異食症の診断基準と治療法

異食症の診断基準

医療機関では、2014年に出版されたアメリカ精神医学会の『DSM-5』(『精神疾患の診断・統計マニュアル』第5版)や『ICD-10』の基準を用いて診断されることが多いです。『ICD-10』と『DSM-5』の間でその基準や障害の概念に多少の違いはあり、どちらに準拠して診断を行うかは医療機関や医師によります。

異食症の治療法

異食症の治療は、通常食べることのないものを食べてしまったことで何らかの併存・合併症にかかっていないかをまずは判断し、ある場合は先にその疾患を治療します。
その後、行動変容法などで行動を修正していきますが、この病気に対する特定の治療法については、ほとんど分かっていません。
この病気は数カ月続いてから自然に消失することがあり、特に子どもでその傾向がみられます。

異食行動を発見した時の緊急対応方法

あなたの周りの人が異食行動をしているのを発見してしまった場合、どうすればよいのでしょうか?以下の緊急の対応方法を行うことをおすすめします。

まだ口の中にものが入っている場合

大声を上げて怒らず優しく接することが重要です。なぜなら怒鳴られたりすることで、びっくりして口の中のものを急に飲み込んでしまったり、ストレスを感じて異食行動がエスカレートしてしまったりする可能性があるからです。

優しく、お菓子など口に入れる代替品となるものを差し出し、吐きだすように誘導するようにしましょう。

飲み込んでしまった場合

体に有害なものを飲み込んでしまった場合は、早急に以下のように対処する必要があります。誤って物を飲み込んでしまう緊急事態が起こってしまった場合は、個人で判断せず、すぐに駆け込める病院を確保しておくこと、日本中毒情報センターの中毒110番に確認することがおすすめです。

・ティッシュや紙くずなど消化できるもの....のどに詰まっていない場合は、しばらく安静にして様子を見ます。
・小銭、電池、ビー玉、ビニール、おむつなど消化できないもの....のどに詰まっていない場合は、無理に吐かせずすぐに受診します。
・たばこ....ニコチンなどの有害な物質を体に吸収させてしまう恐れがあるので、早急に吐かせすぐに受診します。
・洗剤....食道や胃の粘膜を炎症させたり、傷つけてしまう恐れがあります。洗剤の種類によっても対応の方法が違いますので、日本中毒情報センターの中毒110番で対処法を確認しましょう。

まとめ

異食症は短期間で症状が治まる可能性が高く、治療法もあります。特に子どもの場合は物を口に入れてしまうことは自然なことであり、焦る心配はありません。

しかし食べてしまう物によっては、身体に影響を与える危険性のある疾患です。ですので、まず第一に飲み込まないようにすることが大事です。万が一、飲み込んでしまった場合や、症状について気になった場合は迷わず診察を受けに行くことをおすすめします。

またご自身でも小さなストレスから取り除いていき、不足していると感じる栄養素を積極的に摂取していく日々の積み重ねが大切といえるでしょう。
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