不登校と向き合う親の4つの質問。元チャレンジ校教員が語ったこと

ライター:kaoru
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昨年、不登校に関する勉強会を開きました。
講師の経験から、不登校から立ち直るプロセスを通して、登校に不安がある子へのサポートの在り方を学びました。そこには、目からウロコの新しい視点がありました。

不登校児は全国で11万人!もはや他人事ではありません

不登校の状況(内閣府 成育環境)
不登校の状況(内閣府 成育環境)
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近年、不登校の子どもは小中学校だけで全国に11万人以上いると言われています。私の息子も現在中学2年生ですが、登校渋りがあり常に不登校と隣り合わせです。

そこで、私が運営する発達障害児の保護者のコミュニティにて、不登校に関する勉強会を開くことにしました。講師は、定時制高校などで不登校から立ち直ろうとする生徒たちと、長年関わってこられた元教員の方です。

私だけでなくみなさんの関心が高いテーマなのでしょう。参加者も多く充実した勉強会となりました。
勉強会に集まった、あるママの発言です。

子どもが学校へ通えなくなる覚悟はできている。

この言葉を聞いた私は、「不安なのは私だけじゃない」と深く共感したのを覚えています。
不登校の状況(内閣府 成育環境)
https://www8.cao.go.jp/youth/whitepaper/h26gaiyou/b1_03.html

保護者が学ぶ「不登校の勉強会」、その内容とは?

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勉強会での様子を

1. 保護者からの質問
2. 講師の先生からの回答

この順番で、詳しくご紹介したいと思います。

質問① 子どもから「休みたい」と言われたとき、どうすれば良い?

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保護者:「登校を再開しても、またすぐに休んでしまいます。そんな時どう対応したら良いのでしょう?」

先生:「高校入学を機にやり直しを図る子どもたちを例にお話します。
不登校からやり直しを図る子どもたちのほとんどが、『勉強をやり直したい』と言います。

しかし、もともとは不登校だった子ども。2~3週間すると息切れして学校を休んでしまうケースが多いのです。息切れの原因は勉強だけではありません。コミュニケーションもストレスの原因の1つ。

友達に何十通もメールを送り、返信が無いと『避けられている』と悩んでしまう子。
友達ができたことが嬉しくて、衣類から文具までお友達と同じものを買い揃えてしまう子。
一方的な正義感から、周囲への要求が大きすぎる子。

生徒たちのアンケートによると、「学校へ来る支え」も「学校で苦労すること」も、どちらの原因も「友達」が圧倒的に多いのです。」
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先生:「入学から数ヶ月は、『友達を作りたい』という意欲の大きさに比べ、それまでの経験不足からトラブルが発生しやすい時期で、不慣れなコミュニケーションから休んでしまうのは、むしろ必然と言えるのです。

この、最初に休んだ時の大人の対応がとても重要で、ガッカリした素振りを見せず、『休めてよかったね』と声をかけてあげる事が大切です。

心が疲れたら体は動きません。不登校の子が学校へ通えるためには、自分で自分の調子を掴み自分とうまく付き合えるようにしていかなくてはなりません。」

息子にも、人にストレスを感じつつも関わりたい気持ちが見えます。そして限界を感じると時おり学校を休みます。

押したり引いたりしてなんとか学校へ連れて行こうと頑張るよりも、「充電が切れちゃったね」「切り替え日だね」と、気持ちよく休ませたほうが回復も早い…そんな実感が私にもあります。

質問② 同じ環境下でも不登校になる子とならない子がいる。その違いは?

