児童発達支援事業所の概要

児童発達支援で行われる発達支援・サービス

児童発達支援事業所には、さまざまなタイプがあります。
通園タイプで保育園や幼稚園のように毎日通う事業所、週に何回か通い支援を受ける事業所など、頻度も施設によって異なります。子ども一人ひとりの個別支援計画に応じて聴能訓練や言語聴覚訓練などの専門的な機能訓練を行う場合もあります。子どもだけが通所する場合、親子で通所する場合などもあり、事業所や個々のプランによってさまざまな療育・支援の選択肢があります。

また、ひと月にサービスが受けられる日数には上限があり、子どもや保護者の状況や環境、利用意向などをふまえて、受給者証の発行時に自治体によって決定されます。
地域や事業所によって提供しているサービスは異なりますので、具体的なサービスは各事業所に確認しましょう。
児童発達支援を行う事業所では、通う子どもに対してこれらの直接的な支援を行うだけでなく、次のような取り組みも行われています。

■保育所等訪問支援
保育所等訪問支援として、地域の保育園へ訪問する活動も行われています(保護者からの依頼によって行われます)。
発達における困難が集団生活に入ったことでみられてきた場合や、発達支援受けて保育所等に入ったが実際の集団生活では新たな困難があり別の支援を必要としている場合、先生方が支援の仕方が分からず困っている場合など、児童発達支援事業所の活動だけでなく、保育所等での活動においてのサポートやフォローも必要であると考えられています。

1人ひとりに合った支援をするためには、適切なアセスメントに基づいた支援を行い、保育所等と連携してサポートしていくことが大切だと考えられています。
参考:保育所等訪問支援の効果的な実施を図るための手引書
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12200000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu/0000166361.pdf
■家族への支援
サービスを利用する親にとって児童発達支援事業所は、身近な相談機関です。子どもの育ちや子育てについて相談できる機関として、頼りになる存在です。また、児童発達支援事業所にはレスパイトケアとしての役割も期待されています。レスパイトとは、「小休止」「休養」という意味です。児童発達支援には、障害のある子どもを一時的に預かることで、親や家族が休息をとり、リフレッシュできるという効果もあります。

■そのほかのサービス
送迎、給食やおやつなどのサービスを提供することもあります。知能検査や発達検査などを行う事業所もあります。

目的別のプログラム例

児童発達支援のプログラムは、小集団で行われる場合と、個別支援で行われる場合はあります。親子で一緒に受ける場合などもあります。く一人ひとりの個別支援計画に基づいて支援が行われるため、子どもに合わせたカリキュラムを組むことができます。以下はさまざまなサービス・プログラムの一例です。

■ことば
声かけなどで発語をうながしたり、語彙を増やしたりします。言語聴覚士による構音指導などが行われることもあります。

■コミュニケーション・社会性
グループで行われる場合が多いプログラムです。ソーシャルスキルトレーニング(SST)や自由遊びなどを通して、友達や周りの人と上手にコミュニケーションをとる方法を学びます。

■日常動作のトレーニング
食事・トイレ・着替えなどの基本的な生活習慣の練習をします。折り紙や工作などを通して手先をうまく使えるようにすることもあります。

■就学準備プログラム
時計を読む練習、絵本を読む、絵を描くなど、就学・就園に向けた学習とソーシャルスキルの習得を行っている事業所もあります。

■運動プログラム
遊びながら楽しく身体を動かすことで、運動機能の発達をうながします。

■親子関係
一緒に過ごすことが多い就学前の親子にとって、離れて過ごす「母子分離」も大切な体験となります。一方、親子で一緒にプログラムを受け、保護者が子どもへの関わり方を学ぶこともあります。

このほか、聴覚訓練などの機能訓練をする場合もあります。リトミック、音楽療法、農業体験などさまざまなプログラムや特色のある支援を行っている事業所もあります。

事業所ごとのプログラム事例: ことばに対する支援

「LITALICOジュニア」では、「ことばが遅れている・コミュニケーションをとれるようになってほしい」というニーズに対して、次のような形式の支援を行っています。

・週に2回の個別支援:指導員と1対1で要求の仕方など練習
・週に1回の集団支援:個別支援で得た要求を、指導員以外に伝える練習
・保護者向けサポート:家でも適切に要求できるよう促す

指導員は「ことばの遅れ」の背後にある原因を分析し、子どもの年齢やスキルに応じたプログラムを組み立て、実施します。

たとえば、
・「ピカピカ」「ドンドン」「クルクル」など、子どもが興味を持って真似をしてくれる言葉を探しながら、言葉の数を少しずつ増やしていく
・子どもが興味のあるものを用いて「ちょうだい」といった要求の言葉を引き出す
など、具体的なプログラムの内容は子どもに合わせてさまざまです。
参考:指導例「ことばが遅い」|LITALICOジュニア
https://junior.litalico.jp/youji/problem/hatsugo.html

スタッフは?

