学習障害(LD)/限局性学習障害・限局性学習症(SLD)の定義や特徴・症状・原因、学習障害がある子どもとの関わり方のポイントを解説【専門家監修】

ライター:発達障害のキホン

学習障害(LD)/限局性学習障害・限局性学習症(SLD)がある子どもにはどのような特性があり、どのような困りごとがあるのか、ご存知ですか?イラスト図解とポイント解説で、学習障害とはどんな障害なのか、定義や特徴、症状、原因について分かりやすくご紹介します!

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監修: 井上雅彦
鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授
LITALICO研究所 客員研究員
応用行動分析学をベースにエビデンスに基づく臨床心理学を目指し活動。対象は主に自閉症や発達障害のある人たちとその家族で、支援のための様々なプログラムを開発している。
目次

学習障害(LD)とは?

学習障害の定義や名称は、医学的な診断基準と文部科学省による定義に若干の違いがあります。例えば、通級による指導の対象を示す場合など、教育現場で使われることの多い、文部科学省の学習障害の定義は以下の通りです。
基本的には全般的な知的発達に遅れはないが、聞く、話す、読む、書く、計算する又は推論する能力のうち特定のものの習得と使用に著しい困難を示す様々な状態を指すものである。
出典:https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/mext_00808.html
なお、医学的な診断基準とされるDSM-5では、現在、限局性学習症/限局性学習障害(SLD(Specific Learning Disorder))という診断名が用いられています。
「学習や学業的技能の使用に困難があり、その困難を対象とした介入が提供されているにもかかわらず、以下の症状(※)の少なくとも1つが存在し、少なくとも6カ月間持続していることで明らかになる」と定義されています。

(※)「以下の症状」とは、
(1) 不的確または速度が遅く、努力を要する読字
(2) 読んでいるものの意味を理解することの困難さ
(3) 綴字の困難さ
(4) 書字表出の困難さ
(5) 数字の概念, 数値、 または計算を習得することの困難さ
(6) 数学的推論の困難さ
を指します。

限局性学習症障害の定義では、障害内容は「読み」「書き」「計算」に限定されており、それぞれ以下のように定義されています。
■読字障害…読字の正確さ、読字の速度または流暢性、読解力における問題
■書字表出障害…綴字の正確さ、文法と句読点の正確さ、書字表出の明確さまたは構成力における問題
■算数障害…数の感覚、数学的事実の記憶、計算の正確さまたは流暢性、数学的推理の正確さにおける問題
参考書籍:『DSM-5 精神疾患の分類と診断の手引』(医学書院)
https://www.amazon.co.jp/dp/4260019082
「読めるのに書けない」など苦手や困りごとは、人によって一部だけに極端に表れることもあれば、いくつか重複していることもあります。自閉スペクトラム症やADHD、発達性協調運動障害や感覚過敏などの他の障害が併存している場合もあります。

学習障害は、周りから理解されにくく、「怠けている」などと誤解され、苦しんだり、不登校やうつなどの二次障害に陥ってしまう子どもも少なくありません。

障害の名称や診断の有無などにこだわりすぎず、一人ひとりどのような特性や困りごとがあるか理解し、対処していくことが非常に重要になります。

学習障害(LD)の3つのタイプと特徴・症状

学習障害の困りごとには以下の3つのタイプがあります。症状や困りごとが全てあてはまる人はかえって少なく、特徴は人それぞれです。年齢によって困りごとや特性が変化したり軽減することもあります。複数のタイプが混じっていることもあります。

