アスペルガー症候群(AS)の診断・検査の内容は?年代別の特徴や診断基準について詳しく解説します

2016/06/13 更新
アスペルガー症候群(AS)の診断・検査の内容は?年代別の特徴や診断基準について詳しく解説します のタイトル画像

最近では発達障害の認識も広まり、子どもや自分がアスペルガー症候群なのか気になる方も多くなってきているようです。正確な診断を受けるには発達障害専門の医師に診察してもらう必要がありますが、実際どのような基準でどんな検査をして障害を診断しているのでしょうか?今回は障害の特徴や専門機関での診断基準についてまとめました。

発達障害のキホン
534247 View
監修: 井上 雅彦
鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授
応用行動分析学
自閉症支援士エキスパート
LITALICO研究所 客員研究員
目次 アスペルガー症候群(AS)の主な症状・特徴 アスペルガー症候群はいつ分かる?診断の年齢は? 医療機関でのアスペルガー症候群の診断基準 専門機関での診断は受けるべき?どこへ行けばいいの? 診断の流れ、必要な持ち物は? まとめ

アスペルガー症候群(AS)の主な症状・特徴

アスペルガー症候群(AS)の診断・検査の内容は?年代別の特徴や診断基準について詳しく解説します の画像
Upload By 発達障害のキホン

アスペルガー症候群の3つの主な症状

アスペルガー症候群には大きく分けて3つの症状があります。「コミュニケーションの障害」「対人関係の障害」「限定された物事へのこだわり・興味」の3つです。

1. コミュニケーションの障害
表面上は問題なく会話できるのですが、その会話の裏側や行間を読むことが苦手です。明確な言葉がないと理解がむずかしく、比喩表現などをそのままの意味で鵜呑みにしてしまう傾向があるため、人の言葉を勘違いしやすく、傷つきやすい面があります。

2. 対人関係の障害
場の空気を読むことに困難さがあり、相手の気持ちを理解したりそれに寄り添った言動が苦手な傾向にあります。そのため、社会的なルールやその場の雰囲気を平気で無視をしたような言動になりがちで、対人関係を上手に築くことが難しいです。

3. 限定された物事へのこだわり・興味
いったん興味を持つと過剰といえるほど熱中します。法則性や規則性のあるものを好み、異常なほどのこだわりを見せることがあります。その法則や規則が崩れることを極端に嫌う傾向があります。一方、この特性は逆に強みとして活かすこともできます。

アスペルガー症候群の10の特徴

一見しただけではその人がアスペルガー症候群かどうかは気づきにくく、本人も自覚していない場合もあります。アスペルガー症候群の人によく見られる10個の特徴を紹介します。

1. 明確な指示がないと動けない
2. 場の空気を読んだり、その場の空気に沿った対応が苦手
3. 冗談が通じず、会話の行間や間を読むことが苦手
4. 曖昧なことを理解するのが難しい
5. 好きなことには集中してやり続ける、話し続ける
6. スケジュール管理が苦手
7. 自分が興味のないことは頑なに手を出そうとしない
8. 急な変更にうまく対応できず、だまされやすい
9. 名前を呼ばれないと自分だと気が付かない
10. 相手の気持ちを慮れない、人を傷つけることを平気で言う

上記に付随した細かな症状が他にいくつもありますが、基本的には自分以外の何か(人や物事)にうまく共感できない、言い回しが不適切などのコミュニケーションにおける困難さが主な症状となります。一方で、一度興味を持った物事に対しては、異常なほどのこだわりや集中力、記憶力を発揮する場合もあります。さらに、アスペルガー症候群だけではなく、ADHDなど、他の障害の症状を持ちあわせている場合もあります。

アスペルガー症候群はいつ分かる?診断の年齢は?

アスペルガー症候群(AS)の診断・検査の内容は?年代別の特徴や診断基準について詳しく解説します の画像
Upload By 発達障害のキホン
アスペルガー症候群は知的な遅れがなく、見た目などからはわかりづらいため、気づくのがとても難しい障害の一つです。大人になってからもその障害に気づかずに生活をしている人も少なくないと言われています。

特に、言語・認知・学習といった発達領域が未発達の乳児では、症状が分かりやすく出てこないため、生後すぐにアスペルガー症候群と診断されることはありません。また。アスペルガー症候群の症状は他の発達障害の症状とも共通するものが多くあり、見分けが難しいこともあります。

以上のことから、アスペルガー症候群の明確な診断年齢はありませんが、各年代によく見られる症状を参考にしつつ、総合的に確認すると気づくきっかけになりやすいと言えるでしょう。

■乳児期(0~1歳)

