チックと強迫性障害の息子に薬は効く?服薬と専門医から得られた「安心感」と最近の症状【実体験】
ライター:星あかり
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ASD(自閉スペクトラム症)の息子スバルは不安やストレスがチックや強迫性障害(強迫症)という形で現れます。ある時、あまりにも激しいチックが長い期間治まらず、薬を頼ることにしました。薬を飲んだらチックは治まるのかな?それとも症状が軽く安定した状態に落ち着くのかな?と思っていました。今回はあくまでスバルとわが家の場合ですが、症状と薬と付き合って感じたことについてのお話です。
監修: 藤井明子
小児科専門医
小児神経専門医
てんかん専門医
子どものこころ専門医
どんぐり発達クリニック院長
東京女子医科大学大学院修了。東京女子医科大学病院、長崎県立子ども医療福祉センターで研鑽を積み、2019年よりさくらキッズくりにっく院長に就任。2024年より、どんぐり発達クリニック院長、育心会児童発達部門統括医師に就任。お子様の個性を大切にしながら、親御さんの子育ての悩みにも寄り添う診療を行っている。 3人の子どもを育児中である。
小児神経専門医
てんかん専門医
子どものこころ専門医
どんぐり発達クリニック院長
小学校入学直前の春休みに出現したチック
ASD(自閉スペクトラム症)息子のスバルは、小学校入学直前の春休みにチックが発症しました。スバルはもともといつもと変わらぬ環境でルーティンをこなすことで安心するタイプなので学年が変わる春休みに何かと不調が現れるタイプでした。この年は小学校という未知の場所で、特別支援学級という環境がガラリと変わる道を進む不安に加え、コロナが始まり入学式がいつになるか分からないというとんでもなく大きなストレスを抱えた春休みでした。
ある時からスバルはブンブンと顔を振るようになりました。最初はチックだと気づかず、あまりに激しく顔を振る時には「クセになるからやめなさい」と注意することもありました。しばらくして学校生活がスタートするといつの間にかチックはなくなっていました。
その後もスバルのストレスと連動するようにチックが現れました。チックの激しさは完全にスバルのストレスと連動していました。自分の気持ちを言語化することが得意ではなかったスバルの学校でのトラブルを見つけ出すサインとして役に立ったこともありましたが、いつしかチックが現れること自体に本人がストレスを感じるようになってきました。
ある時からスバルはブンブンと顔を振るようになりました。最初はチックだと気づかず、あまりに激しく顔を振る時には「クセになるからやめなさい」と注意することもありました。しばらくして学校生活がスタートするといつの間にかチックはなくなっていました。
その後もスバルのストレスと連動するようにチックが現れました。チックの激しさは完全にスバルのストレスと連動していました。自分の気持ちを言語化することが得意ではなかったスバルの学校でのトラブルを見つけ出すサインとして役に立ったこともありましたが、いつしかチックが現れること自体に本人がストレスを感じるようになってきました。
市販の漢方を飲み始めてみたけれど……
5年生の終わり頃、就学に関する不安や人間関係のストレスが重なり、かなり激しめのチックが現れました。不安とトラブルが長期化したせいでチックも緩やかに悪化し、基本的に家でのリラックスタイムだけ現れていたチックが学校でも出るようになりました。
本人にとってチックが人前で出てしまうこともストレスになるので、私は今の状況を早くどうにかしてあげたいと思いまずはインターネットで情報を集めることにしました。
いろいろと調べる中で「この漢方が効いた」という実体験がありました。それはドラッグストアで販売されている物だったので効能や副作用などをしっかり調べたうえで購入してみることにしました。なぜ漢方の情報に飛びついたのかというと、スバルが3年生の時に児童精神科でチックの相談をした時に、漢方の話をされたことがあったからです。その時は病院の予約をしてから初診までに半年かかり、チックも落ち着いていたので処方はされなかったのですが「いざとなったら専門家と漢方がついている」ということがスバルの心のお守りになっていたので、この時「そうだ私たちには漢方がある」と思い出したのです。
私は漢方の効果に期待がなかったわけではありませんが、どちらかといえばスバルが「漢方を飲んでるからもう大丈夫」と思ってくれないかなとプラシーボ効果に期待をしていました。そのくらいスバルは3年生の時に「専門家と漢方」に強い信頼を抱いていたのです。
