統合失調症のプロセス

統合失調症にはいくつかの段階があります。それは時間の経過とともに症状や程度が少しずつ変化するからです。一般にうつ症状と似ている前兆期に始まり、興奮の激しい急性期、落ち込みの激しい消耗期を経て、回復期へとむかいます。

■前兆期
焦りと不安を感じ、感覚が過敏になったり気力がなくなる症状が現れます。例えばいらいらしたり、忘れっぽくなることなどが挙げられます。また頭痛や食欲減退が生じることもあり、身体の不調が起こり始めます。

■急性期
幻覚や幻覚、妄想などの、統合失調症に典型的な症状が現れます。この場合、光に敏感になることも多く生活リズムが崩れてしまうこともあります。例えば誰かに監視されているような妄想があったり、誰かが自分の悪口を言っているように幻聴が聞こえたりすることもあります。

■消耗期
疲れやすく、集中力がなくなるなどの症状が現れます。神経が消耗することからよく眠るようになります。また子どものような振る舞いがみられる退行が生じることもあります。これはエネルギー不足から生じる症状です。よく眠り、よく休むことでエネルギーを充電しているのです。

■回復期
エネルギーが次第に戻ってくると、治療などにより行動範囲が徐々に広がり、生活意欲が高まります。そこでリハビリテーションにより社会復帰を目指します。しかし社会復帰に向けてがんばるなかで焦りを感じ、状態が悪化する場合もありますので注意が必要です。

統合失調症が生じる要因

統合失調症はさまざまな要因が複雑に関係しています。いくつかの要因によりストレス耐性が弱まり、それをきっかけに発症すると考えられています。統合失調症が生じる要因としては主に環境要因と遺伝要因、脳内物質の異常の3つがあります。

■遺伝要因
遺伝要因は統合失調症の発症に関連していると考えられています。しかし、単純に親から子への遺伝だけが統合失調症の原因ではないということが研究で分かっています。あくまで、発症リスクが他の親子と比べて高いということに留まります。
統合失調症の親から生まれた子が統合失調症になる率は13%ですので、一般人口における100人に1人よりはリスクが高まりますが、統合失調症を発症しない人のほうがずっと多いといえます。

引用:「図解 やさしくわかる統合失調症」|功刀浩, ナツメ社(2012)
出典:https://www.amazon.co.jp/dp/4816352503
遺伝要因に加えて環境要因が合わさって、統合失調症の発症に影響を及ぼすとも考えられています。

■環境要因
環境要因としては生まれた季節や生まれ育った環境が関係すると考えられています。たとえば、晩冬や早春、都市部で育った子ども、少数民族の集団などが挙げられます。また胎児期から思春期にかけて起こった出来事も関連があると考えられています。胎児期におけるストレスや感染症への感染、幼児期の虐待などが挙げられます。

■脳内物質の異常
脳内で情報伝達の役割を担うドーパミンやセロトニンといった脳内物質の分泌量の異常が、統合失調症の要因の一つとして考えられています。
統合失調症 正しい理解と治療法 (健康ライブラリーイラスト版)
伊藤 順一郎
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参考:「図解 やさしくわかる統合失調症」|功刀浩, ナツメ社(2012)
https://www.amazon.co.jp/dp/4816352503

統合失調症の治療を受けるには

統合失調症を発症する人は自分が病気にかかっていると自覚していないことがほどんどです。本人が病院などの専門機関に行きたがらない場合、周囲の人が受診を勧めましょう。治療が早ければ早いほど回復が早くなります。早期発見、そして早めの治療がポイントになります。

受診先

統合失調症が疑われる場合は、神経科や精神科、精神神経科などを受診しましょう。病院により受診内容が異なることもあるので、受診できるかどうか事前に病院へ問い合わせて確認すると安心でしょう。本人が病院へ行くことがためらう場合は、保健所、精神保健福祉センターなどに相談するのも良いでしょう。
全国の精神保健福祉センター一覧 | 厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/yakubutsuranyou_taisaku/hoken_fukushi/index.html

