現役高校生が語る!3年半の不登校が僕をエンジニアにしてくれた

2016/07/21 更新
現役高校生が語る!3年半の不登校が僕をエンジニアにしてくれたのタイトル画像

中学1年生の秋から3年半不登校を経験し、プログラミングとの出会いをきっかけに自分のやりたいことを見つけ、今は現役高校生エンジニアとして活躍する吉開拓人(よしかい たくと)さん。不登校の経験から学んだ「自分の道の探し方」についてお話をうかがいました。

発達ナビ編集部さんのアイコン
発達ナビ編集部
69512 View

「学校に行かなくても、自分の道はみつけられる」−吉開拓人(高校生エンジニア)

現役高校生でありながら、エンジニアとして「株式会社ウィンクル(現、Gatebox株式会社)」というIT企業に勤務、「Gatebox」というホログラム映像を使ったコミュニケーションロボットの開発に携わり、数々のコンテストでの受賞経歴もある吉開さん。

ホログラム映像をつかったコミュニケーションロボット「Gatebox」

そんな吉開さんには、3年半ほどの不登校経験があります。

「当時の経験が今の自分をつくっている」と力強く語る吉開さん。
不登校になってから、エンジニアとして活動するまでの道のりをうかがってきました。

「学校に行く意味がわからない」―小さな疑問からはじまった不登校時代

現役高校生が語る!3年半の不登校が僕をエンジニアにしてくれたの画像
Upload By 発達ナビ編集部
編集部: 現役高校生でありながら、エンジニアとしても活躍されている吉開さんですが、不登校の時期があったとお聞きしました。そのときのきっかけは何だったんでしょうか?

吉開さん: 何か大きなきっかけがあったわけではないのですが、一番の理由は学校の空気に窮屈さを感じていたことでしょうか。

中学に上がると急に受験に向けた詰めこみ教育がはじまって「何のために勉強してるのかわからないなぁ」と悩み始めたんです。

勉強やスポーツが特別出来る方じゃなかったので、気づいたらドラえもんの「のび太くん」状態になってましたね。あとは、中学生特有の人間関係というか、学校の中に流れるギクシャクした雰囲気も苦手でどんどん嫌気がさし始めたんです。

編集部: 大きなきっかけがあったわけじゃなかったんですね。

吉開さん: そうなんです。特にいじめがあったとか家庭環境が悪かったというわけではなかったですね。

だけど、中学生になって半年経ったところで「1日、ちょっとずる休みしてもいいかな」って気持ちがもたげてきて。そこで学校をサボってみたんです。一度「えいっ」と休んじゃうと心のハードルが下がるんですよね。

そのまま1日、また1日と休む日が増えて、気付いたら中学1年の秋頃から不登校になってました。

編集部: そこから始まったんですね。

吉開さん:はい。16歳まで、約3年半ほど続きました。だから中学は最初の半年だけしか行ってないです。

編集部: どんなことをして過ごしていたんですか?

吉開さん: 最初はゲームばかりして過ごしていましたね。別にゲーム好きじゃなかったんですが、何がしたいのか思い浮かばなくて暇つぶしでやってました。

その時は家からぜんぜん外に出なかったので、親以外との交流もほとんどありませんでしたね。

編集部: ちなみに、そのときご両親との関係は?

吉開さん: 不登校になってから、仲が悪くなりましたね。

母は「休んだらいいんじゃない?」と言ってくれていたのですが、父は早く学校に行かせたいという気持ちが強かったみたいで。それが原因でよく喧嘩をしてました。

「父のおかげでとことん好きなことに向き合うことができた」

現役高校生が語る!3年半の不登校が僕をエンジニアにしてくれたの画像
Upload By 発達ナビ編集部
編集部: そんな中から、エンジニアを目指すようになったんですよね?

吉開さん: はい。実は、エンジニアになったキッカケは、父の一言だったんです。

編集部: あ、そうなんですか!

