今回は「関係性のズレ~前編」について書いていきます。
コミュニケーション障害は子どもと周りの人たちの関係性の中にある「ズレ」に注目する必要性があると言われています。
お子様個人に問題があるというとらえ方は従来の医学モデルでの捉え方です。
現在は「社会モデル」としての捉え方が推奨されています。
コミュニケーションは相互関係の上で成り立つものです。
そのため人物一人の責任に転換することが難しいものですが、個人の責務にされてしまうことが少なくないものです。
社会モデルでは、そういった個人を罰するような、責務を押し付けるような考え方から「関係性のズレ」という点に着目しています。
関係性の問題というところに着目していくことにより、また新たな解決や理解の糸口になることもあるかもしれません。
・お父さんとの関係性のズレ
・お母さんとの関係性のズレ
・兄弟姉妹との関係性のズレ
・園の先生や児童との関係性のズレ
・療育の先生や児童との関係性のズレ
・知り合いや関わる人たちのズレ
相互に関係性を明らかにしてA4用紙にMAP化していくと全体像が見えたりします。
この時に、例えば
○○くん → お父さん (もっと○○で遊んで欲しい、かまってほしい)
← (忙しくて関わる時間がないけどかかわり方がわからない)
など相互関係をかいてみると良いでしょう。
どこの関係性のズレに対処していくのか?どのように対処すればいいか分かりやすくなります。
また数か所同時に対処したり、連携して協同的に変化させていくことも大切です。
〇席に座らない
〇暴言を吐く
〇手が出る
〇頭を打ち付ける
これらは問題行動として評価されることが多いと思います。
しかしお子様にとってそれはその場では必要な行動であったり、そうせざるを得ない適応行動のように行っているものもあるかもしれません。
→声を出して動きまわりたい欲求を抑えて離席に止めておいている
→自分の中の強い情動を抑えきれず暴力を振るわないように暴言を吐く
→手が出るのは嫌だというメッセージを強く訴えたいから
→自分の頭の嫌な感覚を消すために、また強い感覚を欲するために頭を打つ
といった理由があるかもしれません。
もちろんそのような理由がなく行う場合もあるものもあると思います。
しかしそういった行動を「問題」として評価するだけでなく、お子様を理解する手がかりにしていくこともできるかもしれません。
支援を行っているとついつい「できないところ」「苦手なところ」をできるようにしていくような支援を行うことも多くあります。
それが強くなりすぎると「できないところ探し」が過剰になってしまうこともあります。
そうするとお子様との関係性も悪くなってしまうこともあります。
自分を受け入れてもらえていない感覚を無意識的に察知するお子様もいます。
関係性のズレを解消していくためにお子様のキラキラしているところをしっかり見て、知っていくことが大切になります。
ある場面では問題行動を起こしてしまうお子様でも場所が変われば、関わり方が変われば変化することもあります。
どうすればキラキラするかを本人だけの問題にするのではなく、相互作用も考えてみていくと良いのかもしれません。
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。
療育の話第23回「関係性のズレ~前編」
教室の毎日
25/03/04 11:55