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保護者:「同じような環境下でも、不登校になる子とならない子がいますが、その違いは何でしょうか?また、立ち直っていくポイントは何だと思いますか?」

先生:「不登校になる子は『外からの評価』を気にし過ぎる傾向が強く、自分で自分をがんじがらめにした結果、不登校になるケースが多い。それは誰かに責められた経験の有無とは関係しないと思われます。

そういう子どもたちは、環境を変えて高校に進学しても、『1度休むと通えなくなるのでは?』『単位を落としたら、もう通えない!』と、『オール オア ナッシング(0か100かの極端思考)』になってしまいがち。

でも、不登校から立ち直る子を見ていると、何かができるようになったから学校に通える、という訳ではないのです。

不登校から脱する鍵は、今のままの自分で良いと思える自己肯定です。

その鍵を得るためには、『やらせる』とか『教え込む』のではなくて、自分から立ち直るまでとことん付き合ってくれる、そんな大人が必要なのです。」

私もかつては「やらせよう」と頑張って登校渋りを悪化させてしまった経験があります。今は良い意味で諦め、良い意味で割り切っています。

学校へ行けなくなっても死ぬわけじゃない…それくらいの大らかさの方が、実は上手く行く。
根拠はありませんが、経験からそう思います。

質問③ 不登校児を抱える親を、周囲はどう支えればいい?

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保護者:「子どもではなく、不登校児を抱える親と関わる上でのアドバイスはありますか?」

先生:「現代の親子関係は間違いが許されない雰囲気がある。(親の)無理は子どもに伝わる。無理はウソをつくことと同じで、親が失敗を恐れて頑張りすぎることは、必ずしも良い結果に結びつかないのです。

不登校児の親は、すでに充分過ぎるほど頑張っています。良かれと思った激励やアドバイスも、実は重たく感じることもあるのです。」

頑張り過ぎず失敗に大らかな子育て…このことは、スクールカウンセラーを始め、様々な講演会で聞いたお話でもあります。
これは、発達障害児ママにも同じ事が言えるかもしれません。充分頑張っているけれど、上手く行かない。

そんな時にホッとするのは、激励やアドバイスではなく「わかるよ」という共感の言葉かもしれません。

質問④ 不登校児の進路にはどんな選択肢があるの?

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保護者:「最後に、不登校児やその保護者が進路を考える場合、どんな選択肢があるのでしょう?」

先生:「不登校児の節目の1つである高校進学を例に考えてみましょう。
高校には全日制の他に、定時制や通信制があります。それ以外にもフリースクールやチャレンジスクールなどがあります。

ですが、これらの学校はあくまで不登校や中退の人がやり直せる学校であって、不登校や中退の人のための学校ではありません。
入れる学校を選ぶのではなく、通える学校を選ぶことが重要なのです。」

言われてみると当たり前の事ですが、登校に不安を持つ親子はともすると視野が狭くなり、見落としがちな視点ではないかと思います。

「やり直す」ための様々な配慮は、全日制の高校に比べ遥かにあるけれど、卒業するためには最低限の日数でも通い続けなければならないことを忘れてはなりません。
チャレンジスクールは、小・中学校での不登校や高校での中途退学を経験した生徒など、これまで能力や適性を十分に生かしきれなかった生徒が、自分の目標を見つけ、それに向かってチャレンジする学校です。
(チャレンジスクール 「夢をかなえる学校選び」)
出典:http://www.kyoiku.metro.tokyo.jp/pickup/p_gakko/kanaerugakko/pamphlet2.htm

勉強会を終えて

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来年は息子も高校受験です。
デコボコの波が大きい息子は、できることとできないことの差がとても大きい子です。

学校で不安定になったり、イライラが治まらないときは保健室へ行って落ち着く措置を取ってはいますが、息子は「学校へ行くだけでストレスを感じることがある」と言います。「不安の元が何か?言葉にできない」とも。

親としてはどうしても、「できることを基準に考えたい」と思ってしまいます。

ですが、私は心に固く決めています。「入れる学校ではなく、通える学校を探す」と。

「通える」という基準で選択するって、何も高校だけではありません。
進学や就労だけでなく、サークルや部活動、アルバイトなど、小さな選択に至るまで実は、この先ずっと大切にできる基準だと思います。
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