吉開さん: そう(笑)

不登校になってからの1年間、ずーっとゲームをしてたら、父が「そんなにゲームをやるなら、自分でつくってみれば?」って言ったんです。

“ゲームをつくる”っていう言葉にすごく惹かれて、それを境にプログラミングの世界にどっぷりはまりました。

編集部: お父様の一言が今につながってるなんて、すごいですね。

吉開さん: ほんとですよね。父には今でもとても感謝してます。

プログラミングを始めると言ってから、勉強に必要なものは惜し気なく与えてくれました。今までに専門書は60冊くらい買ってもらいました。

編集部: 60冊!?
現役高校生が語る!3年半の不登校が僕をエンジニアにしてくれたの画像
60冊の参考書
Upload By 発達ナビ編集部
吉開さん: 「プログラミングを始めるぞ!」と決意してからは、父が買ってくれた本を片手にずっとひとりで勉強していましたね。

編集部:独学で勉強していたんですか?

吉開さん: はい。ずっと独学。自分のペースで勉強していました。

編集部: ネットの掲示板やコミュニティで交流しながら勉強、という事も特になく?

吉開さん: そうですね。

情報収集のためにエンジニアのコミュニティを利用することはありましたが、他のプログラマーとの交流はしませんでした。

僕の場合は、周りに左右されず自分のペースで勉強を進めるのが合っていたんだと思います。

編集部: まっすぐ好きなことに向かえる環境にいられたということですね。

吉開さん: そうですね。そういう点でいうと、僕は不登校という環境を選べてよかったと思っています。

自分のやりたいことを自分に合ったペースで探求できたのは、不登校になったおかげだとおもっています。もし学校にそのまま通っていたらエンジニアも目指してなかったかもしれませんね。

編集部: お父様からのサポートや、ひとりで勉強できる環境…いろいろなことが重なってエンジニアとしての道につながっていったんですね。

吉開さん: はい、その中でも父のサポートは大きかったですね。

学校にいかなくても自分なりの道がみつけられたのは、僕がプログラミングだけに集中して取り組めるように環境を整えてくれたおかげだと思います。

自分にぴったりの高校に出会い、学校に通いながらエンジニアの道へ

編集部: そのあと高校に進学されましたよね。高校へ行こうと思ったのはいつごろからなのでしょうか?

吉開さん: 実は、高校に行く年齢になっても、まだ学校には行きたくない気持ちの方が強くて1年ほどのんびりしていました。

だから僕、みんなより1年遅れて高校に入学してるんです。そのときは行きたいと思える高校がなかったんですよね。

編集部: という事は、逆に言うと今の高校は吉開さん自身が「行きたい!」と思えた…?

吉開さん: はい。行くならこの学校しかない!と思ってすぐ願書を出しました。正直、この高校に入学してから人生が変わりましたね。

今通っている学校は、「プログラミングの授業が必修」という謳い文句に惹かれて入学を決めました。それに、通信制高校なので自由に使える時間が多いんですよ。学校側も、外で自由に活動することを推奨していました。

編集部: 自分のやりたいことにマッチした学びができるというのは、素敵ですね。
現役高校生が語る!3年半の不登校が僕をエンジニアにしてくれたの画像
Upload By 発達ナビ編集部
吉開さん: うちの高校は面白い人が多くて、企業でインターンしている人、エンジニアとして働いている人や学生団体をたちあげる人…いろいろな人がいますよ。

高校に入ってから活動的な人たちと交流することも増えていって、そこからどんどん外でやっているイベントに顔を出すようになりました。

いま働いている会社に出会ったのも、この時期に参加したイベントがきっかけだったので、高校に入ったことは大きな転機だったなぁと思います。

編集部: なるほど。高校に入ってからの出会いが転機だったんですね。

吉開さん: 本当に、不登校の時代からは考えられないくらい毎日がガラリと変わりました。あの頃とは真逆で、家にいる時間はほとんどなくて、必ず外に出て何かをやってますね。

学校や仕事を通じて、自分が成長している実感があることが楽しくて仕方がないんです。

周りの人たちも自分のやりたいことに向かって目的を持って行動しているから、その環境の中に身を置けて良かったと思っています。

これからの社会に必要なのは、子ども達それぞれにあったサポート体制をつくること

編集部: これから大学進学が待っていますね。大学生になってから挑戦したいことはありますか?