そして市販の漢方を飲み始めたスバルですが、思ったような効果は感じることができませんでした。それどころかなんと「専門家に処方された漢方」ではなく「素人の母が選んできた漢方」がスバルをより不安にさせていたのです。「これ本当に大丈夫なやつ?」「誰が飲んで良いって言ったの?」「専門家の意見が聞きたい」と毎日のように言われ、ようやく「これは逆効果だ」と気づきました。
本人にとってチックが人前で出てしまうこともストレスになるので、私は今の状況を早くどうにかしてあげたいと思いまずはインターネットで情報を集めることにしました。
いろいろと調べる中で「この漢方が効いた」という実体験がありました。それはドラッグストアで販売されている物だったので効能や副作用などをしっかり調べたうえで購入してみることにしました。なぜ漢方の情報に飛びついたのかというと、スバルが3年生の時に児童精神科でチックの相談をした時に、漢方の話をされたことがあったからです。その時は病院の予約をしてから初診までに半年かかり、チックも落ち着いていたので処方はされなかったのですが「いざとなったら専門家と漢方がついている」ということがスバルの心のお守りになっていたので、この時「そうだ私たちには漢方がある」と思い出したのです。
私は漢方の効果に期待がなかったわけではありませんが、どちらかといえばスバルが「漢方を飲んでるからもう大丈夫」と思ってくれないかなとプラシーボ効果に期待をしていました。そのくらいスバルは3年生の時に「専門家と漢方」に強い信頼を抱いていたのです。
そして市販の漢方を飲み始めたスバルですが、思ったような効果は感じることができませんでした。それどころかなんと「専門家に処方された漢方」ではなく「素人の母が選んできた漢方」がスバルをより不安にさせていたのです。「これ本当に大丈夫なやつ?」「誰が飲んで良いって言ったの?」「専門家の意見が聞きたい」と毎日のように言われ、ようやく「これは逆効果だ」と気づきました。
チックと薬
そして病院の先生に相談することにしました。この時のスバルはDCD(発達性協調運動症)のリハビリのため、週に1回病院へ通院していました。そこで主治医である小児科の先生に相談したところ不安を和らげる薬を処方してもらえることになりました。私たちは「これでチックがなくなるといいな」と思っていました。
結果を言えばその時抱えていたストレスや不安が解消されるまでチックがなくなることはありませんでした。チック症状自体に波があり、学校のイベントや不安や緊張で増えたり落ち着いたりするのですが、薬を飲んでいてもその波に左右されて、チックが増えたり落ち着いたりします。
それでは服薬は一切効果がなかったのか?というとそうではありません。あくまでスバルの様子を私視点で表したものですが、薬を飲み始める前の一番重い時を10、落ち着いている時を3だとすると、薬の服用後の体感は7~1くらいの上下になりました。想像していた「薬を飲む=症状が一定になる」とは違いましたが、全体的に軽くなるだけで、ずいぶんと楽になったように感じます。
結果を言えばその時抱えていたストレスや不安が解消されるまでチックがなくなることはありませんでした。チック症状自体に波があり、学校のイベントや不安や緊張で増えたり落ち着いたりするのですが、薬を飲んでいてもその波に左右されて、チックが増えたり落ち着いたりします。
それでは服薬は一切効果がなかったのか?というとそうではありません。あくまでスバルの様子を私視点で表したものですが、薬を飲み始める前の一番重い時を10、落ち着いている時を3だとすると、薬の服用後の体感は7~1くらいの上下になりました。想像していた「薬を飲む=症状が一定になる」とは違いましたが、全体的に軽くなるだけで、ずいぶんと楽になったように感じます。
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強迫性障害(強迫症)の服薬
小学校卒業と共にリハビリに通っていた病院を卒業することになり、以前お世話になった児童精神科に通院することになりました。そこで新たに「強迫性障害(強迫症)」が見つかりました。それにより処方してもらう薬も変わりました。
その後スバルは中学生になり、新しい環境に馴染み楽しく学校に通うようになりました。そして就学の不安が解消され、人間関係のストレスも減り、いつの間にかチックはなくなりました。ささやかに出ることもありますが何日も継続して出るタイプのチックを見かけなくなりました。私はこれに関しては新しい薬の効果というよりも本人のストレスがなくなったことによる効果が大きいと思っています。
