「書くのが苦手」はディスグラフィア(書字表出不全)かも?症状、原因、困りごと、対処法まとめ【専門家監修】
子どもが「なかなか字を書けるようにならない」と無理に何度も練習をさせていませんか?もしかしたら、それは書くことに困難があるLD・SLD(限局性学習症)かもしれません。ディスグラフィアとはどのような特徴があり、どのように向き合っていけばいいのでしょうか。ディスグラフィアの症状、原因、困りごとやその対処法について紹介します。
LITALICO研究所 スペシャルアドバイザー
ディスグラフィア(書字表出不全)とは? どんな特徴があるの?
※学習障害は現在、「SLD(限局性学習症)」という診断名となっていますが、最新版DSM-5-TR以前の診断名である「LD(学習障害)」といわれることが多くあるため、ここでは「LD・SLD(限局性学習症)」と表記します。
ディスグラフィアがあると、周囲の子どもと同じやり方では、どんなに本人が頑張って努力しても字を書くのが難しいため、ディスグラフィアなどのLD・SLD(限局性学習症)のある子どもやその保護者にとってこれらの言葉、偏見を向けられることはとてもつらいことです。
LD・SLD(限局性学習症)とは?症状や特徴、診断方法について【専門家監修】
ディスグラフィアの症状・字の特徴
・文字をまっすぐ書けず、マスや行から大きくはみ出してしまう
・文字を書くときに鏡文字を書く
※ただし、鏡文字は幼少期の発達段階で誰にでも起こりうるものなので、必ずしもディスグラフィアの症状とは言えません
・年相応の漢字を書くことができない
・文字を書く際に余分に線や点を書いてしまう
・間違った助詞を使ってしまう
・句読点などを忘れる
など
これらの症状を含め、文字を書く際に何かしらの困難がある症状がみられる場合、ディスグラフィアの可能性があるかもしれません。
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ディスグラフィアの見え方は?
ディスグラフィアの原因
読めるけど上手く書けない?
ディスグラフィアの原因は一つではなく、人によっても原因が異なると考えられます。そのため、本人にとってなぜ書くことが難しいかの原因を考えることは、困りごとを解決する上でとても大切です。
「文字の形が分かりにくい」視覚情報処理の不全
一方、日本語の場合などは漢字のように複雑な形の文字が多いため、小学校などで漢字に出会うことで困難が表れやすい傾向にあります。漢字を読めるけど書けない(「読み」には問題ないが、「書き」のみに困難が生じる)場合、視覚情報処理に関連している可能性があると考えられています。
また、視覚過敏によって、紙と文字の色のコントラストを過敏に感じ取ってしまうことでノートに向き合えない場合もあります。
「文字の読み方が分かりにくい」音韻処理の不全
ディスレクシア(読字不全)に伴うディスグラフィアの場合はこのことが原因として考えられます。
「不器用で文字がうまく書けない」DCD(発達性協調運動症)が関与している場合
DCD(発達性協調運動症)がある場合、字を書くなどの指先を使った細かな作業、または目などの感覚器官からの情報と指先の細かな作業との協調運動が同年代に比べぎこちなく、遅かったり、不正確になります。このことで、字がマスからはみ出してしまう、という症状が現れたりします。
また、筆圧の薄い原因としては、筋力が弱いことでうまく鉛筆などを握ることができない場合があります。
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ディスグラフィアの困りごとと工夫
ディスグラフィアと向き合うには、その子の特性に合った方法を見つけていくことが大切です。ここでは6つの困りごとに対する工夫を紹介します。
文字のバランスが悪い
文字や数字が書けない
形として覚えるのが苦手かもしれない場合は、お子さんが楽しめるような方法で形を覚えさせていく方法があります。たとえば文字をイメージしやすくなるようにイラストを使ったり、数字の書き方をリズムに乗せながら練習することができます。また、漢字の場合はパズルのようにへんやつくりのパーツを組み合わせて1つの漢字をつくることもおすすめです。
字を書くことが苦手なお子さん向けの漢字練習教材もあるので活用してもよいでしょう。
似た文字を書き間違えてしまう
そうした場合、その2つの違う部分を太くしたり、色を付けて目立つようにして覚える方法などがあります。これらの方法で似た文字の違いを意識しやすくすることで、間違えにくくなります。
鉛筆でうまく書けない
細い鉛筆より太い鉛筆の方が持ちやすいので、はじめは子ども用の太いものを使うこともおすすめです。他にも、指を動かす運動をすることで鉛筆をつかむ力や安定性を得ることができます。また、この場合は筆圧が弱いことも要因とされるので、2Bや4Bといった芯が濃くて柔らかいものを使うことでお子さんの自信をつけることにもつながります。
また、市販の補助グッズを使うことで鉛筆た持ちやすくなることもあるので、使ってみるのも良いでしょう。
