ディスレクシア(読字障害・読み書き障害)とは?症状の特徴や生活での困りごとは?

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ディスレクシアとは何でしょうか。日本での認知度は低いですが、読み書き障害、難読症とも呼ばれる学習障害の一種です。そんなディスレクシアの症状や生活における困りごと、対処法や治療法などをご紹介します。

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監修: 井上 雅彦
鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授
応用行動分析学
自閉症支援士エキスパート
LITALICO研究所 客員研究員
目次 ディスレクシアとは?どんな障害なの? ディスレクシアの主な症状 ディスレクシアの困りごと ディスレクシアの困難への対処法・工夫 ディスレクシアは治療できるの? まとめ

ディスレクシアとは?どんな障害なの?

ディスレクシアは「字を読むことに困難がある障害」を指す通称で、ギリシャ語で「困難」を意味する「dys(ディス)」と、「読む」を意味する「lexia(レクシア)」が複合した単語です。日本では難読症、識字障害、読字障害など、他にも様々な名称で呼ばれてきました。読むことができないと書くことも難しいことから、読み書き困難、読み書き障害と呼ばれることも多いです。

「読むことが難しい」というと、「失読症」という名称をイメージして混同される方も多いのですが、失読症は脳梗塞などの後遺症として、明らかに後天的に読めていたものが読めなくなった、つまり失った状態を指します。

一方、発達期の特異的な読字障害は先天性のものであり「発達性ディスレクシア」(developmental dyslexia)と言われています。医学的な分類では学習障害(LD)に含まれることが多く、アメリカ精神医学会の診断基準であるDSM-5では読字の障害を伴う限局性学習症・限局性学習障害とも呼ばれます。

本記事ではこの発達性の読字障害について、「ディスレクシア」という名称を使ってご紹介します。

日本ではディスレクシアの割合を示す統計は発表されていません。日本におけるディスレクシアの発現率に一番近いものとしては、障害者白書内にある「児童生徒の困難の状況」のうち「知的発達に遅れはないものの学習面で児童生徒の割合」の4.5%だと言われています。日本語にはひらがな・カタカナ・漢字があり、詳細な発現率は分かっていません。また、知的な遅れが伴わないことや、海外に比べると日本はディスレクシアの認知度が低いことから、大人になるまで気づかないままでいた人もいます。
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ディスレクシアの主な症状

「文字を読む」というのは一見単純に見える行為ですが、まず文字を目で追い、その一文字一文字をまとまりにしてつなげ、音に変換し、それを脳で記憶している意味と結び付けて理解するという複雑なプロセスを経ています。

つまり、文字を音と結び付けて読み上げる音韻処理や、文字の形を認識したり語句のまとまりを認識し意味と結び付ける視覚的な処理などが必要になります。ディスレクシアの人の場合、一人一人の偏りや特性は異なりますが、それらの処理をするための脳の部位に何らかの機能障害や偏りがあり、そのために読むことが難しいのではないかと言われています。

以下にディスレクシアの人に見られる主な特性をご紹介します。

1.「文字の読み方の認識が難しい」音韻処理の不全
音韻機能とは最小の音単位を認識・処理する能力を指しますが、ディスレクシアの人の脳の特性として、音韻の処理に関わる大脳基底核と左前上側頭回という領域の機能異常があるという説が主流となっています。そのため音を聞き分けたり、文字と音を結びつけて「読む」ことが難しいと言われています。

■文字と音の変換が苦手
ひらがなの文字と音を結びつけて読むのが難しいことがあります。また小さい「ゃ」「ゅ」「ょ」「っ」や音を伸ばす「-」などの特殊音節が認識できず読めないこともあります。

■単語のまとまりを理解するのが困難
たとえば「み」「か」「ん」などのひらがなやカタカナの一音ずつは読めてもそれを「みかん」というひとまとまりの言葉として理解するのが難しいことがあります。

■聴覚記憶が苦手
言葉を音として記憶しながら読んだり話したりしますが、ディスレクシアの人の中にはこの音韻認識が弱く聴覚的な記憶が苦手な人がいます。このように処理と記憶を同時に行うことが難しいことから読むことに困難な場合があります。

2.「文字の形の認識が難しい」視覚情報処理の不全
ディスレクシアの人の中には、視覚認識や眼球運動に偏りがあり、普通の文字の見え方とは違った見え方をしている人もいると言われています。

■文字がにじむ・ぼやける
水に浸したように文字がにじんで見えたり、目が悪い状態のように文字が二重になったり、ぼやけて見えたりします。

■文字がゆがむ
文字がらせん状にゆがんだり、3Dのように浮かんで見えたりします。

■逆さ文字(鏡文字)になる
鏡に映したように文字が左右反転して見えることがあります。

■点描画に見える
1つの文字を点で描いているような点描画に見えることがあります。

以上の状態から文字が読み取りづらく、語句や行を抜かしたり、逆さ読みをしたり、音読が苦手な傾向にあります。また、読みだけでなく、読めないことで書くことにも困難があらわれる場合もあります。

全く読めないのではないけれど、読むスピードが遅いというディスレクシアの人もいます。周りから怠けていると勘違いされることも多くありますが、本人の努力不足などではなく、先天性の障害であるということを理解することが大切と言えます。

ディスレクシアの困りごと

学校・仕事での困りごと

学校では板書が必須ですが、文字を読むのも書くのも苦手なディスレクシアの子どもにとっては困難な作業です。作文や漢字の書き取り、音読なども苦手なため、学校の宿題に時間がかかったり、できないことも多々あります。先生や本人、家族も気づいていない場合、注意不足などと叱られる子どももいます。

仕事においても、書類作成など文字を扱う業務が苦手で、何度間違いを指摘されてもミスを繰り返してしまうことがあります。また、素早くメモを取ることができないため、上司の指示を聞いたり、電話を受けた場合に困ることもあります。短期記憶も苦手な傾向にあるため、誰から電話が来たか忘れてしまったり、人の顔と名前を覚えられなかったりします。

家・生活での困りごと

知的な遅れがないため、日常生活で困ることはないと思われがちですが、文字が関わってくると困難なことも多々あります。例えば、文字を認識するのに時間がかかるため、バスに乗りたい時に行き先を認識できず乗り遅れたり、車を運転している時に標識を認識できず通り過ぎてしまったりなどが挙げられます。

その他、小さい文字を読むのが困難なために小説が苦手だったり、電話番号を認識しづらいために電話をよくかけ間違ったりする人もいます。日常生活には意外と文字を使う場面が多いので、ふとしたことで困っている人も多いのですが、ディスレクシアと気づかずにできない自分を責める人も多い現状があります。

対人関係での困りごと

会話面では問題ないため、ディスレクシアであっても良好な対人関係を築ける傾向にあります。しかし、文字の読み書きが出来ないことをからかわれたり、そこからいじめなどに発展して不登校や引きこもりとなってしまう可能性もあります。また、親や学校の先生がディスレクシアと知らずに注意を繰り返してしまうと、自信を失ってうつ病などの二次障害を起こすこともあります。

反対に反抗的な態度を取る人もいます。行為障害と呼ばれるもので、人や物を傷つけるなど非行に走る行為が挙げられます。このように対人面で問題があると二次障害となる可能性が高いです。これらは周りがディスレクシアを理解し、本人のために行動してあげることで防げます。周囲の人はできるだけ本人の気持ちに寄り添い、「どうすれば過ごしやすいかな?」などと意識しながら環境を整えてあげるように努めましょう。

ディスレクシアの困難への対処法・工夫

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