アスペルガー症候群(AS)の診断・検査の内容は?アスペルガー症候群の特徴チェック

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最近では発達障害の認識も広まり、子どもや自分がアスペルガー症候群なのか気になる方も多くなってきているようです。正確な診断を受けるには発達障害専門の医師に診察してもらう必要がありますが、実際どのような基準でどんな検査をして障害を診断しているのでしょうか?今回は障害の特徴や専門機関での診断基準についてまとめました。

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目次 アスペルガー症候群(AS)の主な症状・特徴 アスペルガー症候群はいつ分かる?診断の年齢は? 医療機関でのアスペルガー症候群の診断基準 専門機関での診断は受けるべき?どこへ行けばいいの? 診断の流れ、必要な持ち物は? まとめ

アスペルガー症候群(AS)の主な症状・特徴

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アスペルガー症候群の3つの主な症状

アスペルガー症候群には大きく分けて3つの症状があります。「コミュニケーションの障害」「対人関係の障害」「限定された物事へのこだわり・興味」の3つです。

1. コミュニケーションの障害
表面上は問題なく会話できるのですが、その会話の裏側や行間を読むことが苦手です。明確な言葉がないと理解がむずかしく、比喩表現などをそのままの意味で鵜呑みにしてしまう傾向があるため、人の言葉を勘違いしやすく、傷つきやすい面があります。

2. 対人関係の障害
場の空気を読むことに困難さがあり、相手の気持ちを理解したりそれに寄り添った言動が苦手な傾向にあります。そのため、社会的なルールやその場の雰囲気を平気で無視をしたような言動になりがちで、対人関係を上手に築くことが難しいです。

3. 限定された物事へのこだわり・興味
いったん興味を持つと過剰といえるほど熱中します。法則性や規則性のあるものを好み、異常なほどのこだわりを見せることがあります。その法則や規則が崩れることを極端に嫌う傾向があります。一方、この特性は逆に強みとして活かすこともできます。

アスペルガー症候群の10の特徴

一見しただけではその人がアスペルガー症候群かどうかは気づきにくく、本人も自覚していない場合もあります。アスペルガー症候群の人によく見られる10個の特徴を紹介します。

1. 明確な指示がないと動けない
2. 場の空気を読んだり、その場の空気に沿った対応が苦手
3. 冗談が通じず、会話の行間や間を読むことが苦手
4. 曖昧なことを理解するのが難しい
5. 好きなことには集中してやり続ける、話し続ける
6. スケジュール管理が苦手
7. 自分が興味のないことは頑なに手を出そうとしない
8. 急な変更にうまく対応できず、だまされやすい
9. 名前を呼ばれないと自分だと気が付かない
10. 相手の気持ちを慮れない、人を傷つけることを平気で言う

上記に付随した細かな症状が他にいくつもありますが、基本的には自分以外の何か(人や物事)にうまく共感できない、言い回しが不適切などのコミュニケーションにおける困難さが主な症状となります。一方で、一度興味を持った物事に対しては、異常なほどのこだわりや集中力、記憶力を発揮する場合もあります。さらに、アスペルガー症候群だけではなく、ADHDなど、他の障害の症状を持ちあわせている場合もあります。

アスペルガー症候群はいつ分かる?診断の年齢は?

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アスペルガー症候群は知的な遅れがなく、見た目などからはわかりづらいため、気づくのがとても難しい障害の一つです。大人になってからもその障害に気づかずに生活をしている人も少なくないと言われています。

特に、言語・認知・学習といった発達領域が未発達の乳児では、症状が分かりやすく出てこないため、生後すぐにアスペルガー症候群と診断されることはありません。また。アスペルガー症候群の症状は他の発達障害の症状とも共通するものが多くあり、見分けが難しいこともあります。

以上のことから、アスペルガー症候群の明確な診断年齢はありませんが、各年代によく見られる症状を参考にしつつ、総合的に確認すると気づくきっかけになりやすいと言えるでしょう。

■乳児期(0~1歳)

乳児期にはアスペルガー症候群の確定診断はほぼ出ないと言ってよいでしょう。ただし、のちにアスペルガー症候群と診断された人達の中には、乳児期に特徴的な行動を共通してとっていたことが多いです。ここでは、そうした乳児期の典型的な症状をご紹介します。

同年齢の子どもと比較して、下記のような傾向が見られる場合があります。
・目を合わせない
・笑わない
・音や触覚の過敏性がある
・人見知りしない
・指さしが見られない など

■幼児期(1歳~小学校就学)
同年齢の子どもと比較して、下記のような傾向が見られる場合があります。
・かなりのマイペースで集団から孤立しやすい
・一つ一つ説明しないと理解できない
・特定の順番や並び、場所などにこだわる
・相手の表情が読めない
・一人遊びに熱中すると周りがみえなくなる
・特定のものや知識を集めることを好む
・親がそばにいなくても平気 など

