学校に相談。先生は把握していたけれど、根本的な解決には至らず……
家族で話し合ったとき、夫が息子にこう言いました。
「これは親としては見過ごせないよ。このままだと、君が傷つき続けるのを受け入れることになってしまう。先生に相談してみよう」
息子はしぶしぶでしたが、学校に伝えることを承諾しました。
私から先生に連絡しました。
先生は、状況をある程度把握しているようでした。
「はい、現場は見ております。注意もして、その場ではやめているのですが、すべてに目が行き届いているわけではなく……。申し訳ありません。もっと注意して見るようにします」
先生は謝ってくださいましたし、気にかけてくださっていたのだと思います。
ただ、先生からはこんな言葉もありました。
「一度、もう息子さんが学校に来なくなるのではと思ったことがあったのですが、翌日来ていて、強いなと思いました」
その言葉を聞いたとき、私は複雑な気持ちになりました。
息子が翌日も学校に行ったことは、確かにすごいことだったのかもしれません。でも、だからといって、その状況を本人の“強さ”で乗り越えさせていいわけではないのではないか。
そう思いました。
その後も学校側は対応しようとしてくれていたのだと思います。けれど、実際には相手の子の態度が大きく変わることはなかったようです。
「これは親としては見過ごせないよ。このままだと、君が傷つき続けるのを受け入れることになってしまう。先生に相談してみよう」
息子はしぶしぶでしたが、学校に伝えることを承諾しました。
私から先生に連絡しました。
先生は、状況をある程度把握しているようでした。
「はい、現場は見ております。注意もして、その場ではやめているのですが、すべてに目が行き届いているわけではなく……。申し訳ありません。もっと注意して見るようにします」
先生は謝ってくださいましたし、気にかけてくださっていたのだと思います。
ただ、先生からはこんな言葉もありました。
「一度、もう息子さんが学校に来なくなるのではと思ったことがあったのですが、翌日来ていて、強いなと思いました」
その言葉を聞いたとき、私は複雑な気持ちになりました。
息子が翌日も学校に行ったことは、確かにすごいことだったのかもしれません。でも、だからといって、その状況を本人の“強さ”で乗り越えさせていいわけではないのではないか。
そう思いました。
その後も学校側は対応しようとしてくれていたのだと思います。けれど、実際には相手の子の態度が大きく変わることはなかったようです。
「嫌なら休もう」と伝えながら、卒業まで過ごした日々
その後、わが家では息子に「なるべく関わらないようにしよう」「嫌だったら学校を休んでいいよ」と伝えながら、5年生、6年生を過ごしました。
息子がこのことで学校を休んだのは、1回だけでした。
ある日、「今日はどうしても嫌だ」と言ったので休ませました。翌日、息子は特に何事もなかったように学校へ行き、帰ってきました。
その切り替えの早さに助けられた面もあります。
けれど同時に、息子の切り替えの早さが、周囲に「大丈夫そう」と思わせてしまった面もあったのかもしれません。
結局卒業まで、このような状況が続きました。
息子とその同級生は中学で別になり、もう会うこともありません。今は物理的に距離ができたことで、問題は終わったように見えます。
でも、私の中には今も、「あれでよかったのだろうか」という思いが残っています。
学校にもっと強く伝えるべきだったのか。
相手の保護者にも伝えてもらうよう、もっとお願いすべきだったのか。
息子が嫌がっても、もっと早く介入すべきだったのか。
それとも、本人の気持ちを尊重して、あの対応でよかったのか。
今でもはっきりとした答えは出ていません。
ただひとつ思うのは、息子が学校に行けているからといって、困っていないとは限らないということです。
発達特性のある子の中には、自分のつらさをうまく言葉にできなかったり、その場では受け流してしまったりする子もいるのだと思います。息子も、嫌なことがあってもすぐ切り替えられる一方で、その分、周囲からは困りが見えにくかったのかもしれません。
結果的に、息子が耐えることで終わってしまった友だちトラブルでした。
それが息子にとってどれほど負担だったのか、親である私にもいまだに分かりきれません。
もしこれから同じようなことがあったら、もう少し早く、具体的に状況を聞き取っていきたいです。
そして、本人の気持ちを大切にしながらも、必要なときには大人が一緒に動くことをためらわないようにしたいと思っています。
イラスト/マミヤ
エピソード参考/もも
