放課後の「ひみつきち」は、まるで小さな科学実験室のようだった。今日は、子どもたちが待ちに待ったバスボム作りイベントの日だ。テーブルの上には、クエン酸、片栗粉、重曹、そして様々な形のケースが所狭しと並べられている。ボウルとスプーンは、子どもたちの創造力を掻き立てる魔法の杖だ。

「さあ、みんな！今日は自分だけのオリジナルバスボムを作って、夏の暑さを吹き飛ばそう！」

先生の掛け声とともに、子どもたちは我先にと材料を手に取り、バスボム作りに取り掛かった。

まずは、クエン酸、片栗粉、重曹をボウルに入れ、スプーンでよく混ぜ合わせる。粉が舞い上がり、子どもたちの顔は白く染まるが、誰も気にしない。それよりも、これからどんなバスボムができるのか、期待に胸を膨らませているのだ。

次に、お気に入りの入浴剤を混ぜ込む。ピンク、青、黄色…様々な色の入浴剤が混ざり合い、まるで宇宙のようなカラフルな模様が生まれる。香りも、ラベンダー、ローズ、シトラスと様々で、ひみつきちはたちまち甘く爽やかな香りに包まれた。

そして、霧吹きで少しずつ水を加えながら、全体を混ぜていく。水の量が多すぎると、バスボムが発泡してしまうので、慎重に、慎重に…。

「先生、見て！なんかモコモコしてきた！」

子どもたちの歓声が上がる。霧吹きの加減が難しく、失敗してしまう子もいるが、それもまた楽しい思い出だ。

最後に、混ぜ合わせた材料を好きな形のケースに詰め込み、ギュッと押し固める。星型、ハート型、動物型…個性豊かなバスボムが次々と完成していく。

完成したバスボムは、乾燥させるために、しばらくの間ひみつきちに飾られることになった。色とりどりのバスボムが並ぶ様子は、まるでアート作品のようだ。

その日の夕方、家のお風呂にバスボムを入れた子どもたちは、シュワシュワと泡立つお湯の中で、夏の疲れを癒した。ひみつきちで作ったバスボムは、単なる入浴剤ではなく、楽しい思い出と、ちょっぴり科学の知識を詰め込んだ、特別な宝物なのだ。