発達に障害をがあるお子様には、強いこだわりを持つ子がいます。こだわりの行動を周りが無理やり止めると、かんしゃくを起こして周囲を困惑させることもよく見られる行動です。
こだわりの行動には3つのパターンがあります。1つ目は「変えない」。例えば「一日の決まったルーティンを絶対に変えない」などの行動です。運動会によって決められた生活パターンが変わると、上手く対応できずにパニックになることなどが挙げられます。
2つ目は「やめない」。強いこだわりのある行動を止めることができません。校庭の遊具で待っている人がいても遊ぶことを止めて交代できない場合はこのパターンです。
3つ目は「始めない」。新しい経験をしたり、新しいものを使ったりすることに強い抵抗を示します。例えば「新しい教材を使うことができなくて、学習に参加できない」などがこのパターンです。
強いこだわりは家庭内では許容できることもあるでしょう。ですが保育園や幼稚園、学校では多くの場面で、周りに行動を合わせなくてはいけません。そうした環境でこだわりを通そうとして、周りの子供を押し倒すなどのトラブルにつながることもあります。
どうしてこだわりが強くて、かんしゃくを起こしやすいの?
こだわりの強さは、自閉症スペクトラム障害(ASD)の人が持つ大きな特徴です。ASDの人は、新しい情報を処理する脳の機能に問題があると考えられています。ですから慣れている行動に安心感を抱き、固執してしまうのです。
ASDの子にとって、こだわりの行動を「止めろ」と言われるのは、「安心できる行動を止めて、不安な行動をやりなさい」と言われている状態といえます。ですから不安な気持ちと同時に抵抗感も持ち、パニックに陥り、かんしゃくを起こしてしまうのです。
また注意欠陥多動性障害(ADHD)の人は、自閉症スペクトラム障害(ASD)の特徴を合わせ持っている場合があります。そうした子供も強いこだわりを持つ特性が見られる場合があるでしょう。
強いこだわりがあり、かんしゃくを起こしやすい子供には、どう対応すればいいの?
子供に強いこだわりがあり、かんしゃくを起こしやすくて困っている場合は、スムーズに生活を送るためにも行動を変えていく必要があります。
まず、こうした子供たちが強いこだわりを持つのは、「自分の心を安定させるため」ということを理解しましょう。そう理解した上で、こだわりの物事を奪わずに保証しながら、他の物事にも目が向くように、時間をかけて慎重に促していくことが大切です。強いこだわりというのは才能の一つでもありますから、それを大切に育てていきながら、広い視野へ導く気持ちが重要になります。
問題行動になっている強いこだわりを少しずつ弱め、無くしていくために用いられるのが、応用行動分析学(ABA)による支援です。この方法は発達障害の子供の早期療育で多く用いられています。子供の行動の理由を分析して、トレーニングをしながら、少しずつ行動を変えていきます。
また強いこだわりが友達関係などに問題を及ぼしている場合には、ソーシャルスキルトレーニング(SST)が用いられます。SSTは具体的な問題について、コミュニケーション方法を分かりやすく指導して子供に学ばせる方法です。
「さくだいらキッズらぼ」ではABAやSSTを用いて支援します
「さくだいらキッズらぼ」では、こだわりが強くて、かんしゃくを起こしやすいお子さんに応用行動分析学(ABA)やソーシャルスキルトレーニング(SST)を用いて支援します。
ABAについて少しくわしく紹介しましょう。ABAの考え方は「子供の問題行動は、本人だけでなく周りの関わり方にも原因がある」というもの。まず子供がお菓子売り場で「お菓子が欲しい」と泣き叫ぶケースについて考えていきましょう。子供が泣き叫ぶのでお菓子を買ってあげると、子供は「泣き叫べば、お菓子を買ってもらえる」と理解して、また同じことを繰り返します。反対に親がお菓子を買わなければ、子供は「泣いても買ってもらえない」と理解して、同じことを繰り返しません。こういうケースのように、子供の行動は周りの関わり方で変わってくると考え、適切な関わり方を検討していきます。
子供が強いこだわりを通そうとして問題が起きた時には、まずは原因の分析が必要です。「さくだいらキッズらぼ」では原因を分析した上で、理想的な関わり方を検討。一定の理想的な関わり方を続けることで、少しずつ子供の行動を変えることを目指します。
さらにSSTもこうしたケースで活用する支援です。具体的な問題が起きた時にロールプレイングやゲーム、話し合いなどの方法で、子供に適切な行動を学んでもらいます。SSTは個別やグループで行うことができるトレーニングです。私たちはそれぞれのお子さんに合った形での支援を目指していきます。
うちの子はこだわりが強く、かんしゃくを起こす
支援プログラム
21/06/28 12:27