就労移行支援事業所とは?利用条件とサービス内容、事業所の選び方を紹介します!

就労移行支援は障害がある方の就労をサポートする障害福祉サービスです。職業訓練、職場探し、職場への定着支援など、手厚いサポートを利用することができます。全国に数多く所在する事業所の中で、本人に合った事業所の選び方などとあわせ、詳しいサービス内容をまとめて紹介していきます。

就労移行支援とは?
就労移行支援の利用者は、就労移行支援事業所に通所してサービスを利用します。事業所は2017年時点で、全国3471ヶ所に所在しています。社会福祉法人、NPO法人、民間企業が経営主体となっており、事業所ごとにサービス内容や雰囲気は様々です。
就労移行支援の利用対象と利用期間は?
就労移行支援では利用できる年齢や条件、原則の利用期間が定められており、サービスを受けるためには条件を満たしていることが求められます。
利用対象はどんな人?
①身体・知的・精神障害や難病のある方
②企業等での就労または開業を希望する方で、就労が可能と見込まれる方
③原則18歳以上から65歳未満の方
また障害者手帳を持っていない方でも、障害福祉サービス受給資格および医師の意見書等があれば、自治体の判断により利用可能な場合があります。※市区町村によって異なるので、お住まいの市区町村の障害福祉担当窓口に問い合わせてみてください。
利用期間はいつからいつまで?
就労移行支援ではどんなことをするの?
1. 職業訓練
プログラム内容や、得意としている就職支援の種別は事業所ごとに異なるため、自分に合ったプログラムを実施しているかどうかを事業所選びの段階で調べる必要があります。参考としていくつかのサービス内容の例をまとめました。
(例)
・ビジネスマナー、挨拶、身なり等の習慣づけ
・コミュニケーショントレーニング
・パソコントレーニング(Officeソフトのスキル向上・基本情報処理)
・基礎学習(読み・書き・計算等)
・個人の適性に合わせた能力開発訓練
・職場見学・実習 など
プログラム内容は、個々人で立てられた支援計画の目標や進捗状況に応じて変わってきます。また、事業所内での訓練だけでなく、職場訪問や実習等による外部での訓練機会との組み合わせで支援が行われます。
2. 適性に合った職場探し
ただし、就労移行支援事業所が直接、職業紹介を行うことは制度上できません。そのため、主にハローワークや障害者就業・生活支援センター、障害者職業センター等と連携し、本人にとって最適な職場を見つけるサポートを行うことが、主な役割となります。
3. 職場定着のためのサポート

