発達過程において、「我慢する力」を身につけることは、生涯を通じて社会的、認知的、精神的な健康状態に良い影響を与えることが分かっています (@1_「発達と我慢する力」参照)。
そこで、子どもの我慢する力を伸ばすため、様々な介入研究が行われています。
その一つで、Murray et al. (2016) はメタ認知療法の一つである注意トレーニング (Attention Training: ATT) を用いて子どもの我慢する力を改善できるかどうかを検討しています。
研究は対象の5-6歳児100名を、ATTまたは無介入の条件にランダムに振り分け、我慢する力 (マシュマロテスト)、言語抑制 (実行機能)、気分の測定を介入前後で比較しました。
ATTはWells (1990) によって開発されたもので、本研究では様々な音 (例えば鳥の声、交通渋滞、時計の音など) を11分ほど録音したテープを用いて、対象児は特定の音や、異なる空間に注意を向ける指示に従うトレーニングです。
結果は、ATTを用いて介入した子どもは、我慢する力が有意に改善したことを示しました。この結果を踏まえて著者らは、ATTが子どもの自己調節能力を向上させることができ、これが後の人生における心理的脆弱性を軽減するかもしれないことを示唆しています。
参考文献
Murray, J., Theakston, A., & Wells, A. (2016) Can the attention training technique turn one marshmallow into two? Improving children's ability to delay gratification. Behaviour Research and Therapy, 77, 34-39.
【「我慢する力」を鍛える】
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22/05/24 10:30