ASD・ADHDの息子の「怖がり・慎重すぎる」にどう向き合う?小5で鉄棒前回りができた息子の成長記録【実体験】

ライター:メイ
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こんにちは。メイです。
息子のトールは現在中学2年生。ASD(自閉スペクトラム症)とADHD(注意欠如多動症)の診断を受けています。

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監修: 室伏佑香
東京女子医科大学八千代医療センター 神経小児科
名古屋市立大学大学院 医学研究科 生殖・遺伝医学講座 新生児・小児医学 博士課程
筑波大学医学部卒。国立成育医療研究センターで小児科研修終了後、東京女子医科大学八千代医療センター、国立成育医療研究センター、島田療育センターはちおうじで小児神経診療、発達障害診療の研鑽を積む。 現在は、名古屋市立大学大学院で小児神経分野の研究を行っている。

2cmの段差に立ち止まる……幼少期に見られた「慎重すぎる」姿

トールがまだ2歳くらいの頃、公園で遊んでいると鳩が近づいてきたことがあります。トールは鳩を追いかけて走っていたのですが、小さな段差に来た時、一旦止まってとても慎重に段差を降りていました。
その段差は2cmほどのもので、普通に歩いていてもまったく気にならない程度の高さでした。でもトールがその段差をとても気にしていることが印象的で、今でもよく覚えています。
2cmほどの小さな段差を気にしていました
2cmほどの小さな段差を気にしていました
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幼稚園に通うようになってからも、公園や園庭の遊具を怖がる様子も見られました。
滑り台のある小さなアスレチックで、ほんの3~4段ほどのはしごを怖がり、登ることも降りることもできなくなって泣いてしまったこともありました。トールの身長と比べてもまったく高くないはしごだったので、その様子にはびっくりしてしまいました。
親心に何とか自分の力でできてほしくていろいろと助言をしたのですが、結局わたしが降ろしてあげることになりました。

周りの子が楽しむ遊具も1段目でストップ。「失敗への不安」に気づいて見えたこと

トールはジャングルジムや鉄棒も怖がっていました。
友だちがジャングルジムのてっぺんまでスイスイ登っている中、トールは1段目で止まっていることしかできませんでした。
鉄棒は幼稚園の体育の時間にも教えてもらっていましたが、体育館でマットがある状態なら前回りができていたようです。
しかし、外にある鉄棒では怖がって、まったくやろうとしませんでした。下は硬い地面ですし、「もし落ちたらすごく痛いかもしれない」という失敗したときのイメージが、人一倍強く浮かんでしまっていたのかもしれません。
失敗したときのイメージが人一倍強く浮かんでしまっているのかも
失敗したときのイメージが人一倍強く浮かんでしまっているのかも
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幼稚園での体育の時間の話を聞いて、トールはきっとどうしても失敗したときのことを強く考えすぎてしまうのだなと思いました。
「もう幼稚園児なのにどうしてできないんだろう……?」と思ったこともありましたが、考えすぎてできなくなってしまっていると分かると、わたしも納得できました。

周りより遅れても大丈夫。息子のペースで芽生えた「できた!」の喜び

そう気づいてからは、少しずつトールのペースでできればいいと思えるようになりました。
鉄棒はマットありでできればそれで良いし、ジャングルジムは1段目を歩いて楽しむようになりました。
身体が成長するにつれて、こうした遊具での遊び方を含め、できることがだんだんと増えていきました。

また、トールが小学5年生の時、急に「校庭の鉄棒で前回りができた」と教えてくれたことがありました。
わたしはびっくりして、「外の鉄棒で?マットなしで!?」と何度も聞いてしまいました。
自分から挑戦してできるようになったこと、トールが心から喜んでいることが何よりです
自分から挑戦してできるようになったこと、トールが心から喜んでいることが何よりです
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周りのみんなは幼稚園児の頃にできるようになっていることを思うと、トールはみんなより5~6年ほど遅れてやっとできるようになったのです。
それでも自分から挑戦してできるようになったこと、トールが心から喜んでいることをとてもうれしく思いました。

執筆/メイ

専門家コメント 室伏佑香先生(小児科医)

お子さんが周りの子と同じようにできない姿を見ると、「どうしてできないのだろう」「もう少し頑張ればできるのではないか」と感じてしまうこともあると思います。しかし、一見簡単そうに見える動作でも、お子さんによっては大きな不安や怖さを感じている場合があります。
ASD(自閉スペクトラム症)のお子さんの中には、感覚の受け取り方や身体の動かし方に特徴がみられることがあります。例えば、身体の傾きや動きを感じ取る前庭感覚、自分の手足の位置や力の入れ具合を把握する固有受容感覚などの感じ方によっては、段差を降りたり、高いところに登ったりすることに不安を感じやすくなる場合があります。また、身体のバランスを取ることや、複数の動作を組み合わせることが苦手なお子さんもいます。
さらに、ASDのお子さんでは、先の見通しが立たないことや、予測できない状況に強い不安を感じる場合があります。「落ちたらどうしよう」「失敗したら痛いかもしれない」といった不安が大きくなることで、身体的にはできる動作であっても、なかなか挑戦できないことがあります。こうした背景には、感覚の特性や運動面の苦手さ、不安の強さなど、さまざまな要因が関わっている可能性があります。
子どもの発達には個人差があり、できるようになるまでに必要な時間や経験もそれぞれ異なります。特に不安の強いお子さんにとっては、無理に挑戦を促すよりも、安心できる環境で小さな成功体験を積み重ねていくことが、自信や次の挑戦につながる場合があります。小学5年生になって、自分から鉄棒に挑戦し、「できた!」と報告してくれたトールくん。その喜びは、単に鉄棒ができるようになったということだけでなく、自分の力で不安を乗り越えられたという、大きな自信にもつながったのではないでしょうか。その子自身のペースで「できた!」を積み重ねていくことを大切にしてあげたいですね。(監修:小児科医 室伏佑香先生)
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https://h-navi.jp/column/article/35031249
(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。

※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。

ADHD(注意欠如多動症)
注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。
ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
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