児童発達支援とはどんな施設?サービス・利用方法・費用・受給者証手続きの流れをご紹介

ライター:発達障害のキホン

障害のある未就学の子どものための通所支援の一つが児童発達支援です。家庭から住んでいる地域の児童発達支援センター・児童発達事業所に通いながら療育や生活の自立のための支援を受けることができます。「受給者証」を取得することで1割(※)の自己負担で利用できるサービスですが、どのように利用すればよいのでしょうか?具体的な手続きの手順や利用のイメージをご説明します!

目次

児童発達支援とは

児童発達支援とは、障害児通所支援の一つで、小学校就学前の6歳までの障害のある子どもが主に通い、支援を受けるための施設です。日常生活の自立支援や機能訓練を行ったり、保育園や幼稚園のように遊びや学びの場を提供したりといった障害児への支援を目的にしています。

2012年の児童福祉法改正で以下のように定められスタートした制度です。障害のある子どもが住んでいる地域で療育や支援を受けやすくするために設けられました。それまで障害種別だった施設が一元化されましたが、障害ごとの特性に応じた専門的な支援に特化した施設もあります。
児童福祉法
第六条の二の二  
この法律で、障害児通所支援とは、児童発達支援、医療型児童発達支援、放課後等デイサービス及び保育所等訪問支援をいい、障害児通所支援事業とは、障害児通所支援うを行う事業をいう。
○2  この法律で、児童発達支援とは、障害児につき、児童発達支援センターその他の厚生労働省令で定める施設に通わせ、日常生活における基本的な動作の指導、知識技能の付与、集団生活への適応訓練その他の厚生労働省令で定める便宜を供与することをいう。

引用:児童福祉法|電子政府の窓口 e-Gov
出典:https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail...

児童発達支援の種類

児童発達支援は以下の2つにわかれます。

・児童発達支援センター
児童福祉法では児童福祉施設に定義されています。厚生労働省の統計によると、令和元年10月時点で全国に601か所設置され、各地域における児童発達支援の中核的な役割を担っています。施設に通う子どもの通所支援のほか、地域にいる障害のある子どもや家族への支援、保育園・幼稚園などの障害のある子どもを預かる機関との連携・相談・支援も行います。また、放課後等デイサービスを併設している施設もあります。

・児童発達支援事業所
障害のある未就学の子どもが身近な地域で発達支援を受けられる施設です。児童発達支援センターは地域の中核となる障害児の専門施設として、障害の種別に関わらず適切な支援を受けられるよう質の確保を、児童発達支援事業所は通所しやすいよう、できる限り身近な地域に多く設置し、量の拡大を図る意味で設けられています。
児童発達支援事業所と児童発達支援センターの違いを説明する図
(厚生労働省資料をもとに作成)
Upload By 発達障害のキホン
参考:児童発達支援ガイドライン|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12200000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu/0000171670.pdf
参考:児童福祉法の一部改正の概要について|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/jiritsushien/dl/setdumeikai_0113_04.pdf
参考:平成29年社会福祉施設等調査の概況|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/fukushi/17/dl/soukatsu.pdf

児童発達支援の対象は?

療育の観点から支援が必要であると認められた、未就学の障害のある子どもが対象です。厚生労働省では以下のように定めています。
対象児童
身体に障害のある児童、知的障害のある児童又は精神に障害のある児童(発達障害児を含む)
※手帳の有無は問わず、児童相談所、市町村保健センター、医師等により療育の必要性が認められた児童も対象

引用:児童福祉法の一部改正の概要について|厚生労働省
出典:http://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/jiritsushien/dl/setdumeikai_011...
具体的には乳幼児健診などで療育の必要があると認められた場合や、保育園や幼稚園に通っているが併せて障害の特性に合った専門的な療育・訓練が必要と認められた場合などがあります。

療育手帳や身体障害者手帳、精神障害者保健福祉手帳を持っていなくても、障害児通所給付費支給申請を専門家の意見書などと一緒に提出し、児童発達支援利用の必要が認められれば、受給者証が市町村から発行されます。この受給者証を取得することで通所の申し込みができ、1割負担(※)でサービスを受けることができます。
※世帯の収入状況による上限額の設定があります
障害者総合支援法 事業者ハンドブック 指定基準編〔2015年版〕 (人員・設備・運営基準とその解釈)
なし
中央法規出版
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児童発達支援施設の概要

どんなサービス・支援を受けられる?

