支援から漏れるグレーゾーン&早期診断による過剰支援…遺伝性疾患から学ぶ、適切なアセスメントとは【学会レポート1】
ライター:発達ナビ【編集部Eye】
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2026年6月27日から2日間、砂防会館にて「第135回日本小児精神神経学会」が開催され、『小児の発達と神経疾患(頭痛、てんかん、遺伝性疾患)』と題したシンポジウムが開かれました。今回は、柳橋 達彦先生(自治医科大学)による講演の紹介です。
本講演では、柳橋先生が長年携わってこられた遺伝外来での発達フォローやご家族からの相談事例をもとに、遺伝要因に伴う子どもの行動特性や、親の心理、そして医療的介入が及ぼす影響について、現場のリアルな視点から語られました。
特定の遺伝要因によって現れる「行動表現」
まず、特定の遺伝的要因によって現れやすい行動や発達のパターンである「行動表現型(Behavioral Phenotype)」についてのお話です。
例えば、プラダー・ウィリー症候群における過食や、ウィリアムズ症候群における高い社交性など、症候群ごとに特徴的な行動パターンが知られています。また、それだけでなく、多くの遺伝性疾患において自閉スペクトラム症(ASD)やADHD、知的障害などが高い確率で合併する(非特異的な行動表現型)ことも明らかになっています。
臨床の現場では、ASDやADHDの特性を複数持ち合わせているものの、明確な診断基準を満たさず診断がつかないケースもよくあります。柳橋先生は「『グレーゾーン』であっても、子どもたちが抱える臨床的な困難は明確に存在している。むしろ、グレーゾーンであることで必要な治療や支援から漏れてしまうリスクに注意が必要」と警鐘を鳴らしました。
例えば、プラダー・ウィリー症候群における過食や、ウィリアムズ症候群における高い社交性など、症候群ごとに特徴的な行動パターンが知られています。また、それだけでなく、多くの遺伝性疾患において自閉スペクトラム症(ASD)やADHD、知的障害などが高い確率で合併する(非特異的な行動表現型)ことも明らかになっています。
臨床の現場では、ASDやADHDの特性を複数持ち合わせているものの、明確な診断基準を満たさず診断がつかないケースもよくあります。柳橋先生は「『グレーゾーン』であっても、子どもたちが抱える臨床的な困難は明確に存在している。むしろ、グレーゾーンであることで必要な治療や支援から漏れてしまうリスクに注意が必要」と警鐘を鳴らしました。
親の心理的葛藤——罪悪感、ステレオタイプ、そして「否認」
遺伝性疾患や発達の遅れを指摘された際、親御さんが抱える独特の心理的葛藤についても考察がなされました。
終わりのない罪悪感と偏見
「妊娠中の自分の行動が悪かったのではないか」と、医学的な根拠のない罪悪感を何十年も抱え続ける親御さんは多くいます。
特性の単純化(ステレオタイプの過度な当てはめ)
「ダウン症は人懐っこい」「ウィリアムズ症候群は音楽の才能がある」といった一般化されたイメージを過度に当てはめ、その子自身の「個別性」を見落としてしまうケースです。
精神・知的発達の「否認」
心疾患などの「身体的な問題」にばかり目が向き、知的・精神面の発達については「普通であってほしい」という願いから、課題から目を背けてしまう(否認する)傾向です。
医療と支援が与える影響——「支援慣れ」と「情報過多」
早期発見・早期療育は重要ですが、それがもたらす思わぬ副作用についても実際の事例を交えて紹介されました。
1. 過剰な保護
乳幼児期に入退院を繰り返した子どもは、周囲から「守るべき存在」として扱われやすくなります。学校や家庭で過保護・過干渉な環境が続くと、子どもが自ら「試行錯誤して失敗する」経験が奪われ、自立心の育ちが阻害されてしまうことがあります。
2. 診断があることで見逃される別の特性(オーバーシャドウイング)
すでに「ダウン症」などの診断があることで、実は併発している「ASD(自閉スペクトラム症)」の特性が見落とされてしまう認知バイアス(オーバーシャドウイング)も指摘されました。これにより、その子に本当に合った環境調整(ルーティンの確立や1人時間の確保など)が遅れることがあります。
3. 出生前診断や早期診断による「情報バイアス」
現在では、生まれる前や症状が出る前に遺伝学的検査で診断がつく時代になりました。しかし、子どもの実際の姿を見る前に「病名」という情報が先行し、インターネット検索による情報過多に陥ることで、親の認知が固定化され、過剰な支援やドクターショッピング(診断をつけてくれる病院を探し回ること)に繋がるリスクがあります。
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