異食症の診断と治療法

異食症の診断

異食症の診断は以下のような基準のもとに医師が判断します。

・栄養のない食べ物以外を1ヶ月以上口にしている
・異食行動が発達段階に対してふさわしくない
・異食行動が文化や伝統の一部ではない
・ほかの精神疾患のある方に異食行動が見られる場合は、特別に治療を必要とするほどの度合いである

ほかにも鉛中毒を確認するための血液検査や、土食による寄生虫を検出するための検便が行われる場合もあります。

また、2歳未満の子どもの異食行動は発達段階として不自然ではないため、基本的に診断されません。

異食症の治療法

異食症の治療法として、まずは何らかの併存・合併症にかかっていないかを判断し、ある場合は先にその疾患を治療します。また、腸閉塞などがある場合は、手術が必要となることがあります。
その後、行動変容法などで行動を修正していきますが、異食症に対する全員に確立した治し方というのは現状ありません。
しかし、異食行動は数ヶ月続いてから自然に消失することがあり、特に子どもでその傾向がみられます。

異食症かもしれないと思った時の相談先

乳幼児期の異食行動は、ほとんどの子どもに起こりうることです。また、妊娠中の女性の異食に関しても、多くの場合起こりうる症状です。

しかし、以下に当てはまる場合は要注意です。
・行動が徐々にエスカレートしていく。
・ストレスを感じている様子がある。
・明らかな体調不良を感じる。
・継続的に異食する物質が人体に有害な恐れがある。

本人の状態を見てこれらに当てはまるときは、ためらわず、相談機関や医療機関に相談することをおすすめします。

異食症の相談先

異食症は、さまざまな原因によって発症する疾患です。そのためまずは、かかりつけの病院で相談することをおすすめします。しかし身近に相談できる病院がすぐには見当たらない、いきなり病院へ行くのはためらいを感じる場合は以下の相談先も活用してみましょう。

・児童相談所:
児童相談所は、すべての都道府県と政令指定都市に最低1つ以上設置されている児童福祉の専門機関です。児童福祉司・児童心理司・医師・保健師などの専門家がいて、育児に関する相談ができる機関となっています。
児童相談所一覧|こども家庭庁
https://www.cfa.go.jp/policies/jidougyakutai/jisou-ichiran
・精神保健福祉センター:
各県、政令市にはほぼ一か所ずつ設置されている、保健・精神保健に関する公的な窓口です。精神保健福祉に関する相談をすることができます。
精神科医、臨床心理技術者、作業療法士、保健師、看護師などの専門職が配置されており、相談については、予約制、健康保険の適応があるところがあります。詳細は、それぞれのセンターにお問い合わせください。
全国の精神保健福祉センター一覧|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/yakubutsuranyou_taisaku/hoken_fukushi/index.html
・保健所/保健センター:
保健所と保健センターはどちらも地域の保健衛生に関する業務を担当している機関です。医師、看護師、保健師、栄養士など医療の専門家がいて、さまざまな心身の不調に関して相談を行うことができます。

・精神科・心療内科、消化器内科・救急外来:
精神科は心の症状、心の病気を扱う科です。心療内科は心の問題が身体的な症状としても表れている場合を扱う科です。どちらを受診するか迷う方もいると思いますが、異食症の場合はどちらでも大丈夫です。ただし幼児から中学生までの年齢は、児童精神科を掲げている病院やクリニックを受診するようにしてください。
食べてしまったものによって明らかに身体に不調がでている場合は、まずは消化器内科や救急外来を受診して、中毒症状などに対する身体的な治療を優先してください。

異食行動を発見した時の緊急対応方法

あなたの周りの人が異食行動をしているのを発見してしまった場合、どうすればよいのでしょうか?以下の緊急の対応方法を行うことをおすすめします。

まだ口の中にものが入っている場合

大声を上げて怒らず優しく接することが重要です。なぜなら怒鳴られたりすることで、びっくりして口の中のものを急に飲み込んでしまったり、ストレスを感じて異食行動がエスカレートしてしまったりする可能性があるからです。

優しく、お菓子など口に入れる代替品となるものを差し出し、吐きだすように誘導するようにしましょう。

飲み込んだ場合

体に有害なものを飲み込んだ場合は、早急に以下のように対処する必要があります。誤って消化できないものや毒性があるものなどを飲み込んだ場合は、個人で判断せず、すぐに駆け込める病院を確保しておくこと、日本中毒情報センターの中毒110番に確認することがおすすめです。

・ティッシュや紙くずなど消化できるもの....のどに詰まっていない場合は、しばらく安静にして様子を見ます。

・小銭、電池、ビー玉、ビニール、おむつなど消化できないもの....のどに詰まっていない場合は、無理に吐かせずすぐに受診します。
・たばこ....食べたタバコの量が2cm 以内であれば、まずは自宅で様子をみましょう。灰皿の水を飲んだ場合はすぐに受診するようにしましょう。

・洗剤....食道や胃の粘膜を炎症させたり、傷つけてしまう恐れがあります。洗剤の種類によっても対応の方法が違いますので、日本中毒情報センターの中毒110番で対処法を確認しましょう。

受診する際は、口にしたもの、個数、時間、場所、応急処置の内容、嘔吐や腹痛がないかを医師に伝えるようにすると診察がスムーズになります。
参考:中毒110番・電話サ-ビス (一般専用)|日本中毒情報センター
https://www.j-poison-ic.jp/110serviece/service-guide-genelal/
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