支援から漏れる「境界知能」と「軽度知的障害」。必要なのはポイント支援と〇〇? 【古荘純一先生(青山学院大学・昭和医科大学)講演レポート】
ライター:発達ナビ【編集部Eye】
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2026年6月18日から3日間、パシフィコ横浜ノースにて「第122回日本精神神経学会学術総会」が開催され、『軽度知的障害・境界知能の実態と支援を考える』と題したシンポジウムが開かれました。今回は、古荘純一先生(青山学院大学・昭和医科大学)による「医療機関を受診する知的障害境界例の様々な困難さに関する検討」の講演の紹介です。
数字によって「制度の谷間」におかれる子どもたち
IQ71〜85の「境界知能」や、IQ50〜70の「軽度知的障害」に該当する方々は、ストレスへの脆弱性などを抱えながらも、一見すると定型発達の人と変わらないように見えることが多くあります。そのため、周囲からは「怠けている」「やる気がない」と誤解されやすく、公的な支援の対象から漏れてしまうケースも少なくありません。本講演では、こうした「制度の谷間」に置かれやすい子どもたちや当事者が抱える実態と、それを乗り越えるための具体的なアプローチ、そして社会の新しい動きについて語られました。
ライフステージごとの困難。必要なのは「常に」ではなく「ポイント支援」
境界知能や軽度知的障害のある方は、幼児期には「発達がゆっくりめ(様子を見ましょうと言われる程度)」であっても、学童期以降、学習のつまずきや対人関係の複雑化に伴って困難が顕在化しやすくなります。
適切な理解と配慮が得られないまま社会に出ると、自信を失って引きこもったり、優しく近づいてくる不適切なコミュニティに依存してしまったりするなどの二次障害のリスクが高まります。
しかし、古荘先生は「常に支援が必要というわけではなく、ポイントごとに適切な支援があれば、良い結果や良い生活に結びつく」と強調されています。
しかし、古荘先生は「常に支援が必要というわけではなく、ポイントごとに適切な支援があれば、良い結果や良い生活に結びつく」と強調されています。
社会に出るために最も必要な「ライフスキル」
これまでは、IQなどの認知機能に課題がある場合、一般的なSST(ソーシャルスキルトレーニング)の獲得には限界があると考えられてきました。そこで現在注目されているのが、「ライフスキル(生活技能)」をアセスメントして支援するという実践的なアプローチです。
ライフスキルとは、日常生活のさまざまな課題に対して建設的かつ効果的に対処するための能力です。当面の目標を「生活上のスキル獲得」に絞ることで、子どもたちが社会で自立していくための土台を作ることができます。
具体的には、以下のスキルを少しずつ身につけていくことが推奨されています。
ライフスキルとは、日常生活のさまざまな課題に対して建設的かつ効果的に対処するための能力です。当面の目標を「生活上のスキル獲得」に絞ることで、子どもたちが社会で自立していくための土台を作ることができます。
具体的には、以下のスキルを少しずつ身につけていくことが推奨されています。
- セルフケアスキル:自分で起きる、身だしなみを整える、季節に応じた服を選ぶなど
- 時間管理スキル:時間を守る、休憩後に遅れずに持ち場に戻るなど
- 金銭管理スキル:無駄遣いをせずに貯金する、計画的に買い物をするなど
- 移動スキル:交通機関を利用して目的地へ安全に移動するなど
- コミュニケーションスキル:職場の同僚や上司と適切にやり取りをするなど
- ストレス対処スキル:適切な休息をとる、自分なりのリフレッシュ方法を持つなど
最も重要なのは「人に相談する(SOSを出す)スキル」
これらに加えて、特に重要視されているのが「人の援助を受ける・相談する」というスキルを教えることです。
「どうしていいか分からない」「失敗してしまった」というときに、一人で抱え込まずに信頼できる大人や支援機関に「助けて」と言えること。過去に叱責された経験から相談を諦めてしまっている当事者に対して、「あなたには支援を求め、質問する権利がある」と伝え、具体的なSOSの出し方を練習することが、将来の大きなセーフティネットになります。
「どうしていいか分からない」「失敗してしまった」というときに、一人で抱え込まずに信頼できる大人や支援機関に「助けて」と言えること。過去に叱責された経験から相談を諦めてしまっている当事者に対して、「あなたには支援を求め、質問する権利がある」と伝え、具体的なSOSの出し方を練習することが、将来の大きなセーフティネットになります。
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