「誰にでも得意不得意がある」他の園児への伝え方

障害のカミングアウトはどうすれば?先生・ママ友・クラスメートそれぞれへの対応の画像
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保育士、保護者へのカミングアウトを済ませましたが、それだけではまだ不十分でした。他の園児にどう伝えるかが重要なのです。

年長さんともなると、子どもたちは周りをけっこうよく見ています。

「なんで○○君だけ教室を脱走しても許されるんだ」
と思い、あからさまに
「○○君はいつも悪いことしていて叱られないのにどうして僕は叱られるの?」
「先生はえこひいきをしている!」
と、保育士に詰め寄る子どももいます。

そんなとき「あの子は障害があるから」と説明しても園児は理解できません。また「あの子は悪い子だからいくら注意しても通じないのよ」もいけません。「5歳だけれども中味は赤ちゃんのようなものだから先生は許しているのよ」もNGです。

他の園児たちに差別の気持ちが生まれてしまうからです。


そこで私は担任に、
「『背が高い子、低い子がいるよね。走るのが早い子、遅い子がいるよね。それと同じで椅子に座るのが苦手な子も得意な子もいます。立石君は立ち歩くのがとても得意なのよ。そしてじっと座っていることが苦手なだけなの。だからみんなに許さないことも少し許しているのよ』こう説明すると他のお子さんは納得すると思います」と説明の仕方まで伝えました。

息子を守ることが自分の使命だと思っていたので、「なんと差し出がましいことをする親だ」
と保育士から思われてもよかったのです。

肯定的な大人のかかわりをみて、子どもたちも変わっていく

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私と息子の保育園でのカミングアウト経験は以上のようなものでしたが、その後、こんな素晴らしい対応をしている幼稚園があることを知りました。

担任の先生は、自閉症の子どもが友達の水筒から勝手にお茶を飲む、弁当に箸を付ける、といった行動をした時でも、

「何で他の子の水筒から飲むの!」
「お友達のお弁当を食べては駄目でしょ!」
とは絶対に言わないのです。

子どもを否定するのではなく、肯定形で何度も何度も根気よく、
「次郎君は“次郎”と名前が書いてあるこの水筒から飲もうね」
「次郎君のお弁当箱に入っているものだけ食べていいんだよ」
と、丁寧に教えています。

そうすると、周りの園児たちは水筒や弁当箱からお茶やおかずを取られても、ギーギー泣いたり怒ったりしないで、先生の真似をして「自分の水筒から飲むんだよ」と教えるようになっているのです。

先生の後ろ姿を見て自然に学んでいるんですね。このような対応が、健常児にとっても「世の中にはいろんな人がいるんだ」というインクルーシブ教育につながっていくのだと感じました。

さらにこちらの幼稚園では、入園時に「当園は発達障碍児の受け入れもしています。いろんな行動をとることがありますが、ご理解頂いた上でご入園ください」と書いた紙を渡し、健常児の親たちに念書として一筆書かせているそうです。

だからクレームは一切でません。こんな対応ができる幼稚園、保育園が増えたらいいなと思います。

カミングアウトのメリット・デメリット

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私と息子の場合、障害を開示したことでメリットばかりが生まれ、デメリットは一切ありませんでした。

自分(お母さん)だけ子どもを理解していても子どもは支援を受けることできません。

夫、祖父母、兄弟姉妹、親戚、幼稚園・保育園の先生、普段よく立ち寄るお店まで含めた地域社会で、特性ゆえの行動を理解され受け入れてもらうことで、子どもは居心地のいい環境で育つことができるのではないでしょうか。他人の目線を気にするよりも、我が子が幸せに過ごすことができる居場所を作ってやることが親の役割だと思うのです。

子どもを変えるのではなく周りを変えてしまいましょう。これは親が腹をくくって具体的に行動するしかないと私は思うのですが、皆さんはどうお考えになりますか?

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