【専門家監修】ADHD(注意欠如多動症)の遺伝確率は?男女の違い、脳のメカニズムも解説
ADHD(注意欠如多動症)は先天性の障害なので、遺伝が関係してるのではないかという研究結果が発表されています。自分自身やパートナー、家族がADHD(注意欠如多動症)の場合、子どもに遺伝する確率がどれぐらいあるのか気になりますよね。発現の確率や男女の違いについての研究結果をご紹介します。
LITALICO研究所 スペシャルアドバイザー
ADHD(注意欠如多動症)は親から子どもへ遺伝するの?確率は?
この記事で分かること
- ADHD(注意欠如多動症)が発現する要因(遺伝的要因と環境要因の複雑な関係)
- 「親のしつけや愛情不足が原因ではない」という医学的な見解
- ADHD(注意欠如多動症)の原因とされる「脳の機能障害(前頭葉の働き)」のメカニズム
- きょうだい間での発現傾向や、男女比と症状の違い
- 出生前診断の可否と、現在の診断方法(DSM-5-TRを用いた総合的判断)
ADHD(注意欠如多動症)は遺伝的要因と環境要因が複雑に影響して発現するといわれており、親から子どもにADHD(注意欠如多動症)が100%遺伝するわけではありません。また、しつけや育て方は原因にはなりません。
【専門家監修】ADHD(注意欠如多動症)の3つのタイプとは?「不注意」「多動・衝動性」「混合」それぞれの特徴を解説
脳の機能障害には、遺伝的要因が関連するという研究結果もあります。現段階では親からの遺伝が原因となって発現する可能性を確率によって表すことはできませんが、ゼロであるとは言い切れないと考えられています。また、現在進められている中に、家族性についての研究があります。
家族間では遺伝による体質と、生育環境が似ているため、このような傾向が出るのではないかと考えられていますが、ADHD(注意欠如多動症)は体質や環境要因が相互に、複雑に影響して発現します。つまり、単純に親がADHD(注意欠如多動症)だからといって、子どもにADHD(注意欠如多動症)が遺伝するということではありません。
ADHD(注意欠如多動症)の原因は何?
前頭葉は脳の前部分にあり、物事を整理整頓したり論理的に考えたりする働きをします。この部位は注意を持続させたり行動などをコントロールしたりします。ADHD(注意欠如多動症)の人は、こうした注意集中や行動制御の機能に何らかのかたよりや異常があり、前頭葉がうまく働いていないのではないかと考えられています。
前頭葉がうまく働くためには、神経伝達物質のドーパミンがニューロンによって運ばれなくてはいけません。しかしADHD(注意欠如多動症)の人場合うまくニューロンによってドーパミンが運べず、前頭葉の働きが弱くなってしまうと考えられています。それが原因で「多動」「衝動」「不注意」の3つの特徴が表れます。
ADHD(注意欠如多動症)の人は五感からの刺激を敏感に感じ取ってしまう傾向がありますが、それも前頭葉の働きが弱いからだと言われています。思考よりも五感からの刺激を敏感に感じ取ってしまい感覚を過剰に感じてしまうので、論理的に考えたり集中するのが苦手となる傾向があります。
これらの脳機能の障害の素因が先天的にあり、それが出生後の脳機能の発達や環境的な要因と相互に影響して発現するというのが、ADHD(注意欠如多動症)の原因として現在有力とされる説の一つです。
喧嘩でケガ、不登校で転校…発達障害がある子との毎日を守る意外な方法--月200円で心理士相談までもサポート
きょうだい(兄弟・姉妹)でADHD(注意欠如多動症)になる確率は?
ADHD(注意欠如多動症)は男女で発現率が違う?
また、性別によって症状にも違いがあります。男の子は多動の症状が多く見られており、女の子は不注意の症状が多く見られています。この症状の差から女の子の場合、ADHD(注意欠如多動症)の症状が分かりづらいため、見逃されてしまうことも少なくありません。そのため、この4:1という男女の比率の差は実際はもう少し小さいのではないかとも言われています。
ADHD(注意欠如多動症)であることが診断される年齢が男の子は8歳前後、女の子が12歳前後と差があります。この診断年齢の差も、女の子の場合は発達障害であることに気づくことが遅れやすいことに関係があるとされています。
ADHD(注意欠如多動症)を検査する方法はあるの?
ADHD(注意欠如多動症)は脳の働きや神経伝達物質の働きが原因であると言われていますが、身体に特徴的なものもなく、出生後にも生理学的な検査だけではADHD(注意欠如多動症)の診断はできません。
現在は、アメリカ精神医学会で定められている判断基準である『DSM-5-TR』(『精神障害のための診断と統計のマニュアル』第5版・改訂版)を用いて診断がなされます。本人への面談や問診、行動評価、知能・発達・神経学的検査などから、ADHD(注意欠如多動症)かどうかが総合的に診断されています。
ADHD(注意欠如多動症)の特徴は?何歳ごろ診断される?【専門家監修】
ADHDの原因はまだ解明されていない
しかし少なくとも、以前によく言われたような、育て方やしつけ、愛情不足などが原因ではないことは判明しています。ADHD(注意欠如多動症)の症状が原因で子どもが問題行動やトラブルを引き起こしてしまうことが多くあり、周りから親のしつけ不足や愛情が足りていないせいだとか、育て方が悪いと言われることもあります。中には子どものADHD(注意欠如多動症)の症状をみて、自らに責任を感じてしまうご両親もいるとは思いますが、育て方や単純な遺伝が原因ではないということを知っておきましょう。また周りの人々も育て方やしつけが原因ではないということを理解し、パパ・ママや子ども本人のサポートをしましょう。
ADHD(注意欠如多動症)は特性のひとつです。その子にあった環境を整えたり、接し方を工夫することで、逆にその特性を強みとして活かすことができます。ADHD(注意欠如多動症)の人の行動力や自由な発想、興味のあることををつきつめる集中力は目を見張るものがあります。その子らしく生きられるように、子どもがのびのびと育つことができる環境を、周りが整えられるように心がけましょう。
集中できる時間が短い!と感じたときも、焦らずにこうやって始めよう
ADHD(注意欠如多動症)とは?見た目では分からない困りごとなどイラストで解説【専門家監修】
【専門家監修】ADHD(注意欠如多動症)の子どもの育て方は?具体的対処法など
発達障害の原因は?ASD(自閉スペクトラム症)・ADHD(注意欠如多動症)・LD・SLD(限局性学習症)それぞれ原因に違いはあるの?【小児科医監修】
【ADHD(注意欠如多動症)】幼児期から成人期まで、年齢別の特徴や症状の現れ方を解説します【専門家監修】
発達検査、薬の処方に「ぼくは病気なの!?」小4ADHD息子の質問に、なんて答えたら?焦った母は…
子どもの癇癪(かんしゃく)とは?癇癪を起こす原因や発達障害との関連は?しんどいときの対応方法、相談先まとめ【専門家監修】
大人の癇癪(かんしゃく)とは?感情のコントロールができない…発達障害との関連は?【専門家監修】