視覚過敏がある場合
白ではなく、コントラストの激しくない色のノートを使ったり、色つき眼鏡を使ってみるなど、視覚過敏を緩和することのできる方法を探してみましょう。
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鏡文字を書くことがある
左右がどちらなのかがすぐに分からず困っているようでしたら、まずはお子さんが左右を認識できるようにする必要があります。「右足から靴を履いてみよう」「左手でコップを取ってみよう」など日常生活での声かけを通して、定着を図りましょう。
また、左右の認識が難しかったら、薄く書かれた見本をなぞることも工夫としてあげられます。
日本小児神経学会によると、一般的には、小学校1年生が終わる頃でもひらがな文字を書く際に困難がみられる場合や、拗音、撥音、促音の特殊音節につまずきがみられる場合は、小児科への受診をおすすめしています。
ひらがな文字に限らず、漢字や英語に困難が現れる場合もあるので、ディスグラフィアの特性があっても、それに気づく時期はそれぞれです。お子さんがどんな文字を書くことに対して困難を感じているか、まずは様子を見てみましょう。
黒板の文字をノートに書き写すことが難しい
また、学校と話し合うことで、マス目黒板を使用してもらったり、タブレット端末などで黒板の写真を撮ることができるようになる場合があります。
ディスグラフィアに対する合理的配慮
以下、実際にあったディスグラフィアの合理的配慮の体験談をご紹介します。
板書の量が増えてきて娘がついていけなくなり、サポートの先生が手伝ってくれるようになりました。
先生がノートに書いてくれている間、娘は何をしているんですか?お絵かき?と思わず聞いたら、(娘は気が散ると授業中でもすぐお絵かきをします)「黒板を読み上げてもらってます。こちらも書きやすいですし」とのことで、授業にきっちり参加しつつ、サポートを受ける体制になっているようです。
(出典:発達ナビ Q&A)
wiscの結果から、処理速度が低い事が分かっています。
・授業では、1人読みさせない
←音読がゆっくりで、人前で失敗させては自己肯定感が下がるから。
・連絡帳は昼の休み時間に書かせる。
←書くのに時間がかかり、帰りの会の時間では乱雑な字になってしまうから。
・板書の前に先生から合図(肩を叩く、小声で一声かける)をして貰う
←言葉だけの指示では通り辛いので。
あとは、たまに連絡帳の文言だけでは分かりづらく、口頭で児童に説明した事は、個別に付箋に詳細を書いて頂いたり、漢字連絡の課題は先生が赤字で書いて貰っていたりします。
(出典:発達ナビ Q&A)
5年になっても作文や漢字、読書などが、本人の頭の中や会話の能力と比べるとあまりにレベルが低く、訓練でどうにかなる物でもないと思い、授業中のノートテイクと作文のために、持参したiPadを学校で使わせてもらうよう交渉しました。
担任との交渉がうまくいかず、時間がかかりましたが、6年になってから通常授業と、通級の個別授業でiPadを使い、カメラで黒板を撮ったり、音声入力で作文をしてみたりと実績を作りました。
授業の内容は理解しているだけに、中学校のノートや、定期テストができないと、成績が落ち込み勉強意欲がなくなるだろうと思われたので、入学前に支援会議を開いていただき、小学校の通級担任、中学校校長、学年主任の先生などにできない部分を何度か説明して、授業へのiPad持ち込みと、定期テストでの配慮(現状は時間延長)をしていただけることになりました。
(出典:発達ナビ Q&A)
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ディスグラフィアの治療法はあるの?
ですが、ディスグラフィアも含まれる学習障害は、知的発達の遅れがないことから発見が難しいとされています。そのため、小学校入学後の、実際に読み書きなどの学習が始まる時期に気づく場合が多くなっています。
また、日本での認知度も低いため、まだまだ対応が遅れがちなのが現状です。
LD・SLD(限局性学習症)の治療法は?【専門家監修】
気になる症状があったら専門機関へ
子どもだけではなく、大人になってから気づく場合もあります。その際、子どもと大人で専門機関が変わってくるので以下を参考にしてみてください。
・保健センター
・子育て支援センター
・児童発達支援事業所 など
・発達障害支援者センター
・障害者就業・生活支援センター
・相談支援事業所 など
しかし、医師による診断がつかなかった場合や検査を受ける前であっても、その子に合った環境を整え、学習方法を見つけてあげることが大切です。親が子どもにあった学び方を見つけるケースもありますが、難しい場合は専門機関に相談したり、学校の特別支援教育を担当する先生に相談してみるとよいでしょう。
まとめ
練習が足りないからとたくさん書かせたり、叱ったりするのではなく、周囲の人がその子に合った方法を考え、ゆっくりと向き合っていきましょう。
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