統合失調症とは?症状や特徴、原因、治療法、薬などについて詳しく解説します

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統合失調症は、認知、行動、情動などに障害が発生する精神疾患です。代表的な症状として幻覚、幻聴、被害妄想が起こるなどがあげられます。発症率は100人に1人と考えられており、決してまれな病気ではありません。統合失調症の症状や治療について詳しく紹介します。

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目次
  • 統合失調症はどんな病気?
  • 統合失調症の主な症状
  • 統合失調症の診断ガイドライン
  • 統合失調症のプロセス
  • 統合失調症が生じる要因
  • 統合失調症の治療を受けるには
  • 統合失調症に対する望ましい接し方
  • 統合失調症のある人にどうやって接したらいい?体験談を紹介
  • 統合失調症がよくわかる本
  • 利用できる福祉サービスは?
  • まとめ

統合失調症はどんな病気?

統合失調症とは、認知、行動、情動のいずれかに機能障害が発生する精神疾患です。

代表的な症状としては、意味がよく分からない言葉を言う、幻覚、幻聴、被害妄想が起こるなどが挙げられます。一般的に10代後半から30代半ばに出現します。

神経伝達物質の異常が原因と考えられており、人により機能障害がおこる脳の部分が異なるため、人により症状が大きく異なります。

以前は精神分裂病という病名で呼ばれていましたが、病名に対してネガティブなイメージがあることから、2002年から新しく統合失調症という病名を使用することになりました。現在では統合失調症という病名がよく使われているため、本記事では統合失調症と記します。

統合失調症の主な症状

統合失調症の主な症状は、陽性症状と陰性症状の2種類に分けられます。陽性症状は「妄想」や「幻聴」が代表的な症状として挙げられます。陰性症状は「うつ状態になること」や「感情の起伏が少なくなること」が代表的な症状として挙げられます。

人が変わったかのように急に症状が現れるため、周囲の人が戸惑うことも少なくありません。

本人には自覚症状がないことが多く、そのため受診が遅れる場合もあります。次のような症状がみられる場合は周囲の人が受診をすすめるとよいでしょう。

陽性症状

陽性症状とは神経が興奮し、精神的に不安定になる症状です。主な症状として、妄想、幻覚の2つがあります。

妄想:
妄想とは、現実的にはありえないことを信じてしまうことを言います。誰かに攻撃される、悪口を言われているといった被害妄想など数種類の妄想があります。

幻覚:
現実には起こっていないことが見えたり聞こえたりします。

陰性症状

陰性症状は、エネルギーが下がった状態で起こる症状です。主な症状としては、うつ状態になることと、感情の起伏が少なくなることの2つがあります。陰性症状が進むにつれて日常生活を送ることが難しくなる特徴があります。

やる気がないように見えることから周囲の人からは怠け者と見なされ、精神疾患に気づいてもらえないことも少なくありません。具体的な症状としては次のようなものがあります。

・感情の表現が乏しくなり、喜怒哀楽がなくなります。
・意欲が下がり、やる気がなくなります。例えば身の回りのことに気が回らなくなります。
・考える力が低下し、話す内容が少なくなります。話の流れからすると全く関係のないことを話したり、受け答えをしたりすることがあります。
・コミュニケーションを取ることが難しくなり、塞ぎこみがちになります。そして外出を控えるようになり、ひきこもりに発展してしまうこともあります。

統合失調症の診断ガイドライン

統合失調症は、大きくとらえると「統合失調症スペクトラム障害および他の精神病性障害群」という疾患分類の中に含まれる病気です。

2014年に出版されたアメリカ精神医学会の『DSM-5』(『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル』第5版)によると、統合失調症の診断基準は次のようになります。

A. 以下のうち2つ(またはそれ以上)、おのおのが1ヶ月(または治療が成功した際はより短い期間)ほとんどいつも存在いする。これらのうち少なくとも1つは(1)か(2)か(3)である。
(1)妄想
(2)幻覚
(3)まとまりのない発語(例:頻繁な脱線または滅裂)
(4)ひどくまとまりのない、または緊張病性の行動
(5)陰性症状(すなわち情動表出の減少、意識欠如)
B. 障害の始まり以降の期間の大部分で、仕事、対人関係、自己管理などの面で1つ以上の機能のレベルが病前に獲得していた水準よりも著しく低下している(または、小児期や青年期の発症の場合、期待される対人的、学業的、職業的水準にまで達しない)
C. 障害の持続的な兆候が少なくとも6ヶ月間存在する。この6ヶ月間の期間には、基準Aを満たす各症状(すなわち、活動期の症状)は少なくとも(または、治療が成功した場合にはより短い期間)存在しなければならないが、全駆期または残遺期の症状の存在する期間を含んでもよい。これらの前駆期または残遺期の期間では、障害の兆候は陰性症状のみか、もしくは基準Aにあげられた症状の2つまたはそれ以上が弱められた形(例:奇妙な信念、異常な知覚体験)で表されることがある。
D. 統合失調感情障害と「抑うつ障害または双極性障害、神経病性の特徴を伴う」が以下のいずれかの理由で除外されていること。
(1)活動期の症状と同時に、抑うつエピソード、躁病エピソードが発生していない。
(2)活動期の症状中に気分エピソードが発症していた場合、その持続期間の合計は疫病の活動期および残遺期の持続期間の合計の半分に満たない
E. その障害は、物質(例:乱用薬物、医薬品)または他の医学的疾患の生理学的作用によるものではない。
F. 自閉スペクトラム症や小児期発症のコミュニケーション症の病歴があれば、統合失調症の追加診断は、顕著な幻覚や妄想が、その他の統合失調症の診断の必須症状に加え、少なくとも1ヶ月(または、治療が成功した場合はより短い)ぞんざいする場合にのみ与えられる。