■学童期(6~12歳)
同年齢の子どもと比較して、下記のような傾向が見られる場合があります。
・得意科目と苦手科目の差が開きすぎる
・多動が目立ち、集中力がない
・行事や特別活動に参加できない
・好きなことには取り組むが、嫌いなことには拒否が多くなる
・相手の気持ちや意図が読み取れない
・会話が一方的で、相手がその話題に興味がなくても話し続ける
・国語のテストで登場人物の気持ちを問う問題が苦手 など

■青年期以降(12歳~)
同年齢の人と比較して、下記のような傾向が見られる場合があります。
・集団行動が苦手で周りの輪を見出しがちになる
・規則正しい生活ができるが、イレギュラーに対応できない
・自分の考えに固執する
・冗談や比喩、皮肉がわからない など

思春期の頃などには、適応障害が強くなり、うつや不登校などの二次障害や合併症をきっかけに気づくケースもあります。大人になってからの診断については、本人が自覚したり、他者からの指摘により気づいたりすることも多いようです。

■二次障害の症状
・周囲から浮いていることを自覚し、被害意識が強い
・劣等感が強い
・抑うつ的である など

以上のような様子が顕著に見られた際やトラブルなどをきっかけに、家族が学校や医療機関、相談センターなどに相談し、診断につながることが多いようです。特に集団行動が始まる頃から特徴が表れやすく、その頃の診断が多いとされています。最近では3歳児健診や就学時健診などをきっかけに、幼児期に診断を受けるケースも増えてきました。

アスペルガー症候群の診断は専門機関で問診や心理検査などを行い、専門家が総合的に判断します。また確定診断は1度の受診ではなく、複数回の受診や様々な検査結果を総合して慎重に行われます。

医療機関でのアスペルガー症候群の診断基準

アスペルガー症候群について、気になる症状がある場合は医師に相談し、診断を受けることもできます。医療機関での診断は、アメリカ精神医学会の『DSM-5』(『精神障害のための診断と統計のマニュアル』第5版)や世界保健機関(WHO)の『ICD-10』(『国際疾病分類』第10版)による診断基準によって下されます。

医療機関では、診断基準に基づいたテスト、その人のライフスタイルや困難についての質疑応答など、しっかりと話を聞いた上で総合的に判断されます。原因や治療は「自閉症」と共通するパターンが多いです。個々のニーズにあった療育や支援、投薬が必要となってきます。

なお、DSM-5ではアスペルガー症候群は自閉症スペクトラム障害と診断されるようになったため、今後アスペルガー症候群の診断が下ることは少なくなると考えられます。しかしICD-10によって診断を行う医師もおり、またすでにこの障害名での診断をうけた当事者も多いことから、本記事ではICD-10におけるアスペルガー症候群の診断基準をご紹介します。

A.表出性・受容性言語や認知能力の発達において、臨床的に明らかな全般的遅延はないこと。診断にあたっては、2歳までに単語の使用ができており、また3歳までに意思の伝達のための二語文(フレーズ)を使えていることが必要である。身辺処理や適応行動および周囲に向ける好奇心は、生後3年間は正常な知的発達に見合うレベルでなければならない。しかし、運動面での発達は多少遅延することがあり、運動の不器用さはよくある(ただし、診断に必須ではない)。突出した特殊技能が、しばしば異常な没頭にともなってみられるが、診断に必須ではない。

B.社会的相互関係における質的異常があること(自閉症と同様の診断基準)。
(a) 視線・表情・姿勢・身振りなどを、社会的相互関係を調整するための手段として適切に使用できない。
(b) (機会は豊富にあっても精神年齢に相応した)友人関係を、興味・活動・情緒を相互に分かち合いながら十分に発展させることができない。
(c) 社会的・情緒的な相互関係が欠除して、他人の情動に対する反応が障害されたり歪んだりする。または、行動を社会的状況に見合ったものとして調整できない。あるいは社会的、情緒的、意志伝達的な行動の統合が弱い。
(d) 喜び、興味、達成感を他人と分かち合おうとすることがない。(つまり、自分が関心をもっている物を、他の人に見せたり、持ってきたり、指し示すことがない)

C.度はずれに限定された興味、もしくは、限定的・反復的・常同的な行動・関心・活動性のパターン(自閉症と同様の診断基準。しかし、奇妙な運動、および遊具の一部分や本質的でない要素へのこだわりをともなうことは稀である)。
 次に上げる領域のうち少なくとも1項が存在すること。
(a) 単一あるいは複数の、常同的で限定された興味のパターンにとらわれており、かつその内容や対象が異常であること。または、単一あるいは複数の興味が、その内容や対象は正常であっても、その強さや限定された性質の点で異常であること。
(b) 特定の無意味な手順や儀式的行為に対する明らかに強迫的な執着。
(c) 手や指を羽ばたかせたり絡ませたり、または身体全体を使って複雑な動作をするなどといった、常同的・反復的な奇異な行動。
(d) 遊具の一部や機能とは関わりのない要素(たとえば、それらが出す匂い・感触・雑音・振動)へのこだわり。

D.障害は、広汎性発達障害の他の亜型、単純型分裂病、分裂病型障害、強迫性障害、強迫性人格障害、小児期の反応性・脱抑制性愛着障害などによるものではない。

出典:http://www.pref.nagano.lg.jp/hoken-shippei/kenko/kenko/seishin/documents...

