子どもの癇癪(かんしゃく)とは?癇癪を起こす原因や発達障害との関連は?しんどいときの対応方法、相談先まとめ【専門家監修】
癇癪(かんしゃく)とは、声を荒げて泣いたり、激しく奇声を発したりするなどの興奮を伴う混乱状態を指します。原因はさまざまですが、生理的な不快さや、苦痛・拒否・要求などをうまく言葉で表現できないことなどが挙げられます。特に気持ちのコントロールがうまくできないときに起こりやすく、コミュニケーションの手段として習慣化することもあります。この記事では、癇癪の原因や年齢別の特徴、発達障害との関連、クールダウン方法などをご紹介します。
LITALICO研究所 スペシャルアドバイザー
癇癪(かんしゃく)とは? 原因や癇癪がもつ意味、癇癪が習慣化することによる問題など
この記事で分かること
- なぜ起こる?子どもの癇癪(かんしゃく)、年齢別の原因と隠されたサイン
- もしかして発達障害?癇癪とASD(自閉スペクトラム症)・ADHD(注意欠如多動症)の関連性
- 起きたらどうする?NG対応と正しい対応、クールダウンの具体的ステップ
- どう予防する?明日からできる癇癪の予防法と、親の悩み相談窓口リスト
癇癪(かんしゃく)とは?
癇癪は乳幼児期から児童期にも見られ、思春期、大人になっても続くこともあります。不快な刺激や状況を拒否したいとき、また自分の意見を主張したいときに、うまく表現できないときに起こりやすく、コミュニケーションの手段として習慣化することもあります。
具体的な癇癪の行動としては以下のようなものがあり、子どもによって異なります。
- 床にひっくり返って泣き叫んだりする
- 物を投げたり、自分の頭をものにぶつけたりする
- 床や壁などに頭を打ちつけたりする
- 周りの人を殴ったり蹴ったりする
- 手がつけられないほど暴れたりする
それまでは穏やかに過ごしていた子どもが突発的に癇癪を起こすこともあります。また過度な場合だと癇癪を起こしているときに、自制できない衝動的な行為として自分を傷つけてしまったり(自傷行動)、物を壊したり、他者を傷つけてしまう(他害)こともあり、保護者の方が不安になってしまうことも多いと思います。以下では、癇癪の原因、発達障害との関連、クールダウン方法などをご紹介します。
癇癪の原因、子どもはなぜ癇癪を起こすの?癇癪にはどんな意味があるの?
例えば、0歳~1歳ごろの赤ちゃんの癇癪は、生理的な不快さを表現しているといえます。1歳を過ぎると、保護者と自分のしたいことが違う場合の「拒否」の反応として、癇癪を起こすことがあります。2歳、3歳の癇癪は、自分にとっていやなことを解消するための手段となっている場合もあります。
癇癪を起こす子どもにはどのような背景があり、癇癪がどのような目的を達成するための役割を果たしているのかを、年代別に詳しく見ていきます。
乳児期(0歳~1歳)ごろの赤ちゃんにみられる生理的な反応としての癇癪
赤ちゃんが泣くと、保護者はあやしたり、ミルクをあげたりといった生理的な不快を解消するお世話をします。この関わりによって、赤ちゃんはコミュニケーションを学んでいきます。
ですので、赤ちゃんが癇癪を起したり泣いたりすることは、この時期に必要なことです。保護者はこの生理的要求に応えることが重要となっていきます。
1歳ごろからみられるコミュニケーションのための癇癪
これらの反応は、自分が保護者とは別の意図をもった人間であるということに、子どもが次第に気付いてきたという成長のあらわれです。
イヤイヤ期(2歳~3歳)ごろから言葉も加わり自分の意見を主張するように
2歳、3歳のころになると言葉も加わって「いやっ!」などといいながら自分の意見を主張します。これがいわゆる「イヤイヤ期」といわれる時期です。周囲の人と言葉でコミュニケーションができる子どもであれば、苦痛や拒否、要求などを適切に表現して伝え、助けを求めることができるでしょう。
例えば、おもちゃを取り上げられてしまって癇癪を起している子どもの状況を考えてみましょう。おもちゃを取り上げられた子どもにとっては「おもちゃが自分の手元からなくなったこと」が不都合なことです。そのおもちゃを取られたという状況をなくすために、手段として癇癪を起こすという行動の流れになります。
つまり癇癪を起こすことによって、おもちゃを自分の手元に取り戻すことが「目的の達成」といえます。
癇癪は幼児期、児童期にも見られ、思春期や大人になっても続くことも
癇癪と発達障害の違いは?関連はある?