引用:「DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル」p.99-100|日本精神神経学会(監), 医学書院(刊), 2014

出典:https://www.amazon.co.jp/dp/4260019074

統合失調症のプロセス

統合失調症にはいくつかの段階があります。それは時間の経過とともに症状や程度が少しずつ変化するからです。一般にうつ症状と似ている前兆期に始まり、興奮の激しい急性期、落ち込みの激しい消耗期を経て、回復期へとむかいます。

■前兆期
焦りと不安を感じ、感覚が過敏になったり気力がなくなる症状が現れます。例えばいらいらしたり、忘れっぽくなることなどが挙げられます。また頭痛や食欲減退が生じることもあり、身体の不調が起こり始めます。

■急性期
幻覚や幻覚、妄想などの、統合失調症に典型的な症状が現れます。この場合、光に敏感になることも多く生活リズムが崩れてしまうこともあります。例えば誰かに監視されているような妄想があったり、誰かが自分の悪口を言っているように幻聴が聞こえたりすることもあります。

■消耗期
疲れやすく、集中力がなくなるなどの症状が現れます。神経が消耗することからよく眠るようになります。また子どものような振る舞いがみられる退行が生じることもあります。これはエネルギー不足から生じる症状です。よく眠り、よく休むことでエネルギーを充電しているのです。

■回復期
エネルギーが次第に戻ってくると、治療などにより行動範囲が徐々に広がり、生活意欲が高まります。そこでリハビリテーションにより社会復帰を目指します。しかし社会復帰に向けてがんばるなかで焦りを感じ、状態が悪化する場合もありますので注意が必要です。

統合失調症が生じる要因

統合失調症はさまざまな要因が複雑に関係しています。いくつかの要因によりストレス耐性が弱まり、それをきっかけに発症すると考えられています。統合失調症が生じる要因としては主に環境要因と遺伝要因、脳内物質の異常の3つがあります。

■遺伝要因
遺伝要因は統合失調症の発症に関連していると考えられています。しかし、単純に親から子への遺伝だけが統合失調症の原因ではないということが研究で分かっています。あくまで、発症リスクが他の親子と比べて高いということに留まります。

統合失調症の親から生まれた子が統合失調症になる率は13%ですので、一般人口における100人に1人よりはリスクが高まりますが、統合失調症を発症しない人のほうがずっと多いといえます。

引用:「図解 やさしくわかる統合失調症」|功刀浩, ナツメ社(2012)

出典:https://www.amazon.co.jp/dp/4816352503
遺伝要因に加えて環境要因が合わさって、統合失調症の発症に影響を及ぼすとも考えられています。

■環境要因
環境要因としては生まれた季節や生まれ育った環境が関係すると考えられています。たとえば、晩冬や早春、都市部で育った子ども、少数民族の集団などが挙げられます。また胎児期から思春期にかけて起こった出来事も関連があると考えられています。胎児期におけるストレスや感染症への感染、幼児期の虐待などが挙げられます。

■脳内物質の異常
脳内で情報伝達の役割を担うドーパミンやセロトニンといった脳内物質の分泌量の異常が、統合失調症の要因の一つとして考えられています。

統合失調症の治療を受けるには

統合失調症の治療を受けるには

統合失調症を発症する人は自分が病気にかかっていると自覚していないことがほどんどです。本人が病院などの専門機関に行きたがらない場合、周囲の人が受診を勧めましょう。治療が早ければ早いほど回復が早くなります。早期発見、そして早めの治療がポイントになります。

受診先

統合失調症が疑われる場合は、神経科や精神科、精神神経科などを受診しましょう。病院により受診内容が異なることもあるので、受診できるかどうか事前に病院へ問い合わせて確認すると安心でしょう。本人が病院へ行くことがためらう場合は、保健所、精神保健福祉センターなどに相談するのも良いでしょう。

緊急の場合は精神科救急医療機関へ

緊急の場合には、夜間や休日でも受付している精神科救急医療機関にいきましょう。周囲の人に危害が及ぶほどの緊急事態の場合は、精神保健福祉法に基づき任意入院または医療保護入院などを行うことも選択肢となります。早めに専門機関に相談しましょう。

精神科救急の利用方法
■電話相談窓口
精神的な混乱や不合理な言動・自殺未遂などが自分や家族に急に起こったときは、各都道府県の精神科救急情報センターの連絡先をWeb等で検索して相談ください。そこで診察が必要と判定されたら、指定された病院に行くよう指示されます。

■救急搬送手段
混乱がひどい場合や本人が受診を拒否するような場合など、搬送手段をどうすべきかわからないときは、精神科救急情報センターに相談すると、アドバイスしてもらえます。再び119番して救急車を頼んだり、大暴れしているようならば110番通報して、パトカーに対応してもらうこともあります。

診察の流れ

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