【お家で療育】ゲームで「他者への関心」を育もう
2016/02/14 更新
アナログゲーム療育アドバイザー松本太一です。 お子さんが他者への関心を持つことは、コミュニケーション能力の発達を促す上で重要です。今回は「かたろーぐ」というゲームをつかって、お子さんが楽しみながら他者への関心を育める方法を紹介します。
松本太一
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執筆: 松本太一
アナログゲーム療育アドバイザー
放課後等デイサービスコンサルタント
NPO法人グッド・トイ委員会認定おもちゃインストラクター
東京学芸大学大学院障害児教育専攻卒業(教育学修士)
フリーランスの療育アドバイザー。カードゲームやボードゲームを用いて、発達障害のある子のコミュニケーション力を伸ばす「アナログゲーム療育」を開発。各地の療育機関や支援団体で、実践・研修を行っている。
周囲への興味関心を少し広げたい
普段、療育の現場で親御さまより、「子どもの『限定された興味』が広がっていかない…」というお悩みをいただくことがあります。
例えば、他の子の遊びや大人が提示する課題に興味を示さず、ひたすらパズルに取り組んでいたり、タブレットで動画を見続けるといった様子です。
範囲の限られた興味は時として個性や才能として花開くこともあります。
しかし、最終的に大人になると、少なからず身の回りの「社会の中」で生活していくことになります。そう考えると、周囲との関わりが全く無く、社会的な経験が少ないまま成長していくことは、少し心配ですよね。
その子に合った形で、周囲の出来事やお友達の様子に関心をもち、一定の関わりを持つことが望ましいと思っています。
例えば、他の子の遊びや大人が提示する課題に興味を示さず、ひたすらパズルに取り組んでいたり、タブレットで動画を見続けるといった様子です。
範囲の限られた興味は時として個性や才能として花開くこともあります。
しかし、最終的に大人になると、少なからず身の回りの「社会の中」で生活していくことになります。そう考えると、周囲との関わりが全く無く、社会的な経験が少ないまま成長していくことは、少し心配ですよね。
その子に合った形で、周囲の出来事やお友達の様子に関心をもち、一定の関わりを持つことが望ましいと思っています。
他者を理解する「かたろーぐ」
そこで、今回ご紹介する「かたろーぐ」は、お子さんが他者への関心を深めるきっかけとして最適です。
身の回りにあるアイテムを使い「自分の好きなものランキング」を作成し、それをお友達に当ててもらうというもの。
ルールはとてもシンプルです。
1人のプレイヤーが、身の回りにあるアイテムの中から7品目を選びます。そして1位から7位まで順位をつけ、マーカー(目印)を置いていきます。
他のプレイヤーは、その人の好みを想像しながらランキングを当てていく、というものです。
身の回りにあるアイテムを使い「自分の好きなものランキング」を作成し、それをお友達に当ててもらうというもの。
ルールはとてもシンプルです。
1人のプレイヤーが、身の回りにあるアイテムの中から7品目を選びます。そして1位から7位まで順位をつけ、マーカー(目印)を置いていきます。
他のプレイヤーは、その人の好みを想像しながらランキングを当てていく、というものです。
1人ひとりに合わせられる優れもの!
かたろーぐの優れたところは、身の回りにあるものなら何でもゲームの題材にできることです。
ゲーム指定のアイテムから順位をつける場合、興味の幅が狭いお子さんや、こだわりが強いお子さんは楽しめないこともあると思います。
しかし、かたろーぐなら身の回りにあるものなら全てOKです。興味の幅が狭くてもちゃんと参加できるのです。
ゲーム指定のアイテムから順位をつける場合、興味の幅が狭いお子さんや、こだわりが強いお子さんは楽しめないこともあると思います。
しかし、かたろーぐなら身の回りにあるものなら全てOKです。興味の幅が狭くてもちゃんと参加できるのです。
この写真のように、タブレットを使ってgoogleの画像検索をした画面を見せながら、遊ぶことも可能です。
お子さんの好みに応じて、ゲームの題材を作ることが出来るのです。
お子さんの好みに応じて、ゲームの題材を作ることが出来るのです。
飛行機好きの自閉症児、Aくんの場合
「かたろーぐ」を用いた療育の実例をご紹介しましょう。
自閉症の小Aくんは小学3年生。
乗り物の図鑑を見るのが好きでしたが、他の子との遊びにはあまり関心がありません。そこでA君に「かたろーぐ」をつかって他の子との関係作りを試みました。
このとき、Aくんは図鑑を拡げて大好きなジャンボジェットの写真を眺めている最中。
