【専門家監修】田中ビネー知能検査、就学児版 田中ビネー知能検査とは?特徴や結果の表し方などを解説

ライター:医師・専門家監修|発達障害・支援のキホン
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出典 : http://amanaimages.com/info/infoRF.aspx?SearchKey=10161018994

知能検査は、個人の知的能力を測定することを目的として作られた検査です。福祉サービスに関する判定、発達支援や教育相談など、さまざまな支援・相談の場におけるアセスメント・ツールとして活用されています。ASD(自閉スペクトラム症)やADHD(注意欠如多動症)、LD・SLD(限局性学習症)など、発達の遅れや偏りのある子どもの状態を把握し、支援方法や指導内容を検討することにも使われています。この記事では、さまざまな支援・相談の場で使用されることの多い、田中ビネー知能検査についてご紹介します。

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監修: 日戸由刈
相模女子大学 人間社会学部 人間心理学科教授
博士(教育学)。公認心理師。臨床心理士。臨床発達心理士。横浜市総合リハビリテーションセンター発達精神科外来に心理職として20年勤務し、同センター児童発達支援事業所「ぴーす新横浜」の園長を経て、2018年より現職。
目次

田中ビネー知能検査とは?どんなテスト?

このコラムで分かること

  • 田中ビネー知能検査の目的と、発達支援や教育相談での活用方法について
  • 「知能検査」「発達検査」「認知検査」それぞれの特徴と違い
  • 2歳~13歳(精神年齢・IQ)と14歳以上(偏差知能指数)で異なる結果の表し方
  • 検査にかかる費用、実施時間、当日の親の心がまえや配慮点
田中ビネー知能検査は、子どもの知的側面の発達状態を客観的に捉えるための検査です。2歳から成人までと幅広い年齢を対象としています。

田中ビネー知能検査は、決められた手順と教示に則って出題される課題によって、知的発達のペースや水準(遅れているのか早いのか、その遅速の程度はどれくらいか)を簡便に把握することができます。また、課題への反応に加えて子どもの生活史や背景も考慮し、子どもが課題解決という目標にどのように向かっていくかを観察・精査します。

こうして得られた結果は、医学的診断や福祉サービスに関する判定、発達支援、就学・教育相談などの場で活用されています。1947年に開発されて以降、改訂を重ね、2003年に第5版にあたる「田中ビネー知能検査Ⅴ(ファイブ)」が刊行されました(以下、田中ビネー知能検査と表記します)。

「知能検査」、「発達検査」、「認知検査」の違い

発達のアセスメントに使われることの多い心理検査は、「発達検査」「知能検査」「認知検査」と、大きく3つに分けることができます。それぞれ、どのように違うのでしょうか。

知能検査は、新しいことを学習したり問題を解決したりする能力、過去の経験から学んだことの積み重ねに基づく能力(知識など)といった認知機能を中心に評価するもので、検査結果は精神年齢(Mental Age:MA)や知能指数(Intelligence Quotient:IQ)、指標得点などで示されます。

発達検査は、知能検査と一部重複する認知機能の評価も含みますが、それ以外に姿勢・運動の発達や言語・社会性の発達など幅広い領域にわたって評価するもので、検査結果は発達年齢(Developmental Age:DA)や発達指数(Developmental Quotient:DQ)で示されます。

認知検査は、知能検査で測定された能力をさらに要素に分けて精査するもので、知能検査の結果をさらに掘り下げるためのものと位置づけられます。

子どもの発達の評価にあたってどの検査を用いるかは、評価の目的やこれまでの経過を踏まえて、医師または検査者が判断します。

田中ビネー知能検査の内容

田中ビネー知能検査は個別式(検査者と受検者が1対1で行う)の検査です。検査課題には、日本人の文化やパーソナリティ特性、生活様式に即した内容が採用されており、検査への抵抗を軽減するだけでなく、本来の子どもの能力を発揮させやすい要件を備えた構成となっています。

田中ビネー知能検査の解釈

田中ビネー知能検査では、結果の表し方が年齢によって異なります。対象者が2歳から13歳の場合、精神年齢(Mental Age:MA)および知能指数(Intelligence Quotient:IQ)で表され、14歳以上の場合には、原則として偏差知能指数(Deviation Intelligence Quotient:DIQ)で表されます。

検査者は、決められた手順と教示に則って問題を提示し、子どもの回答だけでなく反応全般を、分析的かつトータルに観察します。また子どもの生活史や背景も考慮し、子どもが課題解決という目標にどのように向かっていくかを観察・精査します。

