ADHD(注意欠陥・多動性障害)の子どもの接し方は?子育ての困難と対処法まとめ 

2016/06/17 更新
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ADHDの症状がみられる子どもの子育ては、様々な困難があるものですよね。しかし、ADHDの特性を理解し、接し方を少し変えるだけでそれらの困難は大きく改善します。ADHDの子どもへの接し方と、様々な困難への対処法を具体的な例をあげて紹介します。

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発達障害のキホン
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監修: 井上 雅彦
鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授
応用行動分析学
自閉症支援士エキスパート
LITALICO研究所 客員研究員
目次 ADHD(注意欠陥・多動性障害)の子どもの生活での9つの困難と対処法 ADHDの子どもへの接し方は? ADHDの子どもに接する際に注意するべきこと ADHDとうまく向き合う方法を見つけましょう

ADHD(注意欠陥・多動性障害)の子どもの生活での9つの困難と対処法

ADHD(注意欠陥・多動性障害)は英語でAttention Deficit Hyperactivity Disorderの略で、不注意(集中力がない)、多動性(じっとしていられない)、衝動性(考えずに行動してしまう)の3つの症状がみられる発達障害のことです。 注意欠如・多動性障害とも呼ばれます。年齢や発達に不釣り合いな行動が社会的な活動や学業に支障をきたすことがある障害です。

文部科学省はADHDを以下のように定義しています。

ADHDとは、年齢あるいは発達に不釣り合いな注意力、及び/又は衝動性、多動性を特徴とする行動の障害で、社会的な活動や学業の機能に支障をきたすものである。
また、7歳以前に現れ、その状態が継続し、中枢神経系に何らかの要因による機能不全があると推定される。

出典:http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/004/008/001.htm
ADHDの子どもを育てる場合、どのような困難が伴うでしょうか?

以下に、典型的な9つの困り事と、それぞれの対処法を述べていきます。

1. 部屋を散らかしっぱなしにして片付けられない

ADHDの子どもの中には、片付けが苦手な子が多いです。好奇心旺盛でおもちゃや絵本など気になる物をどんどん出していきますが、散らかすばかりで片付けられないこともあります。

いきなりきちんと整理整頓するのはかなりハードルが高いものです。例えば家の中でおもちゃを出していいゾーンや部屋を決めましょう。こうすることで家中が散らかされてしまうことを防ぐことができます。そして、例えばその「ゾーンから出たおもちゃなどは、ママのおもちゃにします」などと子どもと約束しましょう。そうすることによって、子どもも約束を守ろうと思うはずです。またゾーン内だけでおもちゃを出して遊べたら褒めてあげましょう。

また、部屋の隅などに大きな箱を置くなど、おもちゃを片づけるスペースのルールを作り、片づけの仕方を分かりやすくします。多くの場所に色んなものを片付けるより、子どもにとってルールが守りやすくなります。また、片付ける箱や入れ物に中に入れるべきものの絵や写真を貼ると、何をどうするべきなのかより理解しやすくなります。

片づけられたら、「ちゃんと片付けられたね、えらい!」と忘れずに褒めましょう。片づけ終わった時から時間が経ってから褒めるのではなく、その場で褒めてあげることを心がけましょう。

2. 宿題を何度言ってもやらない

子どもに何度注意しても宿題をやらないことがありますよね。宿題をやっている途中で他のことをやり始めたり、親から確認するまで宿題をやろうとしなかったり、ついついイライラして怒鳴ってしまったりしていませんか?ADHDの子どもが宿題をやらなかったり忘れることには理由があります。

・宿題よりもやりたいことを優先してしまう
・宿題をやっている最中に気が散ってしまう
・宿題があることを忘れてしまう
・学校の勉強に集中できないので、宿題が分からない

大きな原因としては、この4つが考えられます。一つずつの対処法を見ていきましょう。

まず気が散って宿題ができない場合には、子どもが集中しやすい環境を作ってあげることが大切です。勉強するスペースを部屋の端にしたり、ついたてを使って視覚的な刺激が入らないようにし、注意が他のところに行かないような環境を作りましょう。机の上は片づけ、宿題をするのに必要なものだけを準備すると、やるべきことに集中できます。

次に、宿題があることを忘れてしまう場合には、しっかり管理する方法を子どもと一緒に見つけましょう。例えば、宿題は必ず決めたファイルに入れるというルールを決めることで、そのファイルを見るだけで宿題があるかどうかが分かります。連絡帳や宿題ノートに書いたり、担任の先生に協力してもらうのもの一つの手ですね。