専門的な資格を持つスタッフや、発達支援に関する専門的な研修を受けたスタッフが指導を行います。

・児童発達支援管理責任者…利用する子どもの個別支援計画の作成などを行います。事業所に1人以上が常勤しています。
・指導員・保育士…実際に子どもの療育などを行います。
・機能訓練担当職員…言語聴覚士や理学療法士、 作業療法士などの専門性の高いスタッフがいる場合もあります。

児童発達支援事業所の利用方法

時間

開所時間や1回あたりの時間は事業所によって異なります。

・保育園のように、朝に送迎が来て給食を食べ、午後に送迎で帰宅する母子分離型の通園タイプ
・日中は保育園・幼稚園に通い、降園後に通所するタイプ
・療育のみに通うタイプ
など、地域や事業所によってさまざまです。

利用回数

受給者証で受けられるサービスの量が決められています。子どもや保護者の状況や環境、利用意向などをふまえて受給者証の申請時に審査が行われ、ひと月に使える日数の上限が受給者証の発行時に決定されます。その定められた範囲内で、その子に必要なサービスを組み合わせて利用計画が立てられます。

以下はその一例です。
児童発達支援を利用する上での支援計画の具体例
児童発達支援を利用する上での支援計画の具体例
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費用

児童発達支援は障害児通所給付費の対象となるサービスです。受給者証を取得することで国と自治体から利用料の9割が給付され、1割の自己負担でサービスが受けられます。

利用した日数に応じた1割負担分の利用料を支払いますが、前年度の所得によりひと月に保護者が負担する額の上限が決められているので、利用する日数が多くても下記の金額以上の負担は発生しません。また、自治体によっては独自の助成金がある場合もありますので、問い合わせてみましょう。

所得ごとの負担上限月額

・生活保護受給世帯・市町村民税非課税世帯: 0円
・市町村民税課税世帯(年間収入がおおむね920万円以下の世帯): 4,600円
・上記以外(年間収入がおおむね920万円を超える世帯): 37,200円

このほかにおやつ代などの食費や教材費などの実費が必要になる場合もあります。
参考:障害者福祉:障害児の利用者負担|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/service/hutan2.html

さまざまな負担軽減措置もあります

さらに、それぞれの給付には次のような決まりがあり、障害児の利用者負担が軽減される措置が取られています。

■多子軽減措置
多子軽減措置とは保育所等に通い、又は障害児通所支援を利用する就学前の児童が同一世帯に2人以上いる場合に、第2子以降の利用者負担額の軽減を行うというものです。

適用要件など詳しくは以下のリンクをご確認ください。
参考:障害者自立支援給付支払等システムについて|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12200000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu/160311-1.pdf
■食費の減免
事業所に通所して利用する場合、そこで出される食費の減免があり、生活保護受給世帯・市町村民税非課税世帯と市町村民税課税世帯は食費の負担が軽減されます。食費は以下の通りです。

・生活保護受給世帯・市町村民税非課税世帯:1,450円
・市町村民税課税世帯(年間収入がおおむね920万円以下の世帯):5,060円
・上記以外(年間収入がおおむね920万円を超える世帯):14,300円※軽減なし

となります。なお上記は月22日の場合の金額で、実際の金額は施設により設定されます。
これらに加え、自治体により独自の助成制度がある場合もありますので、お問い合わせください。
参考:障害者福祉:障害児の利用者負担|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/service/hutan2.html

児童発達支援での1日の流れ

グループ療育と個別療育を組み合わせるタイプの事業所の時間割の一例
グループ療育と個別療育を組み合わせるタイプの事業所の時間割の一例
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上記は集団支援と個別支援を組み合わせるタイプの事業所の時間割の一例です。一日の中でさまざまな時間割があり、利用者のスケジュールにあわせて組み合わせて利用できる場合などもあります。グループ療育の日、個別療育の日が分かれている場合もあります。幼稚園などの降園後に通うことのできる施設も多くあります。

母子分離型の通園タイプの事業所のスケジュール

日課のある、母子分離型の通園タイプの事業所の時間割の一例
日課のある、母子分離型の通園タイプの事業所の時間割の一例
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上記のように保育園や幼稚園のような日課がある事業所もあります。このタイプも朝から夕方まで預かる場合やお昼ごろに帰宅する場合まで時間もそれぞれです。また送迎がある事業所もあります。
次ページ「児童発達支援利用に向けた手続き」

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