「この子は私と違う人間なんだ」発達障害の次男に悩んでいた私が、栗原類さんの手記から学んだこと

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発達障害のある次男と、恐らくは特性があるだろうという自覚のある私。
俳優の栗原類さんと母の泉さんそれぞれの視点から見た「子供の発達障害」について書かれた手記を通して親としての自分のあり方を考え、見つめ直したことを綴ります。

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「私が子どもの頃はそんなことなかった」あまりに違う息子のことが理解できず…

教室を立ち歩く(私はやらなかった)

揶揄されてカッとなって手を出してしまう(私にはなかった)

テストのときに集中力が途切れて解かずに終えてしまう(私は途切れる前に解き終えて問題になることはなかった)

自分には経験のなかった彼の特性ゆえの言動に戸惑い、対処に困り、自分はそんなことしなかったのに…と過去を振り返る。
比べてはいけないと頭ではわかっているのに、過去の自分と現在の彼を、心の中でつい比べてしまう。

発達障害のある次男を育てていると、そんなことがよくあります。

もちろん、言葉に出してしまえば彼を傷つけるのはわかってる。

でも、私自身が精神的に辛いときなど、余裕がなくなるとつい、心の底の方で周りや自分と彼を比べて、「あれもできない、これもできない」という目で次男を見てしまいそうになる。

そんな自分が母親でいいのかと、怖くなることもありました。

栗原類さんの母、泉さんの経験に自分を重ねる

今回読んだ栗原類さんの新著『発達障害の僕が輝ける場所をみつけられた理由』では、私が抱えていたまさにその、母が息子と自分を比べてしまう困難についての経験が書かれていました。

栗原類さんの手記のあとに添えられていた、母の泉さんの手記。

アメリカで類さんが診断を受けるときに、ご自身の発達障害についても示唆され、その特性の違いにより自分と比べてしまう困難が起こっているだろうことについても指摘を受け、接し方について教育委員会から助言を得たエピソードがありました。

教育委員会での会議で「(略)あなたは自分が子どもの頃、何の苦労もなくできたことが、どうして息子さんにはできないんだろうと理解できないかもしれない。不思議でしょうがないでしょうね。だけどそう思ったときは、子どもの頃に自分ができなかったことをたくさん思い浮かべてください。そして、自分ができなかったことで息子さんができていることを、ひとつでも多く見つけてあげてください。そうすれば『なんでこんなこともできないの?』という気持ちがしずまり、子どもを褒めてあげられるようになります」と言われました。

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発達障害の僕が 輝ける場所を みつけられた理由   栗原 類 (著) KADOKAWA
本文より引用

出典:https://www.amazon.co.jp/dp/4046017775
「過去の自分なら出来たことと、子どもが出来ないことを比べない」

ここまでは私も頭には入っていましたが、
「子どもには出来ていて、過去の自分は出来なかったことと比べる」
という視点に、目からウロコが落ちる思いがしました。

「比べてはいけない」んじゃない、「彼の良い所と比べればいい」んだ!

息子に出来ること、私に出来ないこと

振り返ってみると、私自身にも「出来ないこと」はたくさんありました。

たとえば私は方向音痴で、初めて行く場所にはスマホのナビが欠かせません。2度目以降の場所でも入る道を1本間違えれば自分がどこにいるのかわからなくなったり、どっちの方角に向かえばよいか分からなくなることもあり、小さい頃からよく道に迷う子でした。

対して次男は、1度行った場所は経路の風景から現地の様子までしっかり記憶する力があり、まず道には迷いません。以前来た時と逆方向から入った商店街で私が迷っているときに、「この先にこれとあれがあって、何個めの角で曲がれば着くよ」と案内してくれたこともありました。

小さい頃の私は極度の人見知りで、小学生になっても近所のよく会う人にも挨拶ができず母の後ろに隠れていた記憶があります。今ではそんな片鱗は見せないのでこの話をすると周囲から意外だと言われますが、小学校低学年の頃までは顔を知っていても周りの大人と話すのを避けていました。

そんな私の子供なのに、次男は小さい頃から人見知りをせず登下校のときにも元気に挨拶をします。畑仕事をするおばあちゃんたちに挨拶をして世間話をし、ほりたてのジャガイモを袋一杯抱えて帰って来たりすることも。屈託なく話す様子が可愛いと近所のおばあちゃんたちの人気者です。

今までは、私が出来て彼が苦手なことばかり目についていました。

けれど、改めてゆっくり考えてみたら、私が苦手だけど彼が得意なことだって、たくさんあるのです。
このことに気づいたとき、障害のある子たちの保護者が集まる座談会で、司会者さんから言われたある一言を思い出しました。

「お子さんの良いところを話してください」

保護者の集まりは、ついつい子どもの問題行動やその対処法ばかりが中心になりがちです。

だけどその日は、司会者の方の投げかけにつられて、一人、また一人と参加者が子どものいいところを話し始めたのです。

「うちの子はとても優しくて、自分が疲れていると気にかけてくれるんです」
「お友達がお休みしたときに心配して、お手紙を書いていたことがあったわ」
「そういえば、いつも家の手伝いをよくしてくれます」

お子さんの良いところを話す皆さんに続いて私も、次男のことを話しました。
思いついたのは前述したような、自分が苦手だったけど次男がラクラクとこなすことばかりで。

順番に我が子の良いところを話していき、最後に司会者さんがおっしゃいました。

「その顔を、お子さんに見せてあげて」

ハッとしました。自分の顔の筋肉が緩んでいるのを感じたからです。

見回すと周りのお母さんたちの顔も本当に柔らかい、自然な笑顔でした。

凸凹な親子が一緒に生きるためにも、親自身が自分を見つめること

栗原さんの手記の中で母の泉さんが繰り返し書かれていたのが、いかに親である自分自身が良い状態を保つかということ。

発達障害児の育児は健常児の何倍も負担が大きい。

泉さんご自身も、ご実家や担当医をはじめとした周囲の方の協力を得ながら自分自身のメンテナンスをこころがけ、類さんに対して良い状態で接することができるような自己管理をされている様子が紹介されていました。

"子育てはロングラン。短距離走のように瞬間的に力を発揮しても、あとが続きません。"(本文より)

力を入れ過ぎず抜き過ぎず、自分たちのペースで。私と次男それぞれのペースで。

子どもが自分にちょうどいいタイミングで親から巣立って行くその日までを、一緒に走り抜くためにはどうしたらいいのか。
栗原さん親子のこれまでが綴られたこの手記には、そのためのヒントが詰まっていたように思います。

もちろん、私は私で、泉さんとは別の人間です。

泉さんが類さんにしてきたことと同じことを次男に与えることは、多分できない。

けれど、次男と他の3人の子たちそれぞれにとって、彼らの人生に並走するパートナーとしての親のあり方を改めて考えるきっかけを与えてもらえた、そんな1冊との出会いでした。
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(c)KADOKAWA, KAYO UME
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スパゲ さん
2016/11/13 01:43
私も幼稚園のころ自閉症で幼稚園を追い出されました。小学校から高校にかけて態度が
悪くイタズラや営業妨害や万引きを繰り返しておりました。110番通報され警察に逮捕されたことも
ございました。若い頃の過ちは52歳になった今では笑って済ますことができました。
今では反省をいたしております。

マーライオンまま さん
2016/10/19 22:08
共感して涙が出ました。私も息子の良いところ、出来るところを見ていきたいな、と改めて思います。ありがとうございます。

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みんなのアンケート

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