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[第2回]

「出来ないことに引きずられない。」 両親のもと、自由に好きなことに没頭した子ども時代

ソニーコンピュータサイエンス研究所の研究員として、そして株式会社Xiborg(サイボーグ)の代表として、義足の研究開発をされている遠藤謙さんにお話を伺います。連載第2回では、幼少期に熱中したことや、「自由にやらせてくれた」というご両親について話していただきました。また、好きなことに熱中する一方で、不得意なことにはどう対処するかについての考えもお聞きしました。

なんでも自由に、自分の意思にまかせてくれた両親

編集部:前回は、現在のお仕事である義足の研究開発に至るまでのエピソードや、MIT(マサチューセッツ工科大学)への留学を決めた理由などをお伺いしました。

「留学費用をどうまかなうか」というご両親との話し合いが印象深かった、と…。
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遠藤:ええ、当時24歳でしたので、働いてもいい年齢でした。

MITの学費は400万円くらい。その上アメリカでの生活費もかかる。どうしようかなと迷っていたら、「最初の一年はなんとかしてやるから、後は自分でなんとかしろ」と言って、背中を押してくれました。

あの一言は忘れられないですね。

結局はリサーチアシスタントとして学費と生活費ををもらえたので良かったのですが。

編集部:高校生のころに「留学したい」と伝えた時は、目的が不明確で反対されたとおっしゃっていましたが、他にも、ご両親がこれまで遠藤さんの決断に反対されることはあったのでしょうか。

遠藤:注意されたり、止められたりというのは無いです。どんな場面でも、無いですね。あれを伸ばせ、これを勉強しろというのも無かったです。自由にやらせてもらってましたね。

編集部:そうなんですね、そんな「自由」な環境の中で熱中していたことはありますか。

遠藤:ゲーム…ですかね?僕はまさにファミコン世代で、ゲームをひたすらやってました。 あ、ドラクエって、わかりますか?心配になってきた。

編集部:大丈夫です。わかります(笑)。

遠藤:僕の世代は人気絶頂期でしたから、新しいのが出たら数日間はつきっきりでやる、みたいな世界でした。

編集部:新作はみんな並んで買ってましたよね。
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遠藤:そう、それで一週間後くらいにはクリアしちゃって、クラスの中での順位が決まる。僕は一番目にクリアしましたよ。…ドラクエ4だけでしたけど(笑)。

編集部:一度クリアしたら、熱は冷めるものなんですか。

遠藤:それが、クリアしても何度もやるんです。レベルをあげたり、違うルートを行ってみたり、はぐれメタルが仲間になるとか、クリアするために必要じゃない要素も全部やりきりたいタイプ。

編集部:こだわりですね(笑)。

遠藤:そう思います(笑)。親に「ほどほどにしなさいよ」と言われながらもやってましたね。もちろん学校はちゃんと行っていましたけど。

夢中になってやる。「もっと知りたい」という気持ちにまっすぐに

遠藤:あとはミニ四駆、あれはハマってましたね。

編集部:ミニ四駆ですか?

遠藤:そうです、既存のものを改造して、速く走れるようにして大会に出るんです。子どもが読む漫画雑誌の、「コロコロコミック」と「コミックボンボン」って人気のが2つあって。あ、「コロコロコミック」とか知ってます?

編集部:はい、今のところついていけてます(笑)。

遠藤:よかった。「コロコロコミック」には当時必ずミニ四駆の情報が入っていたんです。だからそれを読んでは改造し、読んでは改造し。相当やりましたよ。

編集部:大会みたいなのもありましたよね。

遠藤:そう!

大会に出るためには標準パーツがあってそれを使わないといけないとか、穴を開けるにも何%までとかルールがあって。今は自由度がないと思うけど、当時はかっこいいのが作りたいと思って、一生懸命目指してましたよ。
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遠藤:ジャパンカップっていう大会にでたかったけど、僕の住んでいる沼津から小学生一人で行ける距離ではなかったので諦めました。でも沼津市内でお店の人が主催する会があって、それには優勝したことはあります。

編集部:子どもの頃から興味関心に対してまっすぐだったんですね。どんどん深堀っていくというか。

遠藤:そうかもしれないですねえ。

編集部:逆に苦手なこともあるんですか。

遠藤:うーん、勉強で困ったことは無いですけど、しいて言うなら音楽の授業はあまり好きじゃなかったです。

「積極的に辞める」ことも多い。自分の目的が明確だから選べる。

編集部:中高はバスケットボールに熱中していたとか。

遠藤:そうですね、それも「背が高いからいいんじゃない」と言われたことがキッカケで。

編集部:ざっくり(笑)。

遠藤:実際やってみたらおもしろかったんですよね。バスケットって騙し合いなんですよ。足の速さやシュートの正確さを競うだけじゃなくて、試合の中で1:1で付かれたときに如何に抜くのか、それともシュートを打つのか。いくつかパターンかあって、色んな騙し方があります。それを考えるのも面白かった。

編集部:面白い。バスケを騙し合いとして見たことがなかったです。

遠藤:でも、うまくはならなかったですね。中学校のときはNBA(北米のプロリーグ)を目指していたけど、チームも強くなかったし、インターハイすら遠かったです。プロは目指していたけど、途中で積極的に目標を切り替えました。

編集部:積極的に、ですか?

遠藤:そうですね。部活レベルで留めることにしました。他にも積極的にやめてきた物事はけっこう多かったと思います。

編集部:なるほど。前回のお話でも、「1番だと嬉しいけど、そうでなくてもまあいい」タイプだとおっしゃっていましたが、中高で熱中していたバスケも、スッと切り替えられたんですね。

遠藤:そうですね。

今もパラリンピックを盛り上げようという視点でみると、例えば為末(元陸上競技選手の為末大さん)は、SNSを使った情報発信や意思の発信が上手ですよね。僕もそれができたらすごくいいなと思うけど、できないと思う。

だから僕は、SNSでの情報発信ではなくてモノを作る方向にコミットしてますし、そこに「なんで僕はできないんだろう…」という未練のようなものは、あまり無いです。

編集部:なるほど。この流れで、遠藤さんの「出来ないこと」の話をもう少し。

遠藤:あります、さきほど「勉強で困ったことはほとんどない」と言いましたけど、僕は生活能力が圧倒的に低い(笑)。
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編集部:生活能力ですか。研究と会社と、ご多忙の中でどう管理してらっしゃるのですか。

遠藤:日本に帰国してから「スケジュール管理が苦手なんだ」と気づいて、そこからは自分1人でやらないようにしました。事務を担当してくださる方に頼ってますね。

そうでないと大事なスケジュールも遅れたり忘れたりして、怒られるんです。時間の計算ができないんですかね…。

編集部:意外な一面といいますか…。

遠藤:あとはコミュニケーション能力が低い。初対面で、「感じよくしゃべる」ということが苦手です。「頑張ってもうまくいかない」ですね。だから交友関係も少ない方だと思っています。

編集部:それは学生の頃からですか?

遠藤:そうですねえ、部活や研究室の仲間とはもちろん話しますけど、クラス単位の活動とかは積極的ではなかったかも。ギラギラしている目立つ子たち、苦手で(笑)。

編集部:勉強もスポーツもできて、クラスの中心的存在だったのかなと思ってました…!

遠藤:いやいや全然です。でもだからといって、さっきの為末の話と同じですけど、すごい社交的な友人を見て落ち込むことも無かったんで、そんなに気にしていなかったですね。

次回は

「出来なかったことに引きずられない考え」をお持ちの遠藤さん。
次回は、「自分の熱量を何に傾けるべきか」ということをお伺いしたいと思います。
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