癇癪はなんらかの不都合を取り除こうとしたり、困っているサインを発しているものですが、それだけでなく発達障害のある子どもの癇癪は、特性の影響を受けている傾向があります。
発達障害のある子どもに強く見られる4つの傾向である
1.感覚の問題とこだわり
2.自分の意思や気持ちを他者に伝えるのが苦手
3.他者と自分の意図をすり合わせるのが苦手
4.気持ちのコントロールが難しい
が癇癪の起こるきっかけと絡んでいる場合があるのです。
ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)など発達障害や、知的発達症(知的障害)のある子どもによく見られる4つの傾向と癇癪の関係
ASD(自閉スペクトラム症)のある子どもには、感覚過敏がある場合が多くあります。周りの子どもにとっては気にならない刺激であっても過敏に反応して癇癪を起こしてしまうことがあります。
また、ASD(自閉スペクトラム症)のある子どものこだわりや不安の強さによって、普段と違うことが起きたり、突然の予定変更に気持ちがついていかず、癇癪につながってしまうこともあります。
◆自分の意思や気持ちを他者に伝えるのが苦手
強い癇癪の背景には、言葉の理解と表出の発達に関するアンバランスさが影響している場合があります。また、知的発達症(知的障害)を併存する場合は言葉の発達全般に遅れが見られたり、身振りや手振りなど言葉以外での表現も苦手であることで、その伝わらないもどかしさや要求を伝えるための手段として、癇癪を起こしやすくなると考えられます。
このほかにも感覚の過敏性がある、決まったパターンが乱れることが苦手(同一性保持)、余暇の乏しさなどが、癇癪の背景にある場合もあります。
◆他者と自分の意図をすり合わせるのが苦手である
発達障害のある子どもたちは、他者の意思と自分の意思を調節することが難しい傾向があります。自分と他者の意思を調整するためには、まず相手の気持ちを把握した上で、「これぐらいなら譲れる(または要求できる)」という2つのステップが必要です。
ASD(自閉スペクトラム症)がある子どもの場合、まず最初に必要な相手の気持ちや意図を理解するというステップを通過することが難しく、そのために自分と相手の意図を調節するための材料を持ち合わせていない状態に陥りやすいのです。こだわりがある、他人のペースに合わせるのが苦手、ということもあります。
また、ADHD(注意欠如多動症)がある場合は、「やりたい」という気持ちを抑えるのが難しいために、相手の気持ちが分かったとしても、その気持ちを譲ることができないことと、感情がすぐに表面化することで、爆発的に怒ってしまうことがあります。
◆気持ちのコントロールが難しい
発達障害のある子どもたちは、この自己調整や衝動性のコントロールを行うことが難しい傾向があります。このような行動の工夫を行うことが苦手なので、不快な状況をそのまま経験することになり、ストレスが蓄積されていきます。最後には自分の気持ちをコントロールすることができずに不満や怒りが爆発して癇癪を起こすことがあります。
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子どもが癇癪を起したときの対応は?クールダウンの仕方も解説
子どもの安全を確保する
頭を床や壁にぶつけるなどの癇癪の場合には、クッションや枕を子どもと物の間に挟んで、怪我を防ぎましょう。
癇癪が生じている間は必要以上にかまわない
難しい状況もあると思いますが、できるかぎりほかのことに気を散らしたりして落ち着くまで待つほうがよいでしょう。
落ち着けたことを必ず褒める
時間が経ってからだと、癇癪を起して落ち着いたという一連の流れを忘れてしまうので、落ち着いたらその場で褒めてあげることを心がけましょう。
普段からの対策で子どもの癇癪を予防できる?
