子どもが初めて「学校に行きたくない」と言ったとき、どうする?

ライター:鈴木希望
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この春小学生になった息子は学校の生活が楽しいらしく、毎朝明るい笑顔で「行ってきます!」と元気に出かけています。ところが寝坊してしまったある朝、「学校に行きたくない」とうつむいていたのです。もしかして、何か辛いことがあったけれど今まで言えずにいたのかな?…と思いきや、「本当は行きたいけれど行けない」と思い込み、とまどっている様子が見えてきたのです。

息子が初めて言った「学校行きたくない。」

嫌なことがあると、仕事や学校に行きたくなくなることは、誰でも1度はあると思います。

でも、楽しみが待っているとわかっていながら「行きたくない」こともあるのでしょうか?

先日、私は豪快な寝坊をしてしまいました。

もう息子が登校する時間です。

すぐに息子を起こし、遅刻する旨を小学校に電話連絡。

あわてて身支度を整え終えると、普段は集団登校している息子が不安そうにうつむき、私に質問してきました。

「みんなはもう学校に行っちゃった?今日はひとりで行かなくちゃならないの?」

「ほんと申し訳ないけど、待ってもらうわけにいかないからね。今日は私が学校まで送って行くよ」

「行きたくない。今日は学校に行きたくない!

普段は嬉々として通学している息子、私は少しだけ驚きました。

「どうした?何で?」

「みんなで学校に行くのが楽しいのに…今日は(集団登校が)できなかったから行きたくないよ!」

ということは、もしや楽しいのは集団登校のみで、日々の学校生活には苦痛を感じでいるのでしょうか?

初めての遅刻でパニックを起こしていた息子

子ども
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まずは息子から話を聞いてみることに。

「楽しいのはみんなで学校に行くことだけ?勉強や普段の生活はどう?」

「楽しいよ。学校も好き」

「うーん、じゃあどうして行きたくないんだろう?」

「みんなで学校に行けなかったから」

「あ、もしかして、ひとりだけ遅れて行くのが恥ずかしい?」

「そうじゃないけど…」

「うーん…みんなと一緒に行けなかったからって、学校での楽しい時間までナシにしちゃうの、もったいなくない?」

「…でも、行きたくない。本当は行きたいけど行きたくない!

ここで私はようやく、変化に弱いアスペルガーの息子が、初めての遅刻で静かにパニックを起こしていることに気づきました。

学校に行きたい気持ちはあるけれど、イレギュラーな事態に混乱、全てを無かったことにしようとしていたのです。

さて、「本当は行きたい」という気持ちに、息子の意識を向かせることはできるのでしょうか?
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2人ともがっがりした気持ちになるのは寂しい

「あのさ、いつも私はハルが学校に行っているとき、家で仕事をしているのは知ってるよね?

で、私はあなたと同じアスペルガーだから、仕事を始めたら誰かが話しかけても気が付かないことがあるのも知ってるよね?

今日、もしハルが学校を休んだとしよう。病気じゃなくて元気だから、遊びたくなると思うんだ。

でも私は仕事を始めたら、ほとんど相手ができなくなると思うの。

それじゃあハルはつまらないし寂しいよね?

逆にね、“ハルと遊ぶために今日は仕事をしない“ってことにしたら、私はあなたと遊びながら、“あー、本当は仕事をしたかったのにな”って考えちゃうと思うんだ。

それじゃあ私がつまらない」

パニックを起こしていて自分の気持ちに気付けないならばと、私は思い切って自分の不利益を伝えてみました。

そうすることでパニックを起こしている自分の気持ちからいったん目をそらし、クールダウンできないかと考えたのです。

「…それはハルもつまらない。ふたりとも楽しいって思えないのとか、のん(私の呼び名)ががっかりした気持ちなるのは寂しい」

「そっか。でもね、どこか具合が悪いとか、とても辛いことがあって学校に行きたくないとか、そういう理由があればもちろん話は別だけど、どう?」

「ない」

「じゃあ、学校行く?いつもどういう道を通って学校に行っているのか、私に教えてくれるかな?」

結果は成功。

息子は静かにうなずき、ランドセルを担ぎました。
次ページ「「また遅刻しようよ!」」

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