※以下で紹介する症状・困りごとは年齢や学習の習熟度などによって、誰にでも見られるものもあります。当てはまるからといって学習障害であるとは限りません。

読字障害(ディスレクシア)…「見た文字を判別し、音にして読むのが苦手」

読字障害(ディスレクシア)は「読む」ことに困難があるタイプであり、見た文字を判別して読んで理解したり、音に変換したりするのが苦手です。読むことに困難があると、結果として文字を書くことにも困難を感じる場合が多いため、読み書き障害と呼ばれることもあります。
読字障害(ディスレクシア)のチェックリスト。文章をスムーズに読むのが難しい、文章を読んでいるとどこを読んでいるのかわからなくなる、飛ばし読みや適当読みをする、音韻認識が弱くひらがなやカタカナのひとつずつは理解していても漢字や単語になると理解できなくなってしまう、漢字の音読みと訓読みの使い分けができない、形態の似た字である「わ」と「ね」「シ」と「ツ」などを理解できない、小さい文字「っ」「ゃ」「ょ」を認識できない、音声などの耳から入る情報は理解しやすい場合が多い、など
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上記のように文章を読むことの困難や文字そのものの認識の困難について該当数が多いと、読字障害の可能性があるかもしれません。
読字障害(ディスレクシア)を詳しく知る
https://h-navi.jp/column/article/279

書字表出障害(ディスグラフィア)…「文字を書くという動作が苦手」

書字表出障害(ディスグラフィア)は「文字が書けない」「書いてある文字を写せない」などの書く能力に困難があるタイプです。文字が読めるのにもかかわらず書けない場合もあります。
書字表出障害(ディスグラフィア)のチェックリスト。鏡文字や雰囲気で 「勝手な文字」を書く、誤字脱字や書き順の間違いが多い、文字に余分な線や点を書いてしまう、黒板やプリントの字を書き写すのに時間がかかる、何度注意しても「。」や「、」などの句読点をつけ忘れる、漢字が苦手で覚えられない、文字の形や大きさがバラバラでマス目からはみ出したりする、年相応の漢字を書くことができない、間違った助詞を使ってしまうことが多い、など
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上記のように、文字の書き間違い、黒板やプリントの書き写しや漢字を覚えることの困難が見られる場合は書字表出障害の可能性があるかもしれません。
書字表出障害(ディスグラフィア)を詳しく知る
https://h-navi.jp/column/article/35025578

算数障害(ディスカリキュリア)…「算数、推論が困難」

算数障害(ディスカリキュア)は、数字や数式の扱いや、考えて答えにたどり着く推論が苦手なタイプであり、数字に関する能力にのみ障害がある人が多いため、算数の学習を始めてから発見される場合がほとんどです。

「1」「2」「3」などの基本的な数字や、「x」「+」などの計算式で使う記号を認識することに困難をもっていることもあります。
算数障害(ディスカリキュア)のチェックリスト。簡単な数字や記号を理解しにくい、繰り上げや繰り下げの筆算ができないことが多い、数の大小がよく分からない、文章問題が理解できないことが多い、図形やグラフが理解できないことが多い、数を覚えるのに時間がかかることが多い、九九を習得している年齢なのにも関わらず九九を覚えられていない、九九を暗記しても計算に応用できない、など
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上記のように、数字や記号、数概念、図形やグラフなどの理解に困難が見られる場合は算数障害の可能性があるかもしれません。
算数障害(ディスカリキュリア)を詳しく知る
https://h-navi.jp/column/article/74

学習障害の原因は?

学習障害の原因は、医学的にはまだはっきりとは解明されていませんが、以下のようなことが研究から分かってきています。
学習障害の原因は、先天的な脳機能障害によるものと考えられていますが、なぜその脳機能障害が起きるかは未解明です。成長発達過程のどこかで脳機能の偏りが学習上の得意・不得意になって現れると考えられています。中枢神経のトラブルが症状を引き起こすという仮説が有力です。また、親の育て方が悪いなどの心因論は医学的に否定されています。
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上記のように、学習障害は先天的な脳機能障害によるものであると考えられており、脳機能の偏りが学習上の得意・不得意としてあらわれると考えられています。また育て方が原因であるという説は医学的に否定されています。
中枢神経は脳や脊髄、体のさまざまな部分の働きを指令する部分です。学習障害の症状は、情報を伝達し処理する脳の機能がスムーズに働いていないことで引き起こされると考えられています。
次ページ「学習障害の症状・困難の理由を理解しよう」


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