被災地支援15年で見えた学校現場のリアル。被災地における発達障害児の支援とは?【第73回日本小児保健協会学術集会レポート】
ライター:発達ナビ【編集部Eye】
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2026年6月19日から3日間、大阪市中央公会堂にて「第73回日本小児保健協会学術集会」が開催され、2日目である6月20日には『災害時の子ども支援を学ぶ・話す・つながるー発達に特性ある子どもと家族を支えるためにー』と題したシンポジウムが開かれました。
今回は、兵庫県立大学 看護学部 教授の古川 恵美先生による「中長期にわたる支援を通して見た被災直後の学校で必要な支援」の講演の紹介です。
環境変化への適応が難しい子どもたちと、疲弊する家族
東日本大震災の発生直後から現在に至るまで、宮城県気仙沼市の学校現場に入り、子どもたちや保護者、そして教職員に寄り添い続けてきた古川先生。発達障害の特性がある子どもたちが災害時に直面する困難や、家族を支えるペアレント・トレーニングの有用性、そして外部支援者として大切にすべき「伴走」の姿勢について、深い学びと気づきに満ちた講演内容をレポートします。
災害による急激な環境の変化は誰にとっても大きなストレスとなりますが、発達障害(神経発達症)の特性があり、環境変化への適応が苦手な子どもたちにとっては、その負担は計り知れません。
震災によって学校の校舎は使えなくなり、学校に通えなくなった高校生たちは、他校を間借りして学校生活を送ることになった際に感じたことをこう話したそうです。
「同級生とばらばらになって他校での生活が始まったけど、とてもつらい日々だった」
「朝のバスの時間も早くて大変だったし、何といっても『アウェー感』を感じた」
小学校や中学校の運動場には仮設住宅が立ち並びました。慣れない場所、見通しの立たない生活、失われた遊び場。こうした環境のコントロールが難しい状況下になると、震災直後にはなくとも、徐々に不安な気持ちから反抗的な態度や不適切な行動として表れることがあったそうです。
同時に、保護者もまた深く疲弊していました。避難生活の中で、子どもの行動に対して「もっと大変な人がいるのに、うちの子は何でこうなんだろう」と自責の念に駆られたり、周囲の目を気にしてSOSを出せなかったりする方が多くいたと言います。
震災によって学校の校舎は使えなくなり、学校に通えなくなった高校生たちは、他校を間借りして学校生活を送ることになった際に感じたことをこう話したそうです。
「同級生とばらばらになって他校での生活が始まったけど、とてもつらい日々だった」
「朝のバスの時間も早くて大変だったし、何といっても『アウェー感』を感じた」
小学校や中学校の運動場には仮設住宅が立ち並びました。慣れない場所、見通しの立たない生活、失われた遊び場。こうした環境のコントロールが難しい状況下になると、震災直後にはなくとも、徐々に不安な気持ちから反抗的な態度や不適切な行動として表れることがあったそうです。
同時に、保護者もまた深く疲弊していました。避難生活の中で、子どもの行動に対して「もっと大変な人がいるのに、うちの子は何でこうなんだろう」と自責の念に駆られたり、周囲の目を気にしてSOSを出せなかったりする方が多くいたと言います。
中長期的支援として効果的だった「ペアレント・トレーニング」
こうした状況の中で、古川先生が継続的に行ったのが「ペアレント・トレーニング」です。このトレーニングでは、行動を「ABC分析(行動の前後の状況を分析する手法)」で整理し、子どもに何が起きているのかを保護者と一緒に紐解いていきました。
当時の避難生活では3世代同居になる方が多く「子どもの話を家でしにくい」「自分より大変な人がいる」という遠慮の気持ちから相談しづらい状況にありました。そのため、まずは「あなたの声が聞きたい」という姿勢で丁寧にヒアリングすることを心がけていたそうです。
過酷な状況下において、親が自身の感情を吐き出し、肯定される場があることは、子どもを支えるための大きな力となります。
当時の避難生活では3世代同居になる方が多く「子どもの話を家でしにくい」「自分より大変な人がいる」という遠慮の気持ちから相談しづらい状況にありました。そのため、まずは「あなたの声が聞きたい」という姿勢で丁寧にヒアリングすることを心がけていたそうです。
過酷な状況下において、親が自身の感情を吐き出し、肯定される場があることは、子どもを支えるための大きな力となります。
支援に行って知った、外部支援者が守るべき「3つのルール」
また、古川先生は、支援者が被災地に入る際に最も気をつけなければならないのが「学校現場(支援先)を疲弊させないこと」であると語ります。それは2011年12月に初めて支援に訪れた際のこと。支援先の教育委員会の先生にこう言われたそうです。
「支援の人が来てくれるのはありがたいけど、その人たちの調整をすることがどれだけ大変か、分かりますか?」
生きることに精いっぱいである状況においては、「支援を受け入れるための調整」自体が、被災地の先生方にとって過酷な負担になります。例えば、「必要物資は何か」を聞かれても、何が今必要なのか現状確認することが大変です。ようやく繋がった電話で「口頭だと分かりにくいのでFAXで送ってくれますか」と言われてもFAXが使えません。どのような支援が必要か資料を求めると「資料を作るのって結構大変なんですよ」というのがリアルな声でした。
そこで、支援先教育委員会の先生から提示された、以下の支援における3つのルールを徹底して守り抜いたそうです。
古川先生は「資料は一切なしで構わない」と徹底して裏方に回りました。この現場の声を第一に優先する姿勢が、長期的な信頼関係の構築に繋がったのです。
「支援の人が来てくれるのはありがたいけど、その人たちの調整をすることがどれだけ大変か、分かりますか?」
生きることに精いっぱいである状況においては、「支援を受け入れるための調整」自体が、被災地の先生方にとって過酷な負担になります。例えば、「必要物資は何か」を聞かれても、何が今必要なのか現状確認することが大変です。ようやく繋がった電話で「口頭だと分かりにくいのでFAXで送ってくれますか」と言われてもFAXが使えません。どのような支援が必要か資料を求めると「資料を作るのって結構大変なんですよ」というのがリアルな声でした。
そこで、支援先教育委員会の先生から提示された、以下の支援における3つのルールを徹底して守り抜いたそうです。
- 1.「自己完結」:支援者の宿泊場所や交通手段、食事は支援者自らで確保すること。
- 3.「支援者間で完結すること」:現地の教員に負担をかけないよう、例えば外部支援者が交代する際などの引継ぎ業務は支援者間で行うことを徹底すること。
古川先生は「資料は一切なしで構わない」と徹底して裏方に回りました。この現場の声を第一に優先する姿勢が、長期的な信頼関係の構築に繋がったのです。
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