専門機関での診断は受けるべき?どこへ行けばいいの?

アスペルガー症候群を疑ったら、まずは専門機関での相談を

医療機関で診断を受けるかどうか、決めるのは本人や家族の判断となります。ですが、上記で述べた症状や特徴が多く当てはまる場合や、気になることがある場合には、一度身近な専門機関で相談するとよいでしょう。

チェックポイントなどで、ある程度傾向をみることができますが、アスペルガー症候群は診断が非常に難しい障害です。インターネットなどでもセルフチェックできるサイトもありますが、信頼しすぎて素人判断をしないようにしましょう。また、子どものことを思いすぎるあまり、偏った目でチェックしてしまう場合もあります。本人にとって適切な支援をするためにも、主観的な判断にならないよう自己判断をせず、きちんとした専門機関で診断してもらうことが大切です。
いきなり専門医に診てもらうことは難しいので、まずは無料で相談できる身近な専門機関の相談窓口を利用するのがおすすめです。子どもか大人かによって、行くべき機関が違うので、以下を参考にしてください。

【子どもの場合】
・保健センター
・子育て支援センター
・児童発達支援事業所 など

【大人の場合】
・発達障害者支援センター
・障害者就業・生活支援センター
・相談支援事業所 など

診断が受けられる専門機関

身近な相談センターに行って相談し、障害の疑いがある場合、診断を希望すればそこから専門医を紹介してもらえます。自宅の近くに相談センターがない場合には、電話での相談にのってくれることもあります。

診断を受けられれる医療機関としては、子どもの場合、小児科・児童精神科・小児神経科や発達外来などです。(大学病院や総合病院などにあります)

大人になって検査・診断を初めて受ける場合には、精神科や心療内科、大人もみてくれる児童精神科・小児神経科など専門の医療機関を受診することが一般的ですが、大人の発達障害を診断できる病院はまだ数が多くありません。上記の相談機関で紹介してもらえるほか、医師会や障害者支援センター、発達障害者支援センターなどでも調べることができます。

発達障害の専門機関は他の病気に比べると少ないですが、発達障害支援法などの施行によって年々増加はしています。以下のリンクは発達障害の診療を行える医師の一覧です。

診断の流れ、必要な持ち物は?

診断の流れ

アスペルガー症候群の診断は医師の問診がメインになっています。問診で本人が自宅や学校でどのような日常を送っているのかを詳しく聞き取ったり、直接本人の様子を見たりして症状や特性などを判断します。また、親との面談の時にこれまでの生育歴・既往歴・家族歴などを聞かれます。子どもことを医師が正確に知るために親や担任にチェックリストを記入してもらうことがあります。それ以外にも必要な場合には心理テストや知能テストを行い、総合的に判断します。

大人の場合には、医師の問診でまず現状の確認をします。この時に日常的に困っていること、普段の生活の様子、得意なことや他の病院にかかっているかどうかを伝えるようにします。次にこれまでの経緯を聞かれます。(子どもの頃の様子、家族から見た印象やこれまでの病歴などについて)次に心理検査・生理学的検査などが行われます。そうしてひとまずの診断が下されます。以上がアスペルガー症候群の診断の流れになります。先にも述べたように1回の受診で診断が下されることはありません。時間をかけて慎重に診断が下されます。

診断に必要な準備や持ち物

受診する医療機関によっても変わりますので、持ち物や準備については予約時に確認しましょう。

日常生活での行動や様子も大きな診断の要素になります。専門機関を受診する前に、アスペルガー症候群の特徴を本人がどの程度持っているか、本人の状態を把握しておくことも大切です。資料として役立つことがあるので、日常生活での行動や様子の具体的なメモを持参するとよいでしょう。

■診断までに把握しておきたいこと
・特徴を確認する
・本人をよく観察し、気になることや気が付いたことはメモをしておく
・本人と話をしてみて、本人が悩んでいることや気にしていることはないか聞いてみる

■当日の持ち物
把握した内容は具体的なメモにし、当日持参するとよいでしょう。

子どもの場合
・担任に記録してもらった学校での様子のメモなど
・母子手帳
・保育園や幼稚園時の連絡帳
・通知表
・子どもの自筆のノートなど

大人の場合
・家族に聞いた子どもの頃の様子のメモ
・小学校の通知表など子どもの頃が分かるもの など

まとめ

アスペルガー症候群は決してまれな障害ではありません。専門機関に相談し、支援を受けることで、本人が困っているつらい状態を、一人一人に合った方法で生きやすく改善できます。療育や支援方法なども様々ありますので、不安に思うことはどんどん医師や専門機関に相談しましょう。

医療機関で診断を受けたら、落ち着いて受け止め、今後の対処を考えていくことが大切です。家族や周りにも障害について理解を深めてもらい、サポートもお願いしておくとスムーズです。一人で抱え込まないで、支援してもらえる機関や人を頼れる環境を準備しておくと安心ですね。
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監修: 井上 雅彦
鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授
応用行動分析学
自閉症支援士エキスパート
LITALICO研究所 所長 (アドバイザー)
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