終戦80年目の今年の夏、放課後等デイサービス「ひみつきち」では、ただの遊び場や学びの場としてだけではなく、平和の尊さを感じ、未来へつなげる特別な取り組みが始まっていた。

ひみつきちの子どもたちは、戦争の歴史や平和の大切さを学ぶため、地域の戦争体験者や先駆者たちを招き、秘密基地の中で静かに語り合う会を企画した。彼らはその話に胸を打たれ、静謐な場に響くひとつひとつの言葉を、自分ごととして深く受け止めていった。

さらに、ひみつきちでは、創作活動が活発になり、子どもたちは絵や詩、手作りのオブジェを通じて「平和への願い」を表現。それを秘密基地の壁一面に飾ることで、訪れる人々に強いメッセージを伝えた。彼らの純粋な願いと感性が、基地内外にじんわりと広がっていったのだ。

これからのひみつきちの支援は、ただ身体や発達面のサポートだけではなく、心の奥底にある願いや葛藤にも寄り添っていくことが重要だとスタッフたちは考えた。安心して自分の思いを語り、一人ひとりが輝ける居場所作りへと、地域と手を取り合いながら取り組んでいる。

終戦記念日、ひみつきちでは特別な儀式が開かれた。みんなで手作りの千羽鶴を結び、メッセージボードに「未来へ平和をつなごう」と書き込む。そして黙祷の時間、基地は静寂に包まれた。その中で、子どもたちのひとりが小さな声で「どうして戦争は起きるんだろう？」とつぶやいた。

その問いかけが、秘密基地に集う全員の胸に響き、見守る大人たちと子どもたちの間で、未来の平和を築くための真剣な対話が始まった。それは、ただの基地ではなく、希望と決意が結集する心の拠り所となった瞬間だった。

夏の青空の下、ひみつきちの窓から見える遠い空に、子どもたちの願いはそっと舞い上がり、戦いのない未来を信じる希望の灯がしっかりとともされていった。