初めての中学生のテスト、小学校の時とは比べ物にならない量の課題、何かと声の大きい先生、小学校とは違うタイプの人間関係など新しいストレスが増えた割には再度大きなチックが現れないのは、薬の効果もあるのではないかと思います。
強迫性障害(強迫症)のほうはまだなくならず、一番ひどい時を10だとすると、ここ最近はだいたい1~2くらいで過ごしています。テスト直前や新学期直前にやり残した課題を発見した時に7くらいになったりしましたが、比較的落ち着いていると感じます。
初めての中学生のテスト、小学校の時とは比べ物にならない量の課題、何かと声の大きい先生、小学校とは違うタイプの人間関係など新しいストレスが増えた割には再度大きなチックが現れないのは、薬の効果もあるのではないかと思います。
強迫性障害(強迫症)のほうはまだなくならず、一番ひどい時を10だとすると、ここ最近はだいたい1~2くらいで過ごしています。テスト直前や新学期直前にやり残した課題を発見した時に7くらいになったりしましたが、比較的落ち着いていると感じます。
薬と安心をもらう場所
チックも強迫性障害(強迫症)も薬を飲んだからといって、すべてなくなるわけではありませんでした。それでも症状が全体的に落ち着くことで少し楽になりました。そして本人が不安になった時に「専門家に相談すれば良い」と思えることで、以前より安心して過ごせるようになりました。
処方してもらう薬に関しても、「母チョイスの漢方」とは違い、「専門家の解説つき処方薬」は信頼度が違います。症状をなくすことよりも本人が楽に過ごせる方法を先生と一緒に探していくことが、今のわが家の薬との付き合い方かなと思います。ちなみに現在はスバル本人が「次回の診察で相談することメモ」を用意してます。スバルにとって病院は薬をもらう場所でもあり、安心をもらう場所でもあるようです。
もともと「専門家」に対する信頼の厚いスバルですが、どうやら今の先生はスバルの中で「かなり信頼度の高い専門家」になっているようです。
執筆/星あかり
処方してもらう薬に関しても、「母チョイスの漢方」とは違い、「専門家の解説つき処方薬」は信頼度が違います。症状をなくすことよりも本人が楽に過ごせる方法を先生と一緒に探していくことが、今のわが家の薬との付き合い方かなと思います。ちなみに現在はスバル本人が「次回の診察で相談することメモ」を用意してます。スバルにとって病院は薬をもらう場所でもあり、安心をもらう場所でもあるようです。
もともと「専門家」に対する信頼の厚いスバルですが、どうやら今の先生はスバルの中で「かなり信頼度の高い専門家」になっているようです。
執筆/星あかり
専門家コメント 藤井明子先生(小児科医)
チックに対して漢方薬を使うこともありますが、必ずしも症状を完全になくすことを目指すのではなく、症状を和らげ、本人が少しでも楽に過ごせるようにするという視点は、とても大切ですね。症状の程度や生活への影響は一人ひとり異なります。本人の困り感や希望を大切にしながら、主治医と一緒にその子に合った方法を探していくことが大切だと思います。
また、「相談することメモ」という工夫も、とても良いですね。診察室に入ると聞きたかったことを忘れてしまったり、診察が終わってから質問を思い出したりすることは、決して珍しくありません。事前に相談したいことを書き出しておくと、限られた診察時間を有効に使い、主治医との情報共有もしやすくなります。医療者と上手に連携しながら、本人やご家族が安心して治療に取り組めることも大切ですね。日々の診療にも役立つ、参考になるコラムをありがとうございました。(監修:小児科医 藤井明子先生)
また、「相談することメモ」という工夫も、とても良いですね。診察室に入ると聞きたかったことを忘れてしまったり、診察が終わってから質問を思い出したりすることは、決して珍しくありません。事前に相談したいことを書き出しておくと、限られた診察時間を有効に使い、主治医との情報共有もしやすくなります。医療者と上手に連携しながら、本人やご家族が安心して治療に取り組めることも大切ですね。日々の診療にも役立つ、参考になるコラムをありがとうございました。(監修:小児科医 藤井明子先生)
(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。
神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。
神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
発達支援施設を探してみませんか?
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