療育のお話第30回は「境界知能 後編」について書いていきます。
発達障がいの問題と似ている部分もあり、発達障がいも持っている方も少なくありません。
知的障がいのない発達障がいのお子様に多いと言われています。
境界知能の大きな特徴として「認知機能の低さ」がありますが、認知機能とは物事を理解するのに必要な能力のことです。
そのため勉強などの学習だけでなく、日常生活や社会生活でさまざまな問題が起きやすくなります。
発達障がいには
①ADHD(注意欠陥多動症)
②ASD(自閉スペクトラム症)
③ⅬD(学習障害)
④DCD(発達性協調運動障害)
などがあります。
発達障がいと診断を受けている人に境界知能を併せ持つケースも多いですが、発達グレーゾーンと呼ばれる人にも多いとされています。
ですので適切な支援が受けられないケースがあります。
会社に境界知能の人もいるかもしれませんし、普通級でも一緒に学んでいるかもしれません。
境界知能という言葉とそれを持つ方々への理解が社会的に必要とされているのは、適切な支援やサポートが必要でもあるからです。
学びやすくするためには、
①ゆっくり時間をかけて1つずつ理解してから次を学ぶ。
②視覚的に理解しやすい場合はうまく活用して学べるようにする。
③対象者のレベルに合わせて徐々にステップアップする(スモールステップ)
④学びやすく構造化する(学びやすいように環境を整える)
⑤コミュニケーションの問題はSSTで理解して実演し、日常で活用する
⑥難しいものや問題は、手順を分解してひとつずつ学ぶ
⑦必要に応じて身体を使って練習する
⑧努力不足だけでないことを周囲も理解する
⑨成功体験を積みやすい課題設定
等がポイントとなります。
近くにいる先生や家族げポイントを踏まえて教えていくためには、お子様を理解しなければなりません。
境界知能の場合、なかなかやってもできずに「諦め癖」がついたり、認知機能がある分、「自己否定」ができることによる鬱など二次障害に発展していくことも少なくありません。
境界知能ではない方はその苦労や難しさをわからず、「努力不足だ」と極端に思ってしまうこともあります。
一番近くて一緒に長くいる家族は、当事者の境界知能に対して理解をし、できなければ学ぶ姿勢をもつことが大切になります。
この境界知能は、普通にできるところもあるので誤解を受けやすく、一部の知的能力に関して「怠けている」「やる気がない」「努力不足」とレッテルを貼られることも少なくありません。
日本人の7人に1人と言われている境界知能は日本で1000万人以上いる計算になりますが、多くの人は「境界知能」という言葉も知りません。
知らずに苦労を重ね、社会適応できず、心療内科などで知能検査を受けてようやく気づく、こういった事が増えているものの、知らないまま生きづらさを感じている人も相当な人口がいるということになります。
発達障害を持ち、知的障害がないお子様の中に意外と多くの境界知能のお子様がいると言われています。
境界知能のお子さんの適応度の問題は主に就学後に表れやすいですが、支援級がいっぱいでなかなか通常学級で良い支援が受けられず、困難さを感じることが多くあります。
ですので気づくことや知識として知ることが大切になります。
発達障がいを一緒に併せ持つケースも少なくなく、学習面や精神的に遅れている感じがする印象を持たれます。
この機会に理解を深め、お子様や自身、家族への理解に繋がりますように願っております。
いつもお読みいただき、ありがとございます。
療育のお話第30回「境界知能 後編」
教室の毎日
25/03/26 10:17