乳児期にはアスペルガー症候群の確定診断はほぼ出ないと言ってよいでしょう。ただし、のちにアスペルガー症候群と診断された人達の中には、乳児期に特徴的な行動を共通してとっていたことが多いです。ここでは、そうした乳児期の典型的な症状をご紹介します。

同年齢の子どもと比較して、下記のような傾向が見られる場合があります。
・目を合わせない
・笑わない
・音や触覚の過敏性がある
・人見知りしない
・指さしが見られない など

■幼児期(1歳~小学校就学)
同年齢の子どもと比較して、下記のような傾向が見られる場合があります。
・かなりのマイペースで集団から孤立しやすい
・一つ一つ説明しないと理解できない
・特定の順番や並び、場所などにこだわる
・相手の表情が読めない
・一人遊びに熱中すると周りがみえなくなる
・特定のものや知識を集めることを好む
・親がそばにいなくても平気 など

■学童期(6~12歳)
同年齢の子どもと比較して、下記のような傾向が見られる場合があります。
・得意科目と苦手科目の差が開きすぎる
・多動が目立ち、集中力がない
・行事や特別活動に参加できない
・好きなことには取り組むが、嫌いなことには拒否が多くなる
・相手の気持ちや意図が読み取れない
・会話が一方的で、相手がその話題に興味がなくても話し続ける
・国語のテストで登場人物の気持ちを問う問題が苦手 など

■青年期以降(12歳~)
同年齢の人と比較して、下記のような傾向が見られる場合があります。
・集団行動が苦手で周りの輪を乱しがちになる
・規則正しい生活ができるが、イレギュラーに対応できない
・自分の考えに固執する
・冗談や比喩、皮肉がわからない など

思春期の頃などには、適応障害が強くなり、うつや不登校などの二次障害や合併症をきっかけに気づくケースもあります。大人になってからの診断については、本人が自覚したり、他者からの指摘により気づいたりすることも多いようです。

■二次障害の症状
・周囲から浮いていることを自覚し、被害意識が強い
・劣等感が強い
・抑うつ的である など

以上のような様子が顕著に見られた際やトラブルなどをきっかけに、家族が学校や医療機関、相談センターなどに相談し、診断につながることが多いようです。特に集団行動が始まる頃から特徴が表れやすく、その頃の診断が多いとされています。最近では3歳児健診や就学時健診などをきっかけに、幼児期に診断を受けるケースも増えてきました。

アスペルガー症候群の診断は専門機関で問診や心理検査などを行い、専門家が総合的に判断します。また確定診断は1度の受診ではなく、複数回の受診や様々な検査結果を総合して慎重に行われます。

医療機関でのアスペルガー症候群の診断基準

アスペルガー症候群について、気になる症状がある場合は医師に相談し、診断を受けることもできます。医療機関での診断は、アメリカ精神医学会の『DSM-5』(『精神障害のための診断と統計のマニュアル』第5版)や世界保健機関(WHO)の『ICD-10』(『国際疾病分類』第10版)による診断基準によって下されます。

医療機関では、診断基準に基づいたテスト、その人のライフスタイルや困難についての質疑応答など、しっかりと話を聞いた上で総合的に判断されます。原因や治療は「自閉症」と共通するパターンが多いです。個々のニーズにあった療育や支援、投薬が必要となってきます。

なお、DSM-5ではアスペルガー症候群は自閉症スペクトラム障害と診断されるようになったため、今後アスペルガー症候群の診断が下ることは少なくなると考えられます。しかしICD-10によって診断を行う医師もおり、またすでにこの障害名での診断をうけた当事者も多いことから、本記事ではICD-10におけるアスペルガー症候群の診断基準をご紹介します。

A.表出性・受容性言語や認知能力の発達において、臨床的に明らかな全般的遅延はないこと。診断にあたっては、2歳までに単語の使用ができており、また3歳までに意思の伝達のための二語文(フレーズ)を使えていることが必要である。身辺処理や適応行動および周囲に向ける好奇心は、生後3年間は正常な知的発達に見合うレベルでなければならない。しかし、運動面での発達は多少遅延することがあり、運動の不器用さはよくある(ただし、診断に必須ではない)。突出した特殊技能が、しばしば異常な没頭にともなってみられるが、診断に必須ではない。

B.社会的相互関係における質的異常があること(自閉症と同様の診断基準)。
(a) 視線・表情・姿勢・身振りなどを、社会的相互関係を調整するための手段として適切に使用できない。
(b) (機会は豊富にあっても精神年齢に相応した)友人関係を、興味・活動・情緒を相互に分かち合いながら十分に発展させることができない。
(c) 社会的・情緒的な相互関係が欠除して、他人の情動に対する反応が障害されたり歪んだりする。または、行動を社会的状況に見合ったものとして調整できない。あるいは社会的、情緒的、意志伝達的な行動の統合が弱い。
(d) 喜び、興味、達成感を他人と分かち合おうとすることがない。(つまり、自分が関心をもっている物を、他の人に見せたり、持ってきたり、指し示すことがない)

