適応障害の治療方法

適応障害の治療は、ストレスの原因を突き止めることから始まります。ストレスの原因を取り除く、または解決することができれば、適応障害は6ヶ月以内に回復することがほとんどです。

中には、ストレスの原因を特定できても、それを除去できないケースも存在します。たとえば、身近な人の死別や離婚などは、原因となるその出来事自体をなかったことにすることはできません。そのような場合は、本人のストレスに対する考え方、捉え方を変えていきます。

精神療法により、ストレスの受けとめ方を変えていく一方で、薬物療法により現在現れている症状を軽減していきます。薬物療法は必ず行うわけではありません。

精神療法

カウンセリングなどを中心とした精神療法と共にストレスへの対処を中心に治療します。特に、支持療法を中心に行うことが多いです。支持療法とは、医師や心理士本人の話を聞いて、医師や心理士と信頼関係を築きながら、自尊心や自信、適応力を身につけていくことを目指す治療法です。

そのほかにも補助的に認知療法などを取り入れる場合があります。
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薬物療法

薬物療法では、不安、抑うつ、気分、興奮、睡眠を安定させるために薬を使用します。

ストレスによって起こるつらい精神症状を軽減することが目的の薬を、向精神薬といいます。主な向精神薬としては、抗不安薬、抗うつ薬、気分安定薬、抗精神病薬、睡眠薬の5つがあります。これらの薬は脳に直接作用するため、医師の指示通りに用法用量を守った正しい服用を心がけましょう。また体質によっては副作用が起こることもあるため、こまめに医師に相談しながら服用することをおすすめします。

適応障害はどのぐらいの期間続くの?

適応障害は、ストレスのもとである明確な出来事や状況の始まりから3ヶ月以内に気持ちの面または行動面の症状が出現します。しかしそのような出来事や状況が終わったり離れることができれば、6ヶ月以内に症状は治まるといわれています。

つまり、適応障害の期間は、ストレスの原因と状況次第であるといえます。その期間が6ヶ月未満の場合には急性、6ヶ月以上の場合には持続性と呼ばれます。

・急性(6ヶ月未満)
ストレスの原因が急に起こった場合はすぐ発症し、その原因がなくなれば比較的短い間(数ヶ月以上は続かない)で症状は消えます。

・持続性(6ヶ月以上)
ストレスの原因またはその結果として起こった出来事が長引く場合、障害も長期間存在し持続性の病型となります。
参考:DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル
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まとめ

適応障害とは、ストレスに適応できないためにさまざまな心身症状が現れ、日常生活をうまく送れなくなってしまう疾患です。

何らかのストレスは誰もが感じるものですが、通常予測される以上の苦痛を感じ、心身に影響が及んでいる場合は適応障害と診断されます。適応障害をそのまま放置しておくと重症化し、うつ病や不安障害、またパーソナリティー障害などといった精神疾患へと発展してしまうことも少なくありません。
ストレスを「気持ちの問題だ」などと我慢したり、無理をせず早めに専門家に相談しましょう。
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