その場に行って、「Aくん、ちょっとゲームをしよう。この中で一番好きな飛行機から順番にこれ置いてみて」と順位を決めるマーカーを渡しました。
私には細かい違いまではわからないのですが、A君は迷いなくマーカーを置いていきます。彼の中にはハッキリとした好みの順位があるのです。
Aくんがマーカーを置き終えたら、他のお子さんを呼びました。
「Aくんが一番好きなジャンボジェットはどれか、一緒にあててみよう!」と伝えると、子どもたちは似たような機体が並んだ写真をみて「大体どれも同じにみえるけど・・・」と困惑気味です。
まず1位を予想しましたが、ハズレ。
Aくんに「どうしてこれが一番好きなの?」と聞いてみると「搭乗口の形がカッコいいから」という答え。
それを聞いた子どもたちは、「うわーそんなところ見るんだ」「言われてみればカッコいいかも・・・」など、思いおもいに反応します。
2位を当てようと、今度は搭乗口に注目して予想。ところがまたもやハズレ。
理由を聞かれると、今度は「尾翼がカッコいい」と答えました。子どもたちは「うわーそっちかー!」とみんな大爆笑。
Aくんは自分の好きなことを使って、友達の輪の中で一緒に楽しむ経験を積むことができました。
その後、これまで他の子にあまり関心のなかったAくんは、お友達の好みを当てる側になり、一生懸命考えてゲームに参加していました。自分の好みを当ててもらう楽しい経験が、他の子を理解する意欲に繋がったのでしょう。
自閉症の小Aくんは小学3年生。
乗り物の図鑑を見るのが好きでしたが、他の子との遊びにはあまり関心がありません。そこでA君に「かたろーぐ」をつかって他の子との関係作りを試みました。
このとき、Aくんは図鑑を拡げて大好きなジャンボジェットの写真を眺めている最中。
その場に行って、「Aくん、ちょっとゲームをしよう。この中で一番好きな飛行機から順番にこれ置いてみて」と順位を決めるマーカーを渡しました。
私には細かい違いまではわからないのですが、A君は迷いなくマーカーを置いていきます。彼の中にはハッキリとした好みの順位があるのです。
Aくんがマーカーを置き終えたら、他のお子さんを呼びました。
「Aくんが一番好きなジャンボジェットはどれか、一緒にあててみよう!」と伝えると、子どもたちは似たような機体が並んだ写真をみて「大体どれも同じにみえるけど・・・」と困惑気味です。
まず1位を予想しましたが、ハズレ。
Aくんに「どうしてこれが一番好きなの?」と聞いてみると「搭乗口の形がカッコいいから」という答え。
それを聞いた子どもたちは、「うわーそんなところ見るんだ」「言われてみればカッコいいかも・・・」など、思いおもいに反応します。
2位を当てようと、今度は搭乗口に注目して予想。ところがまたもやハズレ。
理由を聞かれると、今度は「尾翼がカッコいい」と答えました。子どもたちは「うわーそっちかー!」とみんな大爆笑。
Aくんは自分の好きなことを使って、友達の輪の中で一緒に楽しむ経験を積むことができました。
その後、これまで他の子にあまり関心のなかったAくんは、お友達の好みを当てる側になり、一生懸命考えてゲームに参加していました。自分の好みを当ててもらう楽しい経験が、他の子を理解する意欲に繋がったのでしょう。
他者への関心も、ゲームで養える
今回のAくんは、「理解してもらえて嬉しい!」という経験が、他者への関心を生むキッカケとなりました。
周囲の人に関心のないお子さんに、日常生活の中でこのような経験をしてもらうことは難しいかもしれません。
そんなときは、ゲームを通して学んでみてはいかがでしょうか。
「遊びのルール」としてコミュニケーションが組み込まれているので、お子さんにとって自然に取り組める練習機会となります。
特に「かたろーぐ」は、楽しみながら、他者に自分を理解してもらったり、自分が他者を理解する体験をしてもらうことができるのでおススメです。
このような経験の積み重ねが、やがて社会に出たときに必要となるコミュニケーションの基礎に繋がっていくのです。
周囲の人に関心のないお子さんに、日常生活の中でこのような経験をしてもらうことは難しいかもしれません。
そんなときは、ゲームを通して学んでみてはいかがでしょうか。
「遊びのルール」としてコミュニケーションが組み込まれているので、お子さんにとって自然に取り組める練習機会となります。
特に「かたろーぐ」は、楽しみながら、他者に自分を理解してもらったり、自分が他者を理解する体験をしてもらうことができるのでおススメです。
このような経験の積み重ねが、やがて社会に出たときに必要となるコミュニケーションの基礎に繋がっていくのです。
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