また、本人が好きな活動を先に始めてしまうと、それを中断して宿題をするのが難しくなることがあります。その場合は、まず「ご飯の前に宿題をする」「ゲームは宿題が終わってから」など、いつ宿題をするか、明確なルールを子どもと一緒に決め約束します。

そしてスケジュールなどを活用して、できるだけ最初に宿題に取り組むように習慣づけていきましょう。長い時間集中できない場合は、タイマーやスケジュールを活用し、休憩をはさむようにしたり、教科や課題を変えて新しい気分で取り組めるようにしたりするなどの工夫が効果的です。

最後に、授業に集中できないため宿題が分からないのであれば、学校に協力してもらい、授業にも集中できる環境を用意してもらいましょう。一番前の席に座ってできるだけ注意が散漫にならないようにしたり、先生にこまめに声かけしてもらうようお願いしましょう。

勉強が苦手な場合には、毎日時間を決めて親が一緒に勉強を教えたり、個別指導塾や家庭教師を検討するのもよいでしょう。

3. 突然飛び出す。すぐにどこかへいなくなる

親にとっては本当にドキリとする行動で悩まされてしまいますね。レジでお金を払おうとした瞬間や、横断歩道、道路や公共の場所と様々な場所で突然飛び出してしまったり、いなくなってしまうことがあります。

飛び出しに危険が伴う場合には、子どもの命を守ることが第一です。まだ幼い年齢の時にはハーネスなどを使ったり、歩くと音が鳴るサンダルなどで動きがわかるようにするのもおすすめです。万が一に備え、GPS機器などを持たせてもよいでしょう。

原則としては、飛び出した時に単に叱るだけではなく、親や周囲の人に行き先を伝えてから行動するように習慣づけることが大切です。
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4. 友達に乱暴をしてしまう

友達に手を上げたり乱暴をすることがあります。この場合には、ただ感情的に叱るのではなく、まずは本人の気持ちを落ち着かせることを優先しましょう。次にどうして乱暴をしてしまったのかの理由を聞いてあげましょう。そして「そうだったんだね、○○な思いをしたんだね」と気持ちに共感してあげ、でも「乱暴をするのは良くない」のだということを伝えます

その上で、乱暴をする以外で問題を解決できる行動を提案してみましょう。「次からは○○しないで(言わないで)って言ってみたらどうかな?」などです。ルール化して、絵や文章にして明示しておくとよいでしょう。なかなかすぐには改善できないかもしれませんが、諦めずにわかりやすい方法で伝えてください。

5. ゲームに熱中してやめない

まずは「ゲームを○時までやってもいい」「勉強や宿題をすませてからゲームをする」など子どもと約束をします。そして、「ママが声をかけたらゲームをやめる」、「キッチンタイマーなどをセットして鳴ったらゲームを終わりにする」など明確なルールを決めておきます。宿題や勉強を終えてからゲームを始めた時には、きちんと約束を守れたことを褒めてあげましょう。

まずは宿題の後にゲームをするという約束を定着させることから始めましょう。それまではゲームに熱中しすぎて約束の時間を少し過ぎたとしても叱らないようにしましょう。この約束が定着してきたら、ゲームの終了時間を定着するために約束を守らせましょう。約束は1つずつすることがコツです。

6.癇癪を起こして暴れる

ゲームで負けるなど、自分の思い通りにならないと、癇癪を起こしたり、暴れたり……。感情がうまくコントロールできず、我慢ができないADHDの特性によるものですが、そんなとき対応する大人が感情的に反応すると、ますますヒートアップしてしまいます。

暴れているときに叱っても、子どもの心には届きません。一度トラブルの原因がある場所から離して、しばらく別の部屋などに移動させ、大人も少し距離をとってクールダウンを促します。
 
負けて悔しい、と思う気持ち自体は悪くないので、落ち着いて話を聞ける状態になったら、「悔しかったんだね。」と子どもの気持ちを受けとめてあげましょう。その上で、子どもの態度は問題にせず、論理的にわかりやすく何がいけなかったかを伝えます。癇癪を起こすのではなく、別の方法で悔しさを表現したり落ち着き方を学べるように一緒に解決法を考えましょう

7. 落ち着きなく動き回る

じっとしていられないと、特に外出先や学校などでトラブルになったり、周囲の人に迷惑がかかるのでは、とパパ・ママはひやひやしてしまいますね。

ADHDの症状の一つ、落ち着きのなさは、不慣れな場所や緊張を強いられる場所、刺激の多い場所で起きやすいのが特徴です。不安な気持ちら引き起こされるので、強く注意されると、より緊張してコントロールが難しくなります。