吉開さん: 僕には大きな目標が2つあるんです。

ひとつは、コンピュータサイエンスの技術を活かした、モノづくりのサポーターになること。

もうひとつは、不登校だったり学校での生きづらさを感じている子どもたちのための、教育支援の仕組みをつくること。

これまでの仕事を通じて、自分の技術で人をサポートできるようになりたいと思ったんです。

モノづくり自体が楽しくして仕方がないので、「誰かのアイデアをどう実現できるのか」を考えて実行できる人になれたらいいなと。

そのためにもっと技術を身につけていきたいです。
 
子ども達の支援も、自分と同じような境遇の人たちをサポートするにはどういう仕組みが最適なのかを考えたいと思います。

学校教育を変えるとなると難しいかもしれないけれど勉強カフェのような溜まり場や塾みたいなものを作っていけばいいかもしれない…というようにアイデアを練っていきたいと思ってます。

編集部: 素晴らしい目標ですね。

そんな吉開さんがこれまでを振り返って、今、同じように不登校を経験している人に何を伝えたいですか?

吉開さん: 一旦不登校になると、なかなか戻れないというイメージって強いと思うんです。

でも不登校になってみてわかったんですが、出来ないことってそんなにないんですね。

僕の他にも同じような環境から自分のやりたいことを見つけて活躍している人はたくさんいます。

とくに今やりたいことがないという人には、少しでも興味のあることにはどんどんチャレンジしてほしいです。三日坊主になってもいいので、興味をもったらまずやってみることです。

僕の場合は、色々と経験することで本当に自分に向いていることが見えてきたので、思い切ってチャレンジしてみるというのはいいのかもしれません。
現役高校生が語る!3年半の不登校が僕をエンジニアにしてくれたの画像
Upload By 発達ナビ編集部
吉開さん: それと、お父さんお母さんには、その子が思いっきりチャレンジできる環境をつくってもらいたいです。

父が一生懸命に取り組めるような環境を整えてくれたから今の僕があると思っています。

だから、興味を持ったものを学ぶためのサポートをしてもらえれば、安心して自分の道を突き進むことができるんじゃないかなぁと思うんですよね。
 
 
編集部: 最後に、吉開さんの考える「これからの学校や社会で必要だと思うもの・変えていきたいもの」を教えてください。

吉開さん: 今ある学校に適応できなかったら失敗、という、ひとつのレールに子どもを乗せていくような教育観が変わっていけばいいなと思っています。


好きな事には夢中になって取り組めますし、仕事にできるくらい極められるようになると思うんです。

そういうふうに、型にはまった勉強以外にも子どもたちそれぞれの好奇心や意欲を活かせる場所をつくってあげれば、自立して社会で活躍する人材が育っていくんじゃないかと考えているんです。

だから、学校の中に生きづらさを感じている人がいたら、その人たちの悩みに寄り添いながら、それぞれの「なりたい・やりたい」を実現できるような体制作りが必要だと思っています。

吉開さんにとっての不登校は、自分の中で「道」をつくる時間だったのかもしれない

吉開さんは終始、物腰柔らかな受け答えをしつつも、自分のなかで育てた価値観を真正面から伝えてくれました。

会話の中で印象的だったのは、お父様への感謝の言葉が何度も出てきていたところ。
「本人にあった支援は何か」を考え続けられてきたからこそ今の活躍があるのだと思わずにはいられません。

「学校に行かない」という選択から、不登校である時期を「自分にあった生き方を探す時間」として向き合ってきた吉開さんだからこそこれからの社会に必要なサービスを生みだしてくれそうだと、そう思わせてくれるほどに芯をもった方でした。
3年半も不登校だった僕が、慶應義塾大学に行けた理由〜通信制高校活用のススメ〜のタイトル画像

関連記事

3年半も不登校だった僕が、慶應義塾大学に行けた理由〜通信制高校活用のススメ〜

突然学校を休みはじめた息子。半年たった今、本人の気持ちは…?のタイトル画像

関連記事

突然学校を休みはじめた息子。半年たった今、本人の気持ちは…?

