熊本の震災、発達障害児への避難所での配慮ポイントまとめ

ライター:発達ナビ編集部
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熊本での地震が発生し、発達障害のある子どもへのサポートに不安も抱く方もいるのではないでしょうか。避難所での配慮のポイント、熊本・大分での福祉避難所の設置状況、やむをえず車中泊となった際の注意点についてご紹介します。避難所を運営される方、支援に入られる方のご参考となれば幸いです。

熊本地震、避難者約9万2000人、障害のある方は約6600人(4月20日現在)

2016年4月14日に発生した熊本での地震。4月16日までの間に震度6弱以上の地震が計7回も発生し、その後も度重なる余震によって、多くの方々が避難をせまられました。

一般財団法人ダイバーシティ研究所の推計によると、2016年4月20日時点で、熊本県内の避難所数は623ヶ所、同時点での避難者数は約9万2000人、そのうち障害のある方は約6600人にのぼると言われています。
慢性疾患や各種障がい、高齢者および認知症、食品アレルギーなどについて、4月20日午後1
時30分現在の避難者数をもとに、有病率などから熊本県内の要援護者数を推計した。
避難者のうち、主な要援護者の数は次の通りと推測され、重複しているものもあるが延べ人数
では避難者の3分の2が何らかの要援護者であるといえる。
①65歳以上高齢者 約24,000人
②障がい者 約 6,600人
③慢性疾患患者 約16,600人
④外国人 約 500人
⑤小・中学生 約 7,600人
⑥妊娠中の方 約 800人 合計 約 56,100人

一般財団法人ダイバーシティ研究所「熊本地震における避難者数の推移と今後の予測について Ver.1.2」, 2016.04.20
出典:http://diversityjapan.jp/wordpress/wp-content/uploads/2016/04/kumamoto_r...

発達障害児を取り巻く環境に不安な声も

震災の発生にともない、発達障害のある子どもを取り巻く環境についても、心配の声が上がっています。
発達障害のある子どもの中には、なれない環境が苦手で避難所生活が難しい子も多いです。

東日本大震災の際も、避難所生活をあきらめて車中生活を送った家族が少なくありませんでした。
国立障害者リハビリテーションセンター研究所の発達障害情報・支援センターが東日本大震災(2011年)の翌年、岩手、宮城(仙台市を除く)、福島の3県で、発達障害がある人(もしくは、家族が代理で回答)にアンケートしたところ、276人が回答。避難所を利用した人は23%で、そのうち避難所で問題なく過ごせた人は18%にとどまった。

偏食で配給食が食べられない▽見守りが必要で配給の受け取りに行けない▽夜中に目を覚まして声を出してしまう――など、障害特有の行動で、本人だけでなく、家族の負担も大きかった。周囲に遠慮し、避難所生活をあきらめて車中生活を送った家族もいた。

朝日新聞デジタル, 帯金真弓「発達障害の人たちに理解と支援を 避難所で孤立の恐れ」, 2016.04.20
出典:http://www.asahi.com/articles/ASJ4N517NJ4NUBQU00G.html

避難所での配慮、知っておきたい6つのポイント

避難所での生活は、食べ物やトイレ、他人との距離感などが普段と大きく異なります。どんな方にとっても大変な状況であることは間違いありませんが、とりわけ発達障害のある子どもにとっては大きなストレスがかかる環境です。

「走り回る」、「大声を出す」といった行動も、その子の不安の表れであることが少なくありません。

限られたスペースのなか、少しでも不安やストレスを軽減するには、どのような配慮をすれば良いのでしょうか。

以下では、発達障害のある方への避難所での配慮のポイントをご紹介します。

配慮が必要な子どもがいないか確認を

発達障害は、見た目からはわかりにくい障害ですが、他人との関わりや集団生活で困りごとを抱えることも少なくありません。特に子どものうちは、困っていてもなかなか言葉で説明することができません。

避難所を運営する方は、ご高齢の方や、病気や身体障害等のある方への配慮と同じく、発達障害によって特別な配慮が必要な方がいないかを、あらかじめ確認しておくと良いでしょう。

パーテーションの用意を

人が多く、にぎやかな所が苦手な子もいます。

そこで、パーテーションや仕切りを設置し、視界的にさえぎられる場所を作りましょう。
パニックになった時に落ち着ける場所としても活用できます。

食べられない物がないか確認を

特定の食べ物しか食べられない方やアレルギーのある方のために、避難所で支給する食べ物の配慮が必要です。避難所を運営する方は、食べ物への配慮が必要な方がいないか、ご本人やご家族に事前に確認すると良いでしょう。

これから避難所に食料を送られる方は食材や成分のリストを添えるといったことも心がけましょう。

また、どんな食べ物かわからない時は不安が大きくなり、食べられないことがあります。パンは袋から出して、飲み物はコップに注いで、実物が見える状態で渡すことで安心して食べられることもあります。

物資は個別に配給を

発達障害のある子どものなかには、長時間立って並ぶことや、順番を守ることが難しい子もいます。

列に並んでの物資の受け取りが難しい子どもやその家族に対しては、直接手渡しをすることをおすすめします。

簡易式トイレや、洋式便座の用意を

トイレやお風呂に強いこだわりがあり、みんなと同じ環境での排便や入浴が難しい子どももいます。

簡易式トイレや洋式便座を用意する、入浴の際は付き添いの方がつく、など安心してトイレやお風呂に行けるような配慮すると良いでしょう。

それでも、トイレに行けないという方のために大人用のおむつを避難所で用意しておくこともおすすめです。

避難所内でもできる活動の準備を

お絵かき道具、本、音楽プレイヤー、ゲームなどお子さんが楽しめるものを用意できれば、不安やパニックを緩和しやすくなります。

物資や電気・ネットが限られている環境では難しいことはありますが、身近なもので子どもの気をまぎらわせる方法がないか、ご家族と相談してみましょう。
次ページ「一般避難所が難しい方のための「福祉避難所」があります」

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