適応障害の症状・原因・治療法、適応障害の当事者へのサポートの仕方、適応障害とうつ病・不安障害との違いについて解説【医師監修】
適応障害は、生活の中で生じる日常的なストレスが原因となり、情緒面、行動面にさまざまな症状が現れ、社会生活に困難を生じる疾患です。さらに、ストレスを感じていても耐え続けたりすると重症化し、うつ病や不安障害などの疾患を発症することもあります。ここでは、適応障害の症状や原因、対処法、ほかの疾患との違いを紹介します。
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どんぐり発達クリニック院長
適応障害とは?
ストレスの感じ方やそのとらえ方は人それぞれです。大きなストレスを感じていても「気持ちの問題だ」などと我慢し、知らず知らずのうちに適応障害になっている人も少なくありません。さらに、ストレスに感じていることを我慢したり、耐え続けたりすると重症化し、うつ病や不安障害などの精神疾患を発症してしまうことがあります。気持ちや身体に不調が出てきたら、我慢や無理をせず、早めに病院に行くことが大切です。
適応障害の診断基準
しかし、適応障害とほかの精神疾患とを区別するのが難しい場合もあり、はじめは適応障害と診断された場合でも、その後、うつ病や統合失調症、不安障害などの診断名に変わることもあります。
適応障害の症状
「涙が止まらない」など精神症状の例
例えば、次のような症状が現れます。
・強い憂うつ感
・涙もろさ
・強い落ち込みや絶望感
・何もする気が起きないなど、思考力・集中力・判断力が低下する
・出来事や環境に対して神経質になる
・漠然とした不安感、過度の心配 など
年齢や社会的役割に不相応な行動
例えば、以下のような行為です。
・行き過ぎた暴飲暴食
・危険運転
・けんかをするなど攻撃的な行動
・無断欠席
・指しゃぶりや赤ちゃん言葉といった「赤ちゃん返り」のような行動
適応障害の原因は?(適応障害に)なりやすい人とは?
適応障害の原因
私たちは日ごろ、さまざまなストレスに囲まれて生活しています。一般的にストレスとは、外部から刺激を受けたときに生じる緊張状態をいいます。例えば、進学や就職、結婚のように一般的に良いとされることであっても、その変化によりある種の緊張を私たちは感じます。
こうした日々の緊張のとらえ方や、ストレスを受けたときの対応方法によって、ストレスは私たちに良い影響を与えることもあれば、悪い影響を与えることもあります。
適応障害は、ストレスが私たちの心身に悪い影響をもたらした場合に発症します。そのストレス源が一つの出来事であるとは限らず、さまざまな状況が重なって原因を形成することがあります。また、大きな出来事からくる単発的なストレスだけでなく、長年にわたり続いていたり、反復したりするストレスもあります。
◆適応障害の原因となるストレスの例
・家庭での問題
家族内における病気、介護、別居、子育て、子どもの反抗期、過干渉・過保護など
・友達・恋人との関係上の問題
浮気の発覚、離別、喧嘩、絶交 など
・学校、職場、近所関係上の問題
学力不振、いじめ、パワハラ、セクハラ、不信など
・心理社会的問題
家族や友人などの親しい人との死別、一人暮らし、異文化を受け入れる(留学など)、転校、仕事上の問題(失業・復業、勤務条件、業務量が過度に多い、決定権のなさ、業務の目的が不明)など
・大きな節目や行事
結婚、妊娠・出産、就職、昇進、卒業、子どもの独立、クリスマスなどのイベント行事など
・本人の健康の問題
病気、リハビリ、禁酒、禁煙、重病の疑いなど
・環境的な問題
引っ越し、経済状況、天災や戦争に遭遇など
適応障害になりやすい人の特徴はある?
では、適応障害になりやすい人の特徴はあるのでしょうか。適応障害の判断は、文化的な背景を考慮するべきだと考えられています。
以下では、現代で適応障害になりやすいといわれる特徴の一例を紹介します。
・感情の揺れ幅が大きい
・傷つきやすい
・自立神経のコントロールがうまくいかない
・0か100かで判断してしまう
・頼みごとなどを断れない
・まじめだが頑固
このほかには、ストレス経験が不十分なために、ストレス耐性が弱かったり、ストレスへの対処能力が低かったりする場合も考えられます。また明るく振舞っている人でも、実はストレスを抱えていて処理しきれずに適応障害になる可能性はあります。
適応障害の人への接し方、気をつけることとは?