外出先などで静かにしてほしい時やおとなしく待ってほしい時は、好きな絵本やDVDなどを見せる、絵が好きならお絵セットを持って行って描かせるなどの工夫をするとよいでしょう。

また、ADHDの子どもは筋力やバランス感覚の弱いことも考えられます。姿勢を保つのが難しく疲れやすいことも、じっとしていられない原因の一つなのです。動き回ったり、休憩したり、リラックスできる時間を意識して取り入れましょう。日頃から筋力やバランス感覚をつけるように運動機能面のトレーニングをしてみてもよいでしょう。

また、多動をおさえられたときにタイミングよくほめるのも効果的です。おとなしく座っていられたら「頑張ったね。おとなしくしていられたね」と肯定し、頑張りをほめます。最初は2、3分からスタートし、少しずつじっとしていられる時間を伸ばしていくようにします。

8. 忘れ物が多い

不注意から忘れ物が多くなってしまいます。ADHDの場合、ワーキングメモリという記憶の機能不全が原因なので「本人が本当に困れば、次から気をつけるはず」と放っておいても絶対に解決しません。

学校の準備などは子どもと一緒に確認しながら進めます。イラストや写真入りの持ち物メモをつくり、チェックするのもおすすめです。荷物はできるだけひとまとめにしたり、ノートは全教科で1冊にしたり、工夫して持ち物を少なくするのもよいでしょう。繰り返し、根気よく続けることで、こまめに確認する習慣をつけることが大切です。

9. 声が大きく、いつもしゃべっている

声にボリュームが何段階があることを教えて、「お友達と近くでおしゃべりする時にはボリュームはどれぐらい?」「電車のではどのボリュームでしゃべってもいいの?」などたずねながら教えていきます。

また、声に出して言うべきことと心の中で言うべきことの違いを教え、心の声は心の中だけでおしゃべりをして声に出さないことを教えます。「しずかにお話を聞けて、えらかったね」などと、できたらほめることも忘れずに。

ADHDの子どもへの接し方は?

指示は具体的に一つずつ

くどくどと長い説明や、「ちゃんとして」「急いで」など抽象的な言い方は、ADHDの子どもには伝わりにくいことがあります。予定ややってほしいことを短く具体的に伝えてあげることを心がけましょう。

ついあれこれと一度にやってほしいことを言いたくなりますが、どうしていいか混乱したり、ハードルが高いと失敗や自信を失う原因になります。できそうなことに一つずつ取り組む「スモールステップ」で進めましょう。

高いところに登ったり、やって欲しくないことをした場合も、「ダメ」「やめて」「この前も言ったでしょ!何度も言わせないで」などと感情的に怒るのではなく、「落ちたら危ないから降りて」「○○を下に置いて」など分かりやすく具体的に注意するようにします。

視覚的な工夫をする

ADHDの子どもは言葉の指示を理解しにくい場合があります。中には視覚的な情報に強く、文字を見るより絵やイラストからのほうが物事を理解しやすい子もいます。なるべく視覚的な情報を使って具体的に指示してあげましょう。イラストを見せてあげることによって自分の意志を伝えたり、その子にあった方法で表示するのがおすすめです。

守りやすいルール&ごほうびでやる気を引き出す

どうしたら本人がやりやすいか、約束ごとを守りやすいかを考え、本人が実現可能なルールや目標をつくります。子どもに説明し、納得したらルールを守る約束をします。

約束が実行できたら、ごほうび制にするのもおすすめです。ADHDの子どもはごほうびがあると頑張れます。シールなどの目に見えるごほうびや、ごほうびリストをつくっておいて、できたらもらえるシステムもやる気と達成感につながるのでおすすめです。これを繰り返すことで、「目標を立てて実践する」というよい練習になります。

我慢できる時間や頑張れることは、少しずつ増やしていくようにしましょう。

良いことやできたことに気がついたらすぐに褒める

良いことをしたり何かできたことがあったら、できるだけすぐに褒めてあげましょう。ほめることで、どういう行動をすべきかもわかりますし、本人の達成感や認められたと感じることで自己肯定感につながります。

ほめる時には目を合わせて、ちょっとオーバーかな?と思う程度でもいいので大げさに褒めてあげましょう。ふだん注意されたり怒られたりという機会が多いADHDの子にとって、成長のために褒めるのは大変重要となってきます。できて当たり前のことでもよいのです。良いことやできたことがあったとき、積極的にコメントをしてあげましょう。

ADHDの子どもに接する際に注意するべきこと

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