通園タイプの事業所に保育園や幼稚園の代わりとして毎日通う場合から、習い事のように週に何回か通い療育を受ける場合まで、その子の状況や施設のタイプによって受けられるサービスは様々です。また、ひと月にサービスが受けられる日数には上限があり、子どもや保護者の状況や環境、利用意向などをふまえて、受給者証の発行時に決定されます

地域や施設によって提供しているサービスは異なりますので、具体的なサービスは各施設に問い合わせたり、見学時に確認したりして相談してください。以下は主なサービス・支援の例です。

■児童発達支援
何らかの障害のある子どもにとって、早期にその困りごとに気づき、その困難を乗り越えやすくしたり、周囲の支援を受けたりすることがとても重要です。児童発達支援では、そのための方法を学ぶ支援を行います。子どもの個別支援計画に応じて聴能訓練や言語聴覚訓練などの専門的な機能訓練を行う場合もあります。子どもだけが通所する場合、親子で通所する場合などもあり、施設や個々のプランによって様々な療育・支援が受けられます。

■地域支援(主に児童発達支援センター)
地域の保育園といった障害児を預かる施設の訪問などを行い、連携をとっています。また通所していない子どもについても親の相談を受けるなどの相談支援を行っています。

■家族への支援
サービスを利用する親にとって児童発達支援事業所は、身近な相談機関です。子どもの育ちや子育てについて相談できる専門家として、頼りになる存在です。また、発達支援事業所にはレスパイトケアとしての役割も期待されています。レスパイトとは、「小休止」「休養」という意味です。児童発達支援には、障害のある子どもを一時的に預かることで、親や家族が休息をとり、リフレッシュできるという効果もあります。

■その他のサービス
送迎、給食やおやつなどのサービスを提供することもあります。知能検査や発達検査などを行ってくれる施設もあります。

スタッフは?

専門的な資格を持つスタッフや、発達支援に関する専門的な研修を受けたスタッフが指導を行います。

・児童発達支援管理責任者…利用する子どもの個別支援計画の作成などを行います。事業所に1人以上が常勤しています。
・指導員・保育士…実際に子どもの療育などを行います。
・機能訓練担当職員…言語聴覚士や理学療法士、 作業療法士などの専門性の高いスタッフがいる場合もあります。

目的別のプログラム例

児童発達支援のプログラムは、グループと個別の2タイプがあり、組み合わせて行われる場合が多いです。親子で一緒に受ける場合などもあります。施設によって様々なプログラムがあります。また、サービスは一律の内容ではなく一人一人の個別支援計画に基づいて行われるため、子どもに合わせたカリキュラムを組むことができます。以下は様々なサービス・プログラムの一例です。
■ことば
声かけなどで発語をうながしたり、語彙を増やしたりします。言語聴覚士による構音指導などが行われることも。

■コミュニケーション・社会性
グループで行われる場合が多いプログラムです。ソーシャルスキルトレーニング(SST)や自由遊びなどを通して、友達や周りの人と上手にコミュニケーションをとる方法を学びます。

■日常動作のトレーニング
食事・トイレ・着替えなどの基本的な生活習慣の練習・トレーニングをします。折り紙や工作などを通して手先をうまく使えるようにすることもあります。

■就学準備プログラム
時計を読む練習、絵本を読む、絵を描くなど、就学・就園に向けた学習とソーシャルスキルの習得を行っている施設もあります。

■運動プログラム
遊びながら楽しく身体を動かすことで、運動機能の発達をうながします。

■親子関係
一緒に過ごすことが多い就学前の親子にとって、離れて過ごす「母子分離」も大切な体験となります。一方、親子で一緒にプログラムを受け、パパママが子どもへの関わり方を学ぶこともあります。

このほか、聴覚訓練などの機能訓練をする場合もあります。視る力を育てるビジョントレーニング、リトミック、音楽療法、農業体験など様々なプログラムや特色のある療育を行っている事業所もあります。

事業所ごとのプログラム事例: ことばの遅れに対する支援

例えば、株式会社LITALICOが運営する0~18歳向けの児童発達支援事業を含む学習塾/幼児教室「LITALICOジュニア」では、「ことばが遅れている・コミュニケーションをとれるようになってほしい」というニーズに対して、次のような形式の支援を行っています。

・週に2回の個別指導:指導員と1対1で要求の仕方など練習
・週に1回の集団指導:個別指導で得た要求を、指導員以外に伝える練習
・保護者さまサポート:家でも適切に要求できるよう促す

指導員が「言葉の遅れ」という現象の背後にある原因を分析し、子どもの年齢やスキルに応じたプログラムを組み立て、実施します。

たとえば、
・「ピカピカ」「ドンドン」「クルクル」など、子どもが興味を持って真似をしてくれる言葉を探しながら、言葉の数を少しずつ増やしていく
・子どもが興味のあるものを用いて「ちょうだい」といった要求の言葉を引き出す
など、具体的なプログラムの内容は子どもに合わせてさまざまです。
参考:指導例「ことばが遅い」|LITALICOジュニア
https://junior.litalico.jp/youji/problem/hatsugo.html
次ページ「児童発達支援施設の利用方法」

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