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その「叱る」、依存になっていませんか?

脳科学から見る「叱らない療育」の正体

今日は、療育の現場で私たちが最も大切にしている考え方の一つ、「なぜ『叱る療育』はご法度なのか」について、医学的な根拠をもとにお話ししたいと思います。
  


1. 「叱る」は、支援者の脳を依存させる

驚かれるかもしれませんが、子供を強く叱って言うことを聞かせた時、実は支援者(大人)の脳内では「ドーパミン」という快楽物質が出ています。
「自分の力で子供をコントロールできた!」という万能感や興奮が、脳にとっての報酬になってしまうのです。ドーパミンには習慣性があるため、一度この快感を覚えると、脳は無意識に「もっと叱りたい」「もっと言うことを聞かせたい」と、叱るターゲットや理由を探すようになってしまいます。
これが「叱る依存」の正体です。
「子供のためを思って叱っている」という言葉の裏で、実は大人の脳が「興奮したい」という欲求に支配されている可能性があるのです。


2. 「叱る」は、思考停止のサイン

「叱って言うことを聞かせる」というのは、非常に単純で即効性があるように見えます。しかし、それは子供の特性に合わせた工夫を放棄した「思考停止」の状態とも言えます。
本来の療育は、
• 「なぜこの子は集団から外れてしまうのか?」
• 「疲れかな? 興味がないのかな? 自信がないのかな?」
と背景を探り、環境を整えることで、叱らなくてもスムーズに活動できる「手立て」を見つける作業です。

叱ることに依存してしまうと、こうした「その子に合った工夫」を考える力が育たなくなってしまいます。


3. 「ドーパミン」は正しく使えば、成長の特効薬になる

一方で、ドーパミン自体が悪者なわけではありません。
大切なのは、「誰の脳に、何のために出すか」です。
• 子供の脳に出す: 褒められた時、宝探しのようなワクワクする活動をした時、子供の脳には良いドーパミンが溢れます。これが「もっとやりたい!」「自分ならできる!」という意欲や自信に繋がります。
• 大人の脳に出す: 「叱ってコントロールする快感」ではなく、「工夫したことで、子供が笑顔で活動できた!」という達成感でドーパミンを出す。これこそが、支援者が目指すべき姿です。



命に関わる危険な場面(飛び出しなど)では、毅然と止めることが必要です。しかし、それ以外の場面で「大人の思い通りに動かすため」に叱ることは、百害あって一利なしです。
私たちが「叱らない療育」を徹底するのは、単なる精神論ではなく、子供の脳を守り、そして支援者自身の脳を健やかに保つためでもあります。
子供が「自分でできた!」という喜びで脳をいっぱいにできるよう、これからも「叱る」に頼らない、丁寧な関わりを模索し続けていきたいですね。


療育センターエコルド はぐみのおうち
理学療法士 内山明奈
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