息子がこのことで学校を休んだのは、1回だけでした。
ある日、「今日はどうしても嫌だ」と言ったので休ませました。翌日、息子は特に何事もなかったように学校へ行き、帰ってきました。
その切り替えの早さに助けられた面もあります。
けれど同時に、息子の切り替えの早さが、周囲に「大丈夫そう」と思わせてしまった面もあったのかもしれません。
結局卒業まで、このような状況が続きました。
息子とその同級生は中学で別になり、もう会うこともありません。今は物理的に距離ができたことで、問題は終わったように見えます。
でも、私の中には今も、「あれでよかったのだろうか」という思いが残っています。
学校にもっと強く伝えるべきだったのか。
相手の保護者にも伝えてもらうよう、もっとお願いすべきだったのか。
息子が嫌がっても、もっと早く介入すべきだったのか。
それとも、本人の気持ちを尊重して、あの対応でよかったのか。
今でもはっきりとした答えは出ていません。
ただひとつ思うのは、息子が学校に行けているからといって、困っていないとは限らないということです。
発達特性のある子の中には、自分のつらさをうまく言葉にできなかったり、その場では受け流してしまったりする子もいるのだと思います。息子も、嫌なことがあってもすぐ切り替えられる一方で、その分、周囲からは困りが見えにくかったのかもしれません。
結果的に、息子が耐えることで終わってしまった友だちトラブルでした。
それが息子にとってどれほど負担だったのか、親である私にもいまだに分かりきれません。
もしこれから同じようなことがあったら、もう少し早く、具体的に状況を聞き取っていきたいです。
そして、本人の気持ちを大切にしながらも、必要なときには大人が一緒に動くことをためらわないようにしたいと思っています。
イラスト/マミヤ
エピソード参考/もも
専門家コメント 室伏佑香先生(小児科医)
息子さんにとっても、ご家族にとっても、本当につらいご経験でしたね。
ご本人が「先生には言わないでほしい」とお話しされているときに、親としてどこまで介入するのかは本当に難しいことですよね。本人の思いを聞きながら、それでも「あなたが傷つき続けることをそのままにはできない」と伝えた言葉には、ご両親の息子さんを守りたいという思いがあふれているように感じます。
問題そのものをすべて解決することはできなかったとしても、「困ったときには自分の味方になって、一緒に考えてくれる家族がいる」と感じられることは、お子さんにとってとても大きな支えだったのではないかと思います。そうした安心感は、これから先、困ったときに誰かに助けを求めたり、自分の気持ちを伝えたりする力にもつながっていくことと思います。(監修:小児科医 室伏佑香先生)
ご本人が「先生には言わないでほしい」とお話しされているときに、親としてどこまで介入するのかは本当に難しいことですよね。本人の思いを聞きながら、それでも「あなたが傷つき続けることをそのままにはできない」と伝えた言葉には、ご両親の息子さんを守りたいという思いがあふれているように感じます。
問題そのものをすべて解決することはできなかったとしても、「困ったときには自分の味方になって、一緒に考えてくれる家族がいる」と感じられることは、お子さんにとってとても大きな支えだったのではないかと思います。そうした安心感は、これから先、困ったときに誰かに助けを求めたり、自分の気持ちを伝えたりする力にもつながっていくことと思います。(監修:小児科医 室伏佑香先生)
(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。
神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
ADHD(注意欠如多動症)
注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。
ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。
神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
ADHD(注意欠如多動症)
注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。
ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
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