癇癪の起きにくい環境を整える(環境調整)
気になるものをなくす、不快な刺激を生み出すものを遠ざける、違うものに変更するなど
◆見通しの立てられるような言葉がけを
気持ちの切り替えを行うことは子どもにとっては難しいことです。いきなり遊びを中断されたりすることは子どもにとって大変ストレスなことなので、癇癪を起こす要因の1つとなります。
次の行動に移るためには、気持ちの準備をする時間が必要です。「〇〇したら、ご飯にしようね」など、次の行動が予測できるような声掛けを行うことで、子どもは行動を切り替えるための心の準備をすることができます。
視覚的に分かりやすくすることで、伝わりやすくなることもあります。スケジュールの変更を文字や絵、写真などで見せる理解しやすくなる場合もあります。スマートフォンやゲーム、テレビなどの利用時間を制限したい場合には、タイマーなどを使用して終わりの時間を視覚化するのもおすすめです。
このほかにも、感覚過敏の場合、苦手な環境や状況を避ける、こだわりが強くおもちゃの取り合いになるときはおもちゃの数を増やすなど、癇癪の背景にある特性に合わせて、癇癪が起きにくい環境を整えることが大切です。
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「今、自分はこんな気持ちだ」ということが周囲に知ってもらうだけでも、気持ちが楽になっていくこともあります。言葉で気持ちを伝えるのが難しい場合、絵カードやコミュニケーション支援アプリを使って視覚的に気持ちを伝える方法を教えるとよいでしょう。
ここでは、ツールの例を1つご紹介します。癇癪は徐々にいらだちが募り、爆発を起こすというパターンが多くなります。ですので、爆発を起こしてしまう前のイライラしているという状態を視覚的に示すカードを用意します。「落ち着いている」「少しイライラしている」「とてもイライラしている」「我慢できない」などとカードに感情を表す絵を描いて子どもの目に見える場所に置いておきます。
簡単なことですが「困ったらどうしたらいいか」を教えてあげることも、子どもが、癇癪を起さないための1つの方法です。というのも子どもの場合には、ネガティブな感情をもったときにそれをどのように処理したり扱ったりしたらよいか分からないことがあります。例えば、「どうしたらいいか分からないときには『困った』って言うんだよ」などと、困ったときに口に出すべき具体的なセリフを教えてあげることで、「困ったときには人に頼ってもいいんだ」という安心感が生まれます。
・ルールを一緒に決める
言葉を理解し、話すことができるくらいの年齢の子どもに対して有効な方法です。一番になれないときに、癇癪を起こしてしまう場合やおもちゃの取り合いでトラブルになってしまう場合、癇癪が起きていないときに子どもと一緒にルールを決めておくと良いでしょう。
・対処法を子どもと考える
怒りの真っただ中にいるときには大人でさえ、冷静さを取り戻すのは大変難しいものです。
このようなコントロールの難しい心理状態でも、あらかじめ対処方法について大人と子どもが一緒に考えることで備えることができます。普段穏やかな状態のときに「怒っちゃったときにはどうするのがいいかな?」と子どもと大人で話し合っておくのです。
例えば、以下のような方法が考えられます。子どもによって、落ち着くことのできる方法はさまざまなので子どもに合わせた方法を選びましょう。
・子どもが好きな匂い袋を嗅ぐ
・つぶやくと落ち着く言葉を覚える(魔法のことば)
・新聞紙を破る
・(家庭/園/学校などの場合)特定の落ち着く場所を決め、不安になったときに行くようにする
・布団や毛布にくるまる など
以下のコラムでは、「景色を見ながら、そこにあるものを読み上げ」て、自らの怒りを抑えることを子ども自身が編み出したエピソードが掲載されています。
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不適切な対処は、癇癪をエスカレートさせてしまう
