中1で自転車に乗れない自閉症の長男。母は心配だったけど…乗れないことがポジティブな個性として受け入れられた日

ライター:taeko
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わが家の長男・ミミ(ASD/自閉スペクトラム症)と次男・ふー(診断はありませんが、専門家からASD/自閉スペクトラム症の傾向があると言われています)は、実はどちらも自転車に乗れません。「駅から自宅までが近いから必要性を感じないのかな」と思いつつも、親としては少しモヤモヤしているのですが、彼らが自転車に乗らないのには、それぞれ理由があるようだなと思っています。

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監修: 室伏佑香
東京女子医科大学八千代医療センター 神経小児科
名古屋市立大学大学院 医学研究科 生殖・遺伝医学講座 新生児・小児医学 博士課程
筑波大学医学部卒。国立成育医療研究センターで小児科研修終了後、東京女子医科大学八千代医療センター、国立成育医療研究センター、島田療育センターはちおうじで小児神経診療、発達障害診療の研鑽を積む。 現在は、名古屋市立大学大学院で小児神経分野の研究を行っている。

長男・ミミが自転車に興味を持たない2つの理由

ASD(自閉スペクトラム症)の診断を受けている長男のミミと、診断はないものの専門家からASD(自閉スペクトラム症)の傾向があると言われている次男のふー。実は2人とも、いまだに自転車に乗ることができません。駅から家まで歩いてすぐだから、必要がないだけと思いつつも、私は少し心配な気持ちもありました。ただ、2人が自転車に乗らない理由は、それぞれありそうです。

長男のミミが自転車にまったく興味を示さないのには、大きな理由が2つあると私は思っています。1つ目は、幼い頃の過ごし方です。当時のミミは、公園でルールを守って遊ぶのが難しく、なかなかお友だちができませんでした。そのため、外で元気に乗り回すよりも、自宅でゲームばかりして過ごすことが多かったのです。
自転車とぶつかりケガをしたことがありました
自転車とぶつかりケガをしたことがありました
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2つ目の理由は、小学校4年生の時に起きた事故。ミミが1人で出かけていた時に自転車とぶつかり、治るまでに1週間かかるケガをしてしまいました。突然のことで相手に何も言えず、きっととても怖い思いをしたのだと思います。

ミミは以前から「歩行者の青信号が短い」「車なんてなくなれば良いのに……」と、乗り物に対して不満を抱いていました。この事故が決定打となり、自転車や車をさらに敵対視するようになって、すっかり嫌いになってしまったのだと思います。

次男・ふーは練習するも大苦戦!

いざ練習をしに大きな公園へ行ってみると……
いざ練習をしに大きな公園へ行ってみると……
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一方、次男のふーは、小1の頃に「自転車に乗りたい」と言い出したことがありました。本人がやる気なら、とさっそく自転車を購入したのですが……。

いざ練習をしに大きな公園へ行ってみると、思うように乗れず大苦戦。おまけに公園にお友だちがいるとすぐにそちらへ遊びに行ってしまうため、一向に練習が続きません。結局、そのまま自転車からは足が遠のいてしまいました。

中学生になったミミ、クラスでまさかの「レアキャラ」に!?

「レアキャラ」として温かく(?)覚えてもらえたようです
「レアキャラ」として温かく(?)覚えてもらえたようです
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そんな自転車に乗れない日々が続き、ミミもついに中学生になりました。周りから何か言われないか少し心配していましたが、予想外の展開が待っていました。
クラスのみんなに自転車に乗れないことを話すと、
「えっ!自転車乗れない!?」
「レアじゃね!?」
「……激レアじゃね?」
と盛り上がったそうなのです。からかわれるどころか「レアキャラ」として温かく(?)覚えてもらえたようで、本人はなんだか得意気です。

「乗れないこと」がまさかクラスで顔と名前を覚えてもらうきっかけになるなんて、本当に予想外の展開でした。でも、本人が傷つくどころかうれしそうにしているので、「本人が気にしていないならいいか」とホッと胸をなでおろしています。一見するとマイナスに見えることでも、とらえ方次第でこんな風にポジティブな個性に変わるんだと知って、私としてはうれしい出来事になりました。

長男も次男も、本人の心に火がつけば、そのうち自然と乗るようになるはず。焦らずに、これからも気長に見守っていこうと思っています。
執筆/taeko

専門家コメント 室伏佑香先生(小児科医)

自転車にまつわるエピソードを共有いただき、ありがとうございました。お子さんそれぞれに乗らない背景やきっかけは全く違うのですね。過去に怖い経験をしたお子さんの場合、無理に練習を進めるよりも、怖かったねと気持ちを受け止めながら、本人がもう一度やってみようかなと思える日を待つことも大切ですよね。必要性や本人の気持ちが高まったタイミングで、驚くほどあっさりできるようになるお子さんも少なくありませんし、生きていく上で絶対に必要な技術というわけでもありません。お子さんのペースを大切に見守るtaekoさんのお姿がとても素敵です。(監修:小児科医 室伏佑香先生)
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https://h-navi.jp/column/article/35031082
(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。

※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
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