緊急の場合は精神科救急医療機関へ

緊急の場合には、夜間や休日でも受付している精神科救急医療機関にいきましょう。周囲の人に危害が及ぶほどの緊急事態の場合は、精神保健福祉法に基づき任意入院または医療保護入院などを行うことも選択肢となります。早めに専門機関に相談しましょう。

精神科救急の利用方法
■電話相談窓口
精神的な混乱や不合理な言動・自殺未遂などが自分や家族に急に起こったときは、各都道府県の精神科救急情報センターの連絡先をWeb等で検索して相談ください。そこで診察が必要と判定されたら、指定された病院に行くよう指示されます。

■救急搬送手段
混乱がひどい場合や本人が受診を拒否するような場合など、搬送手段をどうすべきかわからないときは、精神科救急情報センターに相談すると、アドバイスしてもらえます。再び119番して救急車を頼んだり、大暴れしているようならば110番通報して、パトカーに対応してもらうこともあります。
参考:精神科救急|e-ヘルスネット
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-08-001.html

診察の流れ

診察では一般的に、問診と検査が行われます。

問診は本人やその家族に対して行われ、症状が始まった時期やその経過、生活への支障のきたし方、さらに家族歴、本人の態度や振る舞いについてなどが聞かれます。
そしてその後、CT検査や血液検査などを経て総合的に診断されます。

診察では、家族など身近な人からの情報も役立つことがあります。ただ本人が家族の同席を希望しないこともあります。そういった場合、本人は医者と、家族はカウンセラーやソーシャルワーカーといった専門家と面談するのがよいでしょう。
参考:統合失調症の診断フローチャート|統合失調症ナビ
https://www.mental-navi.net/togoshicchosho/treatment/diagnosis/chart.html

統合失調症の治療方法

統合失調症の治療には一般的に、薬物治療を併用しながら心理社会的療法(リハビリテーション)が行われます。薬物療法と他の療法を併用することによって、再発率が低下することがわかっています。

■薬物治療
薬物療法は抑うつ状態や不安を軽減し、気持ちを安定させることなどを目的としておこなわれます。薬物治療には抗精神病薬と補助治療薬を使います。主に抗精神病薬を主とし、他の精神病の症状がある場合に医師の判断により補助治療薬を併用します。

・抗精神病薬
抗精神病薬とは精神症状を和らげるために使うものです。幻覚や不安、神経症状といった陽性症状や陰性症状に対して有効です。

・補助治療薬
抗精神病薬のほか、補助治療薬が処方されることもあります。補助治療薬とはうつや不安、不眠など精神症状がある場合に、併用するお薬です。また副作用を和らげたり、気分の上がり下がりを安定させたりするような薬もあります。必要な場合は医師が判断し、服用します。

薬物治療は人により副作用が生じることがあります。これは服用する薬が神経へ働きかけているからです。薬物治療を行う際には必ず医師の指導に従い、副作用と疑われる症状が起きた場合には、自分で判断せず医師に相談しましょう。

起こりうる副作用について詳しくは次のサイトをご覧ください。
参考:統合失調症|みんなのメンタルヘルス
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/speciality/detail_into.html
参考:うつ病・統合失調症薬の副作用イラスト集とその使い方(医師) | COMHBO 地域精神福祉福祉機構
https://www.comhbo.net/?page_id=3130
■心理社会的療法(リハビリテーション)
心理社会的療法(リハビリテーション)はストレスの原因となるものを特定することや認知(ものの考え方やとらえ方)を変えることを目的としておこなわれます。カウンセリングなどを通して病気への理解を深めます。自分の考え方のくせを知ることでストレスへの対処法を学びます。またリハビリテーションを通して生きがいや働く力を育み、社会生活への復帰を目指します。

さらに本人が睡眠・生活バランスを整えたい場合や医師や家族が必要と判断する場合、入院を選択肢の一つとして考えることができます。入院には本人の意思のもとで行われる任意入院だけではなく、自傷他害のおそれのあったり、通常の日常生活をおくることが困難であったり、服薬や静養など治療に必要な最低限の約束を維持できかったりするときに行われる、本人の同意に基づかない入院もあります。
参考:医療保護入院制度について|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12201000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu-Kikakuka/0000115952.pdf
次ページ「統合失調症に対する望ましい接し方 」


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