子どもの癇癪に引きずられないように身を守る
保護者の方の心が乱れていては、子どもに冷静に対応することはできません。
物が飛んできたり、殴りかかってきたりと怒りの矛先が自分に向いたときには距離をとることも大切です。許しがたい暴言に言い返したくなったり、心が傷つけられたりしそうなこともあるかもしれません。癇癪中の子どもの暴言の多くは深い意味はありません。そのような言葉は「この子は苦しいっていっているんだ」のように捉えるようにしてみましょう。
感情的な叱責は逆効果
頭ごなしに叱りつけたり、暴力をふるったりすると、子どもは混乱して癇癪をエスカレートさせてしまいます。気持ちが不安定になったり、感情的な人の前でだけ自分を抑えるなどの問題にもつながりやすくなります。
・モノでその場をおさめると繰り返しやすくなる
おもちゃやお菓子を与えると、子どもの癇癪が止むこともあるので、癇癪の対応方法として一見効果的に思われますが、子どもに「癇癪を起こすとなにかいいことがある」と思わせてしまう要因となります。また、要求を通さないと最初に子どもに言ったならば、その態度を貫き一貫性をもって接することが大切です。
ただ、乳児期の子どもの泣きやぐずりについては、子どもと保護者の信頼関係を築くための大切なコミュニケーション手段となり、その後の子どもの気持ちの発達の基礎となるので、子どもの要求に合わせて応対するという姿勢が必要です。
子どもの癇癪に悩んだら、早めに相談を
もし現在子どもとの関わり方や、癇癪への対応に一人で悩まれているのでしたら、なるべく早く相談できる味方を見つけることをおすすめします。
子育て支援センター
くわしくは、お住いの市区町村のHP内の子育て・育児のページをご覧ください。
子育て支援センターとは?サービス内容や活用方法/専門家監修
児童発達支援事業所・放課後等デイサービス
また施設にもよりますが、言語聴覚士や理学療法士、 作業療法士などの専門家による支援を受けられる場合もあります。利用までにはお住まいの自治体の福祉担当窓口への申請が必要となりますが「通所受給者証」を取得することで、低い自己負担額で利用できます。
児童発達支援とは?サービスや費用、手続きの流れなど【専門家監修】
放課後等デイサービス(放デイ)とは?利用方法、費用など【専門家監修】
発達障害者支援センター
発達障害者支援センターとは?利用方法、サービス内容など【専門家監修】
医療機関
あまりに高頻度で長時間の癇癪が続いたり、自傷行動を行うなど身体的、精神的にダメージが大きいときや、解決に緊急性が求められるときには医療機関への相談も選択肢の1つです。医療機関に相談する場合、「発達外来」や「小児神経科」「児童精神科」が専門となります。
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発達ナビPLUS
まとめ
癇癪は赤ちゃんから幼児期、児童期にも見られ、思春期や大人になっても続くこともあります。
言葉がなかなか出ずに、自分の気持ちを表現できないもどかしさがあったり、相手の気持ちが見えづらいために自分の思いだけが先行してしまったりするというように、癇癪には何らかの背景が隠れています。
発達段階やその場の状況によって原因は異なるものの、癇癪が起きているときには、「何か不都合を取り除こうとしている」そして「困っているというサインを発している」と考えられます。
事前の対策としての環境調整や、癇癪が起こってしまった際のさまざまなクールダウン方法などもご紹介しましたが、子どもがたびたび過剰に癇癪を起こす場合、保護者が一人で継続して向き合うことは簡単ではありません。子どもの激しい癇癪に悩んでいたり、保護者の負担が多くなってしまっている場合は、抱え込まずに専門家に相談をしてみましょう。
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