「療育」と聞いて、皆さんはどのようなことをイメージされるでしょうか。
代表としてはSST(ソーシャルスキルトレーニング)が挙げられるでしょう。
他にも、運動療育、音楽療育、言語療育、感覚統合療育 、、、など、色々な療育がありますよね。
私はこれまで、いくつかの事業所で、色んな特性を持つお子さんと接してきました。
先ほど挙げた療育の他に、いきるちからでは(現在)使用していないタブレット等を用いての知育も経験しています。
療育を行うことももちろん大切なのですが、ある程度言葉が話せてお友達とコミュニケーションを取ることが嫌いではないお子さんの場合に、私が特に大切にしていることがあります。
それは、「言葉足らずによる誤解を解くこと」です。
子どもたちは、相手の状況を考えることが出来ずに、自分がしたいことを最優先にして、自分勝手な行動を取ってしまうということが本当によくありますよね。
つい先日も、こんなことがありました。
療育時間が終わり、帰宅のための準備をしているときのことです。
~~~~
ある女の子(仮にAちゃんとします)が、自分の棚に入れていた帽子が見つからず大声で泣いていました。スタッフも事情を聞いて探していたところ、突然Aちゃんの泣き声がさらに大きくなったんです。
そこで私が「どうしたの? 何があったの?」と駆け寄ると、Aちゃんは頬を撫でながら「T君(仮名)がパチンしてきた」とお話してくれました。
Aちゃんの真正面に座っていたT君に私が「Aちゃんのお顔、叩いたの?」と穏やかに訊くと、「知らん。俺やってない」と目を合わせようとせず、しらばっくれようとする態度をとりました。
そこで私は、まずT君と向き合うことにして「見て見て。ほら、怒ってないよ。怒ってないでしょ? 本当のことが知りたいだけだよ。絶対に怒らないから、本当のことを教えて」とゆっくりと穏やかにお願いしました。
「俺やってないし」「関係ないし」を何度か繰り返しましたが、私が「T君が叩きたくて叩いたんじゃないことわかってるよ。何か理由があったんでしょ? お話してくれるかな?」とお願いしているうちに、「Aちゃんと一緒に遊びたかったのに、イヤ!って言われたから!!」と教えてくれました。
そこで私がAちゃんに「T君はAちゃんと遊びたかったのに、イヤ!って言われたから寂しくなって叩いちゃったんだって。でも、Aちゃんは帽子が見つからなくって、遊びたい気分じゃないからイヤ!って言ったんだよね」と言うと、何度も「うん、うん」と首を縦に振っていました。
そして、再度T君に「T君がAちゃんと一緒に遊びたかった気持ちはわかるよ。でも、Aちゃん泣いてたでしょ? そういうときはいきなり『一緒に遊ぼ』じゃなくて、『どうしたの? どうして泣いてるの?』って言ってあげてね」と言うと「わかった」と納得してくれました。
そして、「お顔を叩くことはいけないことだよね。ごめんなさいできる? 一緒に言ってあげるから、ごめんなさいしよう」というと、自分だけできちんと「ごめんなさい」と言えました。
Aちゃんも泣きながらでしたが「いいよ」と応えてくれました。
(もちろん私は、二人のことをしっかりと褒めましたよ♡)
ほどなく帽子も見つかり、帰る直前までこの二人はずっと仲良く一緒に遊んで過ごせました。
~~~~
スタッフが特に忙しい時間帯ではありましたが、他の仕事は置いといて、私はAちゃんとT君に全力で向き合うことを優先しました。
なぜなら、双方が「最後までちゃんと話を聞いてもらえた」「自分の気持ちを理解してもらえた」「寄り添ってもらえた」と実感し、さらにT君に至っては「本当に怒られなかった(スタッフは嘘をつかなかった)」との経験をすることによって、世の中を信頼できるようになるからです。
彼らはこれからの人生で、色んな辛い目に遭うこともあるでしょう。
「どうせ私のことなんて、誰も大切に思ってくれない」「僕なんて、誰も理解してくれない」という思いを抱く大人にならないためには、小さいときに「勝手な思い込みや決めつけをせず信用してくれた!」「忙しいからと片手間な対応をされなかった!」と、自分のことを大切にしてくれる大人が世間にはいるんだということを繰り返し経験する必要があるのです。
このような経験を通して、子どもたちは「自己重要感(自己肯定感+他者からの承認)」を身につけていきます。
私は小学校教諭・幼稚園教諭の免許しか持っておらず、「〇〇療育の専門家です!」と言えるような資格はありません。
でも、私はそのような療育よりも、彼らの人生にとって一番大切なもの(世の中を信頼すること・自己重要感を持つこと)を最優先にして、子どもたちを尊重し信頼しつつ関わっていきたいと願っています。
今日の担当は、YELLOWでした!
(。>ω<。)ノ またネェ~ッ!
私が大切にしていること
コラム
23/06/19 17:36