「行かない」ASD長男が渋っていた農業体験。疲れきって帰宅、三者面談で分かったその理由は…?

ライター:taeko
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わが家の長男・ミミ12歳(ASD/自閉スペクトラム症)は、中学1年生です。中学生活に慣れてきた7月に、2泊3日の農業体験に行くことになりました。4人ほどの少人数グループに分かれ、農家さんのお宅にお世話になるというものだったのですが……。

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監修: 初川久美子
臨床心理士・公認心理師
東京都公立学校スクールカウンセラー/発達研修ユニットみつばち
臨床心理士・公認心理師。早稲田大学大学院人間科学研究科修了。在学中よりスクールカウンセリングを学び、臨床心理士資格取得後よりスクールカウンセラーとして勤務。児童精神科医の三木崇弘とともに「発達研修ユニットみつばち」を結成し、教員向け・保護者向け・専門家向け研修・講演講師も行っている。都内公立教育相談室にて教育相談員兼務。

「行かない」と言い張る長男ミミ

中学1年生の長男・ミミ(ASD/自閉スペクトラム症)が、学校で2泊3日の農業体験に行くことになったときのこと。本人は、準備の段階から気が進まない様子でした。

休日に次男・ふーも一緒に買い出しに行きましたが、ミミは「農業体験には行かないから買わなくていい」と言い、終始不満そうです。荷物のパック詰めにもまったく身が入りません。

理由を聞いてみると、どうやら学校での準備にストレスを感じていたようです。クラスで話し合いをする際に、先生の言うことを聞かない子とそれを注意する先生のやりとりを見るのがイヤだったとのこと。準備が進まないし、教室の雰囲気が悪くなることに耐えかねていたようでした。

さらに、「野菜が苦手だから、農家さんのお宅で残してしまうのが申し訳ない」と思っていることも分かりました。まったく楽しむ気持ちになれないようで、当日まで「行きたくない」と嫌がり続けていました。
学校の農業体験に行きたくない理由は……
学校の農業体験に行きたくない理由は……
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三者面談で分かった、元気がなかった理由

それでも当日の朝、なんとか気持ちに折り合いをつけて準備を始めたミミ。着替えるペースが遅かったので、私が「今日はジャージでしょ?」と声をかけると、「えっ!」とわざとらしく驚くフリをしながら、渋々着替えて農業体験へと出発していきました。

2日後、無事に帰宅したものの疲れ切った様子で、あまり話したがりません。質問しても文句ばかり返ってくるため、無理に聞かずにそっとしておくことにしました。
疲れきった様子で帰宅した長男ミミ
疲れきった様子で帰宅した長男ミミ
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落ち込んでいた本当の理由が分かったのは、後日の三者面談です。

先生から農業体験での出来事を教えていただいたのですが、泊まらせてもらった農家さん宅で、夜遅くまでお友だちと起きて騒いでしまい、農家さんにしっかり叱られたとのこと。その後、先生からも指導があったため、あんなに元気がなかったのだと納得しました。
後日の三者面談で、落ち込んでいた本当の理由が分かりました
後日の三者面談で、落ち込んでいた本当の理由が分かりました
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失敗も大切な経験だから

ご迷惑をおかけしたことは、もちろん反省すべきこと。ですが、自分の思い通りにいかない葛藤や、叱られた経験。すべてがミミにとって大切な学びになるのだと感じました。少しずつ成長していくミミを見守ることができて、私はうれしいです。

執筆/taeko

専門家コメント 初川久美子先生(臨床心理士・公認心理師)

ミミくんの2泊3日農業体験のエピソードをありがとうございます。少人数で農家さんのお宅に宿泊する。この枠組み自体にも不安があったのではと感じます。身近に先生や家族のいない中、農家さんのお宅に泊まる。しかも野菜が得意ではないことの申し訳なさもある……。事前学習の際にもクラスメイトと先生との様子を見て精神的に消耗していて、もともと行く気がわかない中で、ミミくんはよくぞ準備を整えてジャージを着て出発できましたね。その時点でよく頑張ったね!と思いました。緊張と不安とあっただろう中で、同じグループの友だちと楽しく騒いでしまい叱られてしまったとのこと。縮こまった心に楽しさが入り、また長時間の緊張は維持が難しいため、歯止めが利かなくなったのかもしれませんね。3日間頑張ったので疲れていたでしょうし、叱られたというインパクトある1つの出来事によって、全部の思い出がオセロをすべてひっくり返すように「嫌だった」という思い出になってしまうように感じられたかもしれません。疲れが癒えて、日常生活に戻ってきてから、写真を見たり、思い出話をしたりする中で、農業体験の中の楽しかったこと・貴重な経験などに目が向くようになるといいなと思いました。ともあれ、まずは心身の疲れが癒えて、日常に戻ってからです。3日間よく頑張りました。きっとよき経験になったことと思います。(監修:臨床心理士・公認心理師 初川久美子先生)
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https://h-navi.jp/column/article/35031160
(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。

※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
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