不登校の原因・きっかけは?解決に向けた子どもとの向き合い方、進級・進学や支援機関について解説しますのタイトル画像

関連記事

不登校の原因・きっかけは?解決に向けた子どもとの向き合い方、進級・進学や支援機関について解説します

フリースクールとは?不登校の子どものための授業内容、費用や利用方法、在籍校の出席認定について解説のタイトル画像

関連記事

フリースクールとは?不登校の子どものための授業内容、費用や利用方法、在籍校の出席認定について解説

発達ナビPLUSバナー
当サイトに掲載されている情報、及びこの情報を用いて行う利用者の行動や判断につきまして、正確性、完全性、有益性、適合性、その他一切について責任を負うものではありません。また、掲載されている感想やご意見等に関しましても個々人のものとなり、全ての方にあてはまるものではありません。
あわせて読みたい関連記事

あわせて読みたい関連記事

この記事を書いた人

発達ナビ編集部 さんが書いた記事

発達障害や不登校のお子さまの学びのヒントがここに!「個別のまなびセミナー」のアーカイブ動画を限定公開!のタイトル画像

発達障害や不登校のお子さまの学びのヒントがここに!「個別のまなびセミナー」のアーカイブ動画を限定公開!

9/25に行われて大好評のうちに幕を閉じた、お子さま一人ひとりに合ったまなびを応援する保護者さま向け特別イベント「進路選び応援セミナー」。...
進学・学校生活
2517 view
2021/10/15 更新
ゲーム感覚で楽しく学べる「カンタン家勉法」とは?家庭教師ゴーイング、成長実感エピソードや無料体験レッスンの紹介ものタイトル画像

ゲーム感覚で楽しく学べる「カンタン家勉法」とは?家庭教師ゴーイング、成長実感エピソードや無料体験レッスンの紹介も

発達が気になるお子さんや不登校のお子さんにとって、重要な家庭学習。その一つの選択肢となる、家庭教師のゴーイングの「自立型のカンタン家勉法」...
学習・運動
308 view
2021/10/14 更新
リト@葉っぱ切り絵さん、ADHDの診断が転機に。「臨機応変」ができずに退職を繰り返した日々と、過集中を活かして唯一無二のアーティストになるまでのタイトル画像

リト@葉っぱ切り絵さん、ADHDの診断が転機に。「臨機応変」ができずに退職を繰り返した日々と、過集中を活かして唯一無二のアーティストになるまで

葉っぱ切り絵作家として、TwitterやInstagramで大人気のリト@葉っぱ切り絵さん。自然の葉っぱ1枚の中に、非常に細かな切り絵細工...
将来のこと
5773 view
2021/10/12 更新
放課後等デイサービス・児童発達支援事業所をお探しの方はこちら

放課後等デイサービス・児童発達支援事業所をお探しの方はこちら

コラムに対する投稿内容については、株式会社LITALICOがその内容を保証し、また特定の施設、商品及びサービスの利用を推奨するものではありません。投稿された情報の利用により生じた損害について株式会社LITALICOは一切責任を負いません。コラムに対する投稿内容は、投稿者の主観によるもので、株式会社LITALICOの見解を示すものではありません。あくまで参考情報として利用してください。また、虚偽・誇張を用いたいわゆる「やらせ」投稿を固く禁じます。「やらせ」は発見次第厳重に対処します。