適応障害の人に言葉をかけるとき
本人がストレスに感じていることをまずは傾聴し、身体が症状をきたすほどにきつい状態なのだと、受容する言葉がけをしましょう。
相談しやすい関係を築く
休みを取りやすい環境をつくる
そのほかにも、過剰な同情、支援、配慮をすることは本人の主体性を奪い、社会的責任を回避させることとなり現実逃避を助長させることになります。注意しましょう。
適応障害とほかの精神疾患や発達障害との関わり
うつ病
うつ病という診断を下すほど重症ではない場合、適応障害の診断がされます。しかし一度適応障害と診断されても、5年後には40%以上の人がうつ病などの診断名に変更されていることから、適応障害はより症状の重い疾患に至る前段階ともいえます。
適応障害ではストレスの原因から離れると症状が改善することが多くみられますが、うつ病の場合ストレスの原因から離れても気分は晴れず、持続的に憂うつ気分が続くという特徴があります。
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パーソナリティー障害
適応障害との鑑別に関しては、一般的に、適応障害発症以前から、どのような症状が見られていたかによって、パーソナリティー障害との区別や、合併の有無を判断します。
例えば、感情が不安定であり些細なことでも大きく反応してしまう場合、急に怒ったり反社会的な行為が見られたりする場合などは、パーソナリティー障害との合併が考えられます。
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不安障害
症状も適応障害ととてもよく似ていて、憂うつな気分、不安感、意欲や集中力の低下、イライラ感などといった精神的な反応や、頭痛、動悸、汗が異常に出るなどの身体的な反応が現れます。
適応障害との違いは、症状の持続する期間が一番分かりやすいかもしれません。急性適応障害の場合、6ヶ月未満であるのに対し、不安障害は6ヶ月以上症状が確認されることが診断基準の1つでもあります。ただ、6ヶ月以上症状が続いても持続性の適応障害であると判断されることもあるため、自己判断はせず専門家に相談しましょう。
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発達障害
発達障害の特性から生きづらさを感じたり、生活を送る上で困難が生じたりすることがあります。そのような困難からストレスを多く感じ、適応障害になることもあります。
友達とのコミュニケーションがうまくとれなかったり、自分の居場所を見つけられず孤独感を感じたりといった、発達特性と周囲の環境との不適応経験が、本人にとっての強いストレスとなる場合があります。そのため、発達障害の二次障害として適応障害が発生することは考えられます。
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適応障害かもしれないと思ったら?相談先や受診先
相談先
病院へ行くことに抵抗を感じる方は、電話での相談もおすすめです。相談できる時間帯は自治体によりますが、全国精神保健福祉センターには相談ダイヤルが設置されており、電話で相談できる環境が整っています。
受診先
適応障害の治療方法
中には、ストレスの原因を特定できても、それを除去できないケースも存在します。たとえば、身近な人の死別や離婚などは、原因となるその出来事自体をなかったことにすることはできません。そのような場合は、本人のストレスに対する考え方、捉え方を変えていきます。
精神療法により、ストレスの受けとめ方を変えていく一方で、薬物療法により現在現れている症状を軽減していきます。薬物療法は必ず行うわけではありません。
精神療法
そのほかにも補助的に認知療法などを取り入れる場合があります。
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薬物療法
ストレスによって起こるつらい精神症状を軽減することが目的の薬を、向精神薬といいます。主な向精神薬としては、抗不安薬、抗うつ薬、気分安定薬、抗精神病薬、睡眠薬の5つがあります。これらの薬は脳に直接作用するため、医師の指示通りに用法用量を守った正しい服用を心がけましょう。また体質によっては副作用が起こることもあるため、こまめに医師に相談しながら服用することをおすすめします。
適応障害はどのぐらいの期間続くの?
つまり、適応障害の期間は、ストレスの原因と状況次第であるといえます。その期間が6ヶ月未満の場合には急性、6ヶ月以上の場合には持続性と呼ばれます。
・急性(6ヶ月未満)
ストレスの原因が急に起こった場合はすぐ発症し、その原因がなくなれば比較的短い間(数ヶ月以上は続かない)で症状は消えます。
・持続性(6ヶ月以上)
ストレスの原因またはその結果として起こった出来事が長引く場合、障害も長期間存在し持続性の病型となります。
まとめ
何らかのストレスは誰もが感じるものですが、通常予測される以上の苦痛を感じ、心身に影響が及んでいる場合は適応障害と診断されます。適応障害をそのまま放置しておくと重症化し、うつ病や不安障害、またパーソナリティー障害などといった精神疾患へと発展してしまうことも少なくありません。
ストレスを「気持ちの問題だ」などと我慢したり、無理をせず早めに専門家に相談しましょう。
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