーン特有の困りごとと、就学後によくある落とし穴。必要な支援とは?【橋本 創一先生(東京学芸大学)講演レポート】
ライター:発達ナビ【編集部Eye】
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2026年6月18日から3日間、パシフィコ横浜ノースにて「第122回日本精神神経学会学術総会」が開催され、『軽度知的障害・境界知能の実態と支援を考える』と題したシンポジウムが開かれました。今回は、橋本 創一先生(東京学芸大学)による「学校教育における境界知能(BFI)の児童の支援ニーズの検討」の講演の紹介です。
1クラスに3〜4人?見過ごされがちな「支援のニーズ」
現在、学校現場において特別支援教育の対象となる子どもは年々増加しており、全体の約7.3%にのぼります。さらに、2022年の文部科学省の調査では、通常の学級に在籍する「発達障害などの疑いがある子ども」が8.8%いることが分かっています。これらを合わせると、1クラス(約30人)の中に、個別支援を必要とする子どもが平均して3〜4人はいる計算になります。しかし、担任の先生が1人で全員に個別対応をするのは非常に困難なのが現状です。その中で、特に支援から「こぼれ落ちてしまいがち」なのが、境界知能(IQ70〜84・85程度)の子どもたちです。
知能検査(WISCなど)の統計上、境界知能に該当する人は約14%いるとされています(※日本の環境においてはさらに多い可能性も指摘されています)。しかし、学校現場では「通級指導」を受けるためのIQ基準(85や90以上)を満たせず、かつ知的障害の基準(70未満)にも該当しないため、十分な支援対象に入れないケースが多発しています。
知能検査(WISCなど)の統計上、境界知能に該当する人は約14%いるとされています(※日本の環境においてはさらに多い可能性も指摘されています)。しかし、学校現場では「通級指導」を受けるためのIQ基準(85や90以上)を満たせず、かつ知的障害の基準(70未満)にも該当しないため、十分な支援対象に入れないケースが多発しています。
「ある時は黒、ある時は白」オセロのようなグレーゾーン
境界知能の子どもたちの特徴を理解する上で非常に分かりやすいのが、筑波大学 名誉教授の宮本 信也先生による「オセロのように、ある時は黒、ある時は白」という表現です。
境界知能の子どもたちは、「すべてができない」わけではありません。例えば、「数と計算」や、簡単な漢字の読みはできるが、 「書く」こと、割合や比例などの「数量関係(応用)」、起承転結のある作文などができないなどです。
「これはできるのに、あれはできない」というむらがあるため、学校の先生も親御さんも「もう少し頑張ればできるはず」「この学年の教科書についていけている」と誤解してしまいがちです。しかし、実際には抽象的な概念の理解やワーキングメモリ(情報を一時的に記憶して処理する能力)、手先の器用さなどに弱さを抱えており、見えないところで大きくつまずいていることが多いといいます。
境界知能の子どもたちは、「すべてができない」わけではありません。例えば、「数と計算」や、簡単な漢字の読みはできるが、 「書く」こと、割合や比例などの「数量関係(応用)」、起承転結のある作文などができないなどです。
「これはできるのに、あれはできない」というむらがあるため、学校の先生も親御さんも「もう少し頑張ればできるはず」「この学年の教科書についていけている」と誤解してしまいがちです。しかし、実際には抽象的な概念の理解やワーキングメモリ(情報を一時的に記憶して処理する能力)、手先の器用さなどに弱さを抱えており、見えないところで大きくつまずいていることが多いといいます。
発達障害(ASD/ADHD)の併発と「支援ニーズ」の違い
境界知能の診断や支援において重要なのは、「他の障害(ASDやADHD)を併発しているかどうか」で、子どもが抱える一番の困りごと(主訴)が変わるという点です。
「勉強についていけない」のか、「集団行動や気持ちのコントロールでつまずいている」のか。子どもが持っている特性を丁寧に吟味し、支援の的を絞ることが大切です。
- ●境界知能のみ(または軽度知的障害のみ)の場合: 時間の管理、理解力の低さ、作文の苦手さなど、「学習面」での困りごとが中心になります。
- ●ASDやADHDを併発している場合: 興味の偏り、癇癪(かんしゃく)、感覚過敏、切り替えの悪さなど、「行動・情緒面や対人関係」での困りごとが前面に出やすくなります。
「勉強についていけない」のか、「集団行動や気持ちのコントロールでつまずいている」のか。子どもが持っている特性を丁寧に吟味し、支援の的を絞ることが大切です。
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