C.度はずれに限定された興味、もしくは、限定的・反復的・常同的な行動・関心・活動性のパターン(自閉症と同様の診断基準。しかし、奇妙な運動、および遊具の一部分や本質的でない要素へのこだわりをともなうことは稀である)。
 次に上げる領域のうち少なくとも1項が存在すること。
(a) 単一あるいは複数の、常同的で限定された興味のパターンにとらわれており、かつその内容や対象が異常であること。または、単一あるいは複数の興味が、その内容や対象は正常であっても、その強さや限定された性質の点で異常であること。
(b) 特定の無意味な手順や儀式的行為に対する明らかに強迫的な執着。
(c) 手や指を羽ばたかせたり絡ませたり、または身体全体を使って複雑な動作をするなどといった、常同的・反復的な奇異な行動。
(d) 遊具の一部や機能とは関わりのない要素(たとえば、それらが出す匂い・感触・雑音・振動)へのこだわり。

D.障害は、広汎性発達障害の他の亜型、単純型分裂病、分裂病型障害、強迫性障害、強迫性人格障害、小児期の反応性・脱抑制性愛着障害などによるものではない。

出典:http://www.pref.nagano.lg.jp/hoken-shippei/kenko/kenko/seishin/documents...

専門機関での診断は受けるべき?どこへ行けばいいの?

当サイトに掲載されている情報、及びこの情報を用いて行う利用者の行動や判断につきまして、正確性、完全性、有益性、適合性、その他一切について責任を負うものではありません。また、掲載されている感想やご意見等に関しましても個々人のものとなり、全ての方にあてはまるものではありません。
放課後等デイサービス・児童発達支援の求人一覧です。待遇・給与、勤務時間、研修・教育制度、職員のインタビューからあなたにぴったりの職場を探せます。
会員登録後のエントリーで1,000円のAmazonギフトカードがもらえるキャンペーンを実施中!
あわせて読みたい関連記事

あわせて読みたい関連記事

発達障害のキホンを知る

発達障害のキホンを知る

この記事を書いた人

発達障害のキホン さんが書いた記事

PTSD(心的外傷後ストレス障害)とは?原因、症状、治療、PTSDに似た発達障害の症状まで解説のタイトル画像

PTSD(心的外傷後ストレス障害)とは?原因、症状、治療、PTSDに似た発達障害の症状まで解説

PTSDは、つらいできごとがトラウマとなり、さまざまな症状を発症する疾患です。発症すると、そのできごとに関わる人・場所を過度に避けたり、考...
発達障害のこと
254151 view
2018/12/09 更新
子どもの癇癪(かんしゃく)とは?原因、発達障害との関連、癇癪を起こす前の対策と対処法、相談先まとめのタイトル画像

子どもの癇癪(かんしゃく)とは?原因、発達障害との関連、癇癪を起こす前の対策と対処法、相談先まとめ

大声で泣き叫んだり、暴れたりする子どもに困っている…。一旦気持ちが爆発するとなかなか収まらない癇癪ですが、子どもが癇癪を起こす背景には必ず...
発達障害のこと
656750 view
2018/12/07 更新
難病の軽症高額該当で、医療費助成の対象外でも支援が受けられる?制度該当条件などを詳しく解説します!のタイトル画像

難病の軽症高額該当で、医療費助成の対象外でも支援が受けられる?制度該当条件などを詳しく解説します!

難病法には重症度基準が設けられ、病状の程度が一定以上の人は、医療費助成の対象となります。しかし、指定難病の診断を受けていても、治療により症...
身のまわりのこと
3858 view
2018/12/04 更新
放課後等デイサービス・児童発達支援事業所をお探しの方はこちら

放課後等デイサービス・児童発達支援事業所をお探しの方はこちら

コラムに対する投稿内容については、株式会社LITALICOがその内容を保証し、また特定の施設、商品及びサービスの利用を推奨するものではありません。投稿された情報の利用により生じた損害について株式会社LITALICOは一切責任を負いません。コラムに対する投稿内容は、投稿者の主観によるもので、株式会社LITALICOの見解を示すものではありません。あくまで参考情報として利用してください。また、虚偽・誇張を用いたいわゆる「やらせ」投稿を固く禁じます。「やらせ」は発見次第厳重に対処します。