対象者が2歳から13歳の場合

検査結果は、精神年齢(Mental Age:MA)および知能指数(Intelligence Quotient:IQ)で表されます。知能の発達が年齢との関係で変化していく傾向の見られる幼児期・学齢期において、精神年齢や知能指数といった尺度は、子どもの知的発達水準をイメージしやすく、支援を考える手がかりとして活用しやすいのです。

対象者が14歳以上の場合

検査結果は原則として、偏差知能指数(Deviation Intelligence Quotient:DIQ)で表されます。DIQとは、同年齢集団の中での相対評価で知的発達を捉える尺度です。知能は、生活年齢が高くなるにつれて年齢との関係だけでは捉えられなくなるため、田中ビネー知能検査では、このように結果の表し方が年齢によって異なっています。

就学児版 田中ビネー知能検査V(ファイブ)

田中ビネー知能検査には、就学に関して特別な配慮が必要であるか否かの診断に特化した「就学児版 田中ビネー知能検査Ⅴ」というバリエーションもあります。この検査の適用年齢は5歳~6歳です。ただし、“就学に関する相談や評価ではこの「就学児版」を使わなければならない”というわけではありません。どの検査を用いるかは、実施機関が判断します。
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田中ビネー知能検査の適用年齢、実施時間、費用について

ここでは、田中ビネー知能検査が対象とする年齢の範囲(適用年齢)や実施時間、費用について説明します。

適用年齢

田中ビネー知能検査は2歳~成人までと幅広い年齢を対象としています。

実施時間

対象者の生活年齢(Chronological Age : CA)や個々の発達によって検査内容が異なるため、受検する際は時間に余裕をもって考えておきましょう。

費用

受検の目的や実施機関によって、費用は異なります。専門・相談機関でのアセスメントを目的に受検を勧められた場合は、無料あるいは保険診療の扱いとなることが多いです(保険診療については以下のWebサイトをご覧ください)。保護者や本人の希望により民間の施設で受検する場合などは、その施設が定める料金がかかります。
保険診療の理解のために|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/shidou_kansa.html

検査を受ける際の配慮点・心がまえ

・これまでに発達検査や知能検査を受検したことがある場合は、そのときの子どもの様子や結果を、実施機関の担当者(医師や検査者)に伝えておくとよいでしょう。子どもの評価にあたってどの検査を用いるか、どのように検査場面に導入するかなど、検査実施の計画を立てる手がかりとして活用されます。

・検査は、子どもの体調や気分が安定しているときに受検できるのが望ましいでしょう。日頃から睡眠や食事のリズムを整え、子どもが興奮したり緊張したりしやすいイベントの前後を避けて実施日程を調整できるとよいでしょう。

・田中ビネー知能検査は個別式検査ですが、対象者の年齢が低い場合は、検査者の判断により保護者の同席が求められることがあります。対象者の年齢が高い場合は保護者と分離します。

・検査者は最初に子どもとのラポール(信頼関係)形成を大切にします。検査者と対象者が十分な関わりを持てるよう、保護者は見守りましょう。

・検査中に子どもが受検を嫌がった場合や体調不良などのトラブルが生じた場合、検査者は子どもに負担をかけないために検査を中止することがあります。その場合、検査者は保護者からの聞き取りによっておおまかな発達のチェックを行います。再検査を勧められる場合もあります。

検査結果の説明

知能検査や発達検査を受けたあと、検査者または医師から検査結果の説明を受けます。説明の方法は実施機関によって異なります。受検当日に説明を受ける場合もあれば、別の日に説明を受ける場合もあります。

また、口頭のみで説明を受ける場合もあれば、検査報告書を渡されて説明を受ける場合もあります。保護者は、メモが取れるよう用意をして臨みましょう。

知能検査は、診断や判定に用いられるだけでなく、発達支援、就学・教育相談、学習支援や進路選択など、対象者本人に対するサポートを的確かつ効果的に行うためのアセスメント(評価)になります。結果の説明を受ける際には、数値だけでなく、その結果から何が分かるのか、どのようなことに取り組み、気をつけたらよいかなど、具体的なヒントを得るための質問をしましょう。

検査を希望する際は、専門・相談機関に問い合わせを

子どもやご自身について、知能検査の受検を希望する際は、まずはお住まいの地域にある身近な専門・相談機関の窓口に行くとよいでしょう。事前に予約が必要な機関もありますので、問い合わせてみてください。

また、対象者の年齢や目的によって対応できる専門・相談機関は地域によって異なります。お住まいの地域(都道府県、市区町村)のWebサイトなどで確認してください。
執筆/萬木はるか(京都市発達障害者支援センターかがやき・主任)
保有資格:公認心理師、臨床発達心理士
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