病院で検査するなら「入院」!? 1歳8か月で立たない息子の全身麻酔への不安と、親が背負う決断の重み【体験談】

ライター:くら
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1歳8か月になってもまだ立たない息子・たまお。総合病院を受診し、なぜ立たないのか(立てないのか)、何が原因なのかなど、切実な思いで先生に質問しました。

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監修: 新美妙美
信州大学医学部子どものこころの発達医学教室 特任助教
2003年信州大学医学部卒業。小児科医師として、小児神経、発達分野を中心に県内の病院で勤務。2010年信州大学精神科・子どものこころ診療部で研修。以降は発達障害、心身症、不登校支援の診療を大学病院及び一般病院専門外来で行っている。グループSST、ペアレントトレーニング、視覚支援を学ぶ保護者向けグループ講座を主催し、特に発達障害・不登校の親支援に力を入れている。 多様な子育てを応援するアプリ「のびのびトイロ」の制作スタッフ。

理由を知りたい親心と、医師の返答

なぜ立たないのか、何が原因なのかなど医師に質問しました
なぜ立たないのか、何が原因なのかなど医師に質問しました
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なぜ立たないのか(立てないのか)、何が原因なのかなど質問し、「これで少しでも理由やこれからの見通しが分かるかもしれない」という期待を胸に、私は先生の返答を待ちました。

親として一番知りたかったのは、とてもシンプルなことです。
  • どうして歩かないのか(歩けないのか) 
  • 体に何か問題や病気が隠れているのか 
  • これから歩けるようになるのか 

これらの疑問に対して、少しでも手がかりが得られればと思っていました。
しかし、先生から提案されたのは、思いもよらない選択肢だったのです。

詳しく調べるための「入院提案」。突きつけられた現実

医師から詳しく調べるための「入院提案」を受けます
医師から詳しく調べるための「入院提案」を受けます
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「原因を調べるためには、入院してMRIなどの精密検査をする必要があります」とのこと
「原因を調べるためには、入院してMRIなどの精密検査をする必要があります」とのこと
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「原因を詳しく調べるためには、入院してMRIなどの精密検査をする必要があります」
先生のその言葉に、胸がぎゅっと締め付けられるような思いがしました。

まだ1歳8か月という小さな身体。
MRI検査を受けるためには、動かないように全身麻酔をかける必要があります。

「小さな身体に麻酔の負担をかけて大丈夫なのだろうか……」という強い不安が頭をよぎりました。
親になったことの責任の重さを改めて痛感しました
親になったことの責任の重さを改めて痛感しました
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さらに、付き添い入院の現実も突きつけられます。
病院のルール上、親の付き添いは必須。しかし、親が横になれるようなベッドはなく、大部屋の狭いスペースで夜を明かすことになります。

親の体力的な負担ももちろんですが、何よりつらかったのは「そこまでして調べても、原因が分かるとは限らない」ということでした。

もし、何か大きな病気ではなく「ただ単に成長の個性で遅いだけ」だとしたら……?
原因が分からないかもしれない検査のために、幼いたまおに痛くてつらい思いをさせ、負担をかけてしまうのではないか。

医療の知識がない私にとって、どの選択がたまおにとってベストなのか、判断するのはあまりにも難しく、途方に暮れてしまいました。

「とりあえず保留」を選択。専門家の意見を聞いてから

いったん決断を保留にしてもらうことに
いったん決断を保留にしてもらうことに
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1人では答えを出せず、「どうするべきか、もっと専門の方の意見も聞いてみたい」と思った私は、いったん決断を保留にしてもらうことにしました。

幸いにも、総合病院を受診する直前に「予定より早く通えることになった」と連絡があった初回の療育(児童発達支援)が控えています。

療育の先生や専門スタッフの方々にたまおの様子を見てもらい、意見を聞いたうえで、入院してまで検査を受けるかどうかを改めて考えようと決めたのです。

「とりあえず今日は決めずに、保留にする」
それが、当時の私に出せる精いっぱいの答えでした。
1歳8か月の息子、自立・歩行がないのはなぜ?総合病院を受診した母の切実な思いのタイトル画像

1歳8か月の息子、自立・歩行がないのはなぜ?総合病院を受診した母の切実な思い

すべての決断は親に委ねられている。改めて感じた「責任」の重さ

病院からの帰り道、ずっしりと重い気持ちが心に残っていました。

「今までもそうだったけれど、子どもの身体のこと、これからのこと、すべての決断は親に委ねられているんだな……」

医師は選択肢やリスクを説明してくれますが、「こうしなさい」と答えを決めてくれるわけではありません。
やるか、やらないか。受けるか、受けないか。
最終的に判を押し、リスクを背負って決断するのは、いつだって親自身です。

正解が分からない中で、わが子の未来を左右するかもしれない選択をしていくこと。
親になったことの責任の重さを、改めて痛感した出来事でした。

執筆/くら

専門家コメント 新美妙美先生(小児科医)

1歳8か月になってもまだ立たないたまおくんを前に、「なぜ歩かないのか」「何か病気が隠れていないのか」と心配になり、原因を知りたいと思われるのは当然のことだと思います。その一方で、検査のために入院し、全身麻酔まで必要となると、「そこまでして受ける必要があるのだろうか」と迷ってしまうお気持ちもよく分かります。実際、発達の遅れの原因を調べるためには、血液検査や画像検査、脳波検査など、さまざまな検査を行うことがあります。特に小さなお子さんのMRIなど、動かないようにしなければいけない検査では、眠らせて行うとなると、検査そのものだけでなく、麻酔や入院、付き添いなども含めて、ご本人にも家族にとっても大きな負担になることがあります。さらに「検査をしても原因が分からないかもしれない」とまで言われるとどうしたらいいのだろうと思ってしまうものですね。
医師から「受けるかどうかは保護者の判断で」と言われると、かえって「正解はどっちなの?」と迷うのは当然です。ただ、本当に重大な病気が疑われて今すぐ詳しい検査が必要と考えられる場合には、医師から「検査をしましょう」と勧められることもあります。逆にいうと、選択肢やメリット・デメリットを説明されたうえで、保護者の判断に委ねられる場合には、いろいろな専門家の意見を聞きながら、ご家族が納得でき、今のご家庭にフィットするほうを選べばよいのだと思います。今回のように、いったん保留にして療育の先生にも相談してから考える、というのもいいと思います。(監修:小児科医 新美妙美先生)
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https://h-navi.jp/column/article/35031231
(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。

※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

知的発達症
知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。

ADHD(注意欠如多動症)
注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。
ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。


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