持ち上げロボットになってない?私が学んだ「本当の抱っこ」とは

ライター:かず
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療育施設に息子と一緒に通い始めた私。先生が教えてくれたのは、特別な訓練法ではなく「抱っこ」の大切さでした。

成長の土台に「母子関係」がある??

当時3歳の息子が発達障害と診断され、一緒に通い始めた療育施設。

そこでは何よりもまず、母(家庭で母的な役割をする人)と子どもの愛着関係をしっかり作ることを、療育の重点に置いていました。

子どもの発達には、人と関わることなど様々な体験が必要です。
しかし「自信」がなければ、子どもは冒険に乗り出していくことはできません。ではその「自信」はどこから来るのでしょう。

それは「自分は親に、皆に愛されて、大切にされている」という実感から生まれるというのです。
親子の深い絆が、子どもの心の発達の土台であり、生きる原動力となる、こういった考えから施設で大事にされていたのが「抱っこ」でした。

はじめは戸惑いました。
息子は頻繁に抱っこを求めてくる子どもでしたから、私には「もう十分にやっている」という気持ちがあったのです。

その頃の私の悩みは、息子が同じ年くらいの子どもと関わろうとしないこと。
親子関係はいいから早く友達と遊べるようになれる療育をして欲しい、というのが本音だったのです。
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充分だと思っていたのに。心が抱っこされていなかった…

ところが、「お母さん、ぎゅーっと抱っこして」などと繰り返し声かけされるうちに、私は、あることに気づきました。

息子が、抱っこされながらも私の胸にぴったりくっついていられない、ということ。
息子の体を引き寄せても、緊張したような顔をしてすぐに離れてしまうのです。
抱っこされている息子と私の目が合うこともほとんどありませんでした。

息子は、抱っこの最中も、母親と一緒にいるという安心感や愛情をまるで感じていなかったのでした。
私は、息子にとって体を持ち上げてくれるだけの「抱っこロボット」みたいなもの。
息子が他の子どものように、母親の体に安心して体を預けていないことに、気付かなかったのです。

今まで息子が何度も、しかも長時間抱っこを求めてきたのは、安心させてくれるはずの母親にいくら抱かれても、安心感を得られなかったからなのだと、その時やっと理解しました。

ショックでした。
しかし、私が息子を抱っこしながら考えていたことは、「重い」「いつ降ろそうか」「そろそろオムツ替えしないと…」といったことばかり。
息子の表情をよく見たり、ほほえみ合ったりすることを、意識していませんでした。
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抱っこ、抱っこ、また抱っこ!息子の変化

それからは、しっかりと母子関係を築こうと気持ちを入れ替え、今まで以上に息子を抱っこするように心がけました。

すべり台の下で待ち、滑り降りて来た息子をキャッチ。そしてぎゅーっと抱っこ。

朝の会で先生とタッチして戻って来た息子を「すごいね!」とほめながら抱っこ。

先生たち「お母さんの所に行くよ」「お母さんの抱っこ、嬉しいね」と母親を意識させるよう声掛けしてくれました。

しばらく経つと、息子は私に抱っこされたくて、勢いよく飛び込んでくるようになりました。
ぴったりくっついて、嬉しそうな息子に私は母親としての喜びをひしひしと感じることができました。

「本当はずっとこうしたかったのかぁ」
やっと、心が通うことを実感できた瞬間でした。
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次ページ「療育をしようと、母のすることは一つだけ。」

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