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就労移行支援のメリットと注意点は?
障害があることを明かさないまま自力で就労活動をしたいなど、就労に向けて身につけたいスキルがあるなどの利用者本人の希望と、事業所が提供するプログラムや支援方針が合わないケースもあります。
そのため、就労移行支援のメリットと注意点を踏まえた上で、自分の希望に合った事業所選びをすることをおすすめします。
就労移行支援を利用する上でのメリット
障害があるかどうかに関わらず、就労活動を一人で行うことは孤独や様々な困難が生じます。専門的なスタッフの就労移行支援を受けることには、以下のように様々なメリットがあると言えるでしょう。
・職業訓練で就労に必要な知識・能力を身につけることができる
・事業所に通うことで社会性を身につけることができる
・障害があることを明かして、適切な配慮を受けながら就職活動ができる
・ハローワークなどと連携して、自分のスキルや障害特性に合った職業を紹介してくれる
・事業所で真面目に取り組んでいた様子が企業に伝わりやすい
・就職後、職場への定着支援を実施してくれる
・仲間ができる
実際に利用したことがある方の体験談をまとめてみました。
出典:https://h-navi.jp/qa/questions/104935いくつかの就労移行支援を利用したことがあります。
メリットは
●基本的なパソコンスキルや社会人としてのマナーが身につく
●ハローワークの面接会に施設単位で参加できる
●応募書類の書き方や面接に向けてのアドバイスをもらえる
●人によっては企業実習がある……とかですかね。
出典:https://h-navi.jp/qa/questions/73451事業所によってやっているプログラムは様々です。私が通所しているところは、IMR(リカバリーと病気の自己管理)一週間に一回グループワークでディスカッション形式で話し合って今後の自分の病気との付き合い方を学びあったり、アンガーマネジメントと言って怒りのコントロールの仕方を学んだりしています。WRAP(ラップ)元気回復行動プラン、精神栄養学、SSTなど、単にパソコンのスキルや事務作業のスキルだけ教えていません。
就労移行支援を利用する上での注意点
しかし、就職活動をするに当たって、自身の障害を明かすことに抵抗がある方もいます。また、障害者雇用枠での求人条件が自分のスキルや目標とマッチしない場合もあります。
従って、就労移行支援を使って就職活動をする際には、自身の障害をオープンにするかどうか、どの求人枠に応募するかなど、事業所のスタッフとよく話し合いながら進めることが大切です。
また、就労移行支援事業所ごとに支援の方針や実施プログラムの内容、スタッフや利用者の雰囲気も異なるため、自分に合ったサービスを受けられるとは限りません。事前にその事業所の特徴をよく見極めて利用を決めることが重要です。
出典:https://h-navi.jp/posts/83007/残念ながら就労移行支援や継続支援といった支援機関・そこに携わる支援者と全く合わず、体調悪化と施設を転々とした結果、支援機関と支援者不信になりました。
就労移行支援事業所はどう選んだらいいの?
出典:https://h-navi.jp/qa/questions/28588「27歳女です。現在無職、3ヶ月ほど経ちました。前職は障害をオープンにしていましたが、「働けるような状態ではない」と言われ、退職しました。就労移行支援、あるいはそれに準ずるものを受けたいと考えているのですが、調べてみてもあまりにも多くて、選び方がわかりません。この歳でこれ以上の失敗できないと考えると行動に移すのにも勇気が要ります。周りに頼れる人もいませんし……貯金もほとんどなく、焦りだけでどうにかなりそうです。」
自分の目的や事業所の実績・雰囲気など、重視すべきポイントを整理した上で、市区町村の窓口へ相談し、事業所への見学・体験を行うと良いでしょう。自分に合った仕事に就くためにも、就労移行支援事業所選びは大切なプロセスになってきますので、慎重に考えることをおすすめします。
以下では、自分に合った事業所を選ぶためのポイントと、実際に事業所を選ぶまでの見学・申請プロセスを紹介します。
自分に合った就労移行支援事業所を選ぶポイント
①事業所のプログラム内容は自分の目的に合っているか
就労移行支援を利用する上で、本人が伸ばしていきたいスキルなどの目的と、事業所が実施しているプログラムの内容が合っているかどうかの見極めが大切になってきます。職業訓練や定着支援のプログラムの内容を確認することに加えて、見学・体験を行うことをおすすめします。
②これまでの就労実績
就労移行支援事業所の就労実績を確認し、本人が希望する職種への実績があるかなど加味して考えることをおすすめします。
③事業所の雰囲気は合っているか
事業所ごとにスタッフや利用者の雰囲気もさまざまです。就労に向けた訓練に集中できる環境かどうか、また人間関係が良好に築けるかなど、見学や体験を通して事業所の雰囲気を見極めることが大切です。
自分に合った就労移行支援事業所の見つけ方
①お住まいの市区町村の窓口へ相談
お住まいの市区町村の障害福祉担当窓口または「障害者就業・生活支援センター」で就労移行支援事業所の紹介を行っています。まずはそこで就労移行支援サービスを利用したい旨をお伝えください。地域によって事業所数は異なるため、情報収集も兼ねて相談に行ってみることをおすすめします。
②いくつかの気になった事業所に見学・体験に行く
目星をつけたいくつかの事業所に問い合わせて、見学または体験に行くことができます。就労移行事業所は、事業所ごとに方針や実施内容・雰囲気等が異なります。目標とする就労形態や職種、伸ばしたいスキル等に応じて、自分に合った事業所を探しましょう。
なお、就労移行支援事業所を探す際には、複数の事業所を掲載した検索サイトなども参考にすることができます。自宅から通える距離にある事業所や、自分の能力を伸ばせるプログラムが用意されている事業所など、いろいろな観点から「ここなら通いたい」と思える事業所を探してみましょう。
就労移行支援事業所を決めたら、お住まいの市区町村の障害福祉担当窓口で利用申請を申し込むことができます。申請が承諾され手続きが完了すれば事業所に通うことができます。
利用申請はどうするの?
①市区町村の窓口に申請し、所定の用紙に項目を記入し提出する
②認定調査員が本人や家族に対して聞き取り調査及びサービスの利用意向聴取を行う
③サービス等利用計画案(又はセルフプラン)の作成
④個別支援計画が作成され計画に沿ったサービスを受けることができる
就労移行支援の利用料金はどうなっているの?
気になる利用料金は?
世帯の範囲は利用される本人と配偶者を指しており、本人と配偶者の前年度収入を参考に負担額を決定します。親の収入は本人の前年度収入には換算されません。
月額負担料金の目安として、下記を参考にしてください。
・生活保護受給世帯…0円
・市町村民税非課税世帯…0円
・前年度収入約300万円以上~約600万円以下の方…9,300円
・前年度収入約600万円を超える方…37,200円
ただし、就労移行支援事業所に通う交通費や食費、その他就労にかかる費用は基本的には自己負担になります。事業所によって交通費等が支給している場合もありますので詳しくは各事業所にご確認ください。
就労移行支援だけではない!就労継続支援とは?
就労継続支援A型
雇用契約に基づいて支払われます。
就労移行支援B型
まとめ
これまで説明してきた通り、一口に就労移行支援といっても事業所ごとにプログラムは様々です。また、障害をオープンにして就職活動をするか、障害者雇用枠での求人に応募するかどうかなど、就職活動の方向性についても注意が必要です。
就職に向けて様々なサポートを受けられることは就労移行支援の大きなメリットですが、何より大切なのは、就労を希望するご本人の意向に合わせた就職活動をしていくことです。事業所ごとのプログラムやスタッフの様子などをよく見た上で、ご自分に合った就労移行支援事業所を探してみましょう。

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