子どもの指差しは言葉の発達と関わりがあるの?指差しをしないときの原因や引き出す工夫、相談先まとめ

2016/11/07 更新
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子どもの1歳半健診では、「指差し」が出ているかどうかを確認されます。指差しって子どもが育つためにそんなに重要なの?という疑問のある方もいらっしゃるかもしれません。指差しは「ことばの前のことば」といわれており、コミュニケーションのための大切なしぐさです。ここでは、指差しの種類や、出ないときの原因、生活の中でできる工夫についてお伝えします。

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目次

「伝えたい!」子どもの指差しが言葉につながる

「指差し」とは、興味のあるものや、欲しいものに対して人差し指を向ける子どもの行動です。指差しの仕方は、子どもによりさまざまで、子どもによっては人差し指ではなく中指を使ったり、手全体を使ってものを指し示したりする場合もあります。

指差しには、子どもが育っていく上で大変重要な役割があります。

まだ十分に言葉を話すことのできない子どもにとって、指差しは大切なコミュニケーションの道具です。指差しは、発語と深いかかわりがあります。言葉が出る前から始まるので、「ことばの前のことば」と言われる場合もあります。

指差しは、子どもがさまざまな力を獲得したことを示す目印となります。例えば、何かに興味をもつ力や、共感する力、他人の意図を読み取る力などです。

相手と目を合わせて笑う、という二者間の関係しか持つことのできなかった子どもは、指差しを使って「自分と相手ともうひとつ」という三者の関係を持てるようになります。そのような関係の広がりは、その後の子どもの育ちにも大きく関わってきます。
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指差しは言葉の育ちの中のひとつのステップです。
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身につける力とともに変わる指差しの意味

子どもは生まれたその瞬間から、さまざまな力を身につけていきます。指差しが出始めてからも、子どものコミュニケーション力は育ち、それととともに、指差しの種類も増えていきます。

あまり細かい分類にこだわる必要はありませんが、指差しのステップについて知っておくことで、子どもが指差しをしたときに、どのような力を身につけているのかを知る手がかりになります。

指差しの前のサイン

赤ちゃんを抱っこして「○○だよー」と声をかけると、大人が視線を向ける物に自分も目を向け、一緒に見ることがあります。これは、相手が興味を持っている方向を察して、その方向には何かがあると推測する力が身についたことのサインです。これができるようになると、もう少しで指差しが出るようになります。

自発の指差し

自分の興味関心のあるものを見つけたときに指をさすことを、「自発の指差し」といいます。それまでは「相手と自分」という2つの関係だけで満足していた子どもが、周囲の環境や物に対して関心をもつようになると、この指差しが出るようになります。

要求の指差し

自分の欲しいものに対して「あー」などと声を出しながら、しきりに指をさすことを、「要求の指差し」といいます。

感動の指差し

子どもが自身の興味のある物を見つけたときや心を動かされたときに、指差しを使って、「僕の好きなものがあるよ!見て!」と大人に教えることを、「感動の指差し」といいます。このとき子どもは、「あー」「うー」などと声を出したり、大人のほうを見たりしてアピールをします。叙述の指差しや定位の指差しとも呼ばれます。

感動の指差しをするとき、好きなものという「対象」を相手と「共有する」力を身につけている状態だといえるでしょう。その説明については下に述べます。

応答の指差し

「○○はどれ?」と聞かれたときに、その答えを指すことを、「応答の指差し」といいます。これができる頃には、「~持ってきて」などの言葉による簡単な指示を理解して行動できるようになります。

対象物が目の前にないときにも、そちらの方向を指差すことができるようになります。例えば、「お母さんはどこ?」と聞かれると、目の前にいない母親の方向を指差すなどです。

指差しの習得とともに育つ、「共有する」力

子どもは、人や物などの他者とのかかわりの中で育っていきます。

乳児期のはじめの段階では、「物と自分」、「大人と自分」という2つの関係でしかやりとりをすることができなかった子どもは、やがて「自分と大人ともうひとつ」というように3つの関係をつくることができるようになります。
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例えば、大人と子どもの前にバナナがある光景を考えてみましょう。大人がバナナだね、と言いながらその方向を見ます。すると、子どもは大人が見たのと同じようにバナナを見ます。

ここで、バナナを中心として、「大人」「子ども」「バナナ」という三角形ができます。大人の目と子どもの目が、同じバナナに注目している状態です。これを「三項関係」といい、子どもが発達しているかどうかを見るときの大切なパラメーターとされています。

感動の指差しをする頃には、この三項関係が成立している状態です。「あっ、ちょうちょがいたよ」と言うかのように指差しを使い、自らの心を動かされたものを大人と共有しようとします。他の人と何かを共有することで、その子どもの世界はより広がりを持つようになります。

指差しが出ないときに確認したい4つのポイント

乳幼児健診の検査項目にもあるように、指差しは子どもの発達を確かめるための指標とされています。この記事を読んでおられる方の中には、1歳半健診などでお子さんの指差しが出ないと指摘され、心配されているご家族もいるのではないでしょうか。

先ほどの章で、指差しが出るために必要な力について述べました。さまざまな力が獲得されてこそはじめて出る指差しですが、この章では、指差しが出ないときに確認したいポイントについてお伝えします。

聴覚機能に問題がないかどうか

聴覚機能に問題がある場合には、音がよく聞こえていないために、相手からの呼びかけに応じる指差しが出ないということが考えられます。

聴覚機能に問題がある場合には、聞こえを改善する治療のほかに、視覚的な手段を使ったコミュニケーションをとる方法についてサポートを受けるといった対応が望まれます。

1歳半、3歳の乳幼児健診のときにも、耳の聞こえのチェックが行われますが、耳の聞こえは家庭生活の中で見つかることも多いです。心配なときには、以下のチェックリストを参照して、聴覚に問題がないか確認してみるとよいでしょう。

大人が指をさした方向を見るかどうか

お子さんが指差しをできず悩まれている方は、大人が指をさした方向を見るかどうかを確認してみましょう。

これは、相手が「そちらの方向を見ている」という意図を感じ取って、大人が見る視線の先に何かがあると期待する力です。言いかえれば、相手が何に関心をもっているのかを理解する力です。この力がある場合には、大人が指をさした方向に目を向けたり、大人が見ている方向を同じようにして見ることができます。

この力がまだ弱い場合には、大人が指をさしたとき、大人の指のさす方向に目を向けずに、指そのものを見たり、大人が何かを見ているときにも、それに気がつかなかったりします。

何かを発見したときに相手のほうを見るかどうか

子どもが何かを発見したり、何かに興味関心をもっているときの行動に注目してみましょう。

自分の興味関心のあることを他の人に伝えたいという気持ちが指差しとなって現れます。しかし、子どもの中に「相手に何かを伝えたい」「相手と何かを共有したい」という気持ちが弱いと指差しが出ないことがあります。

言葉の意味の理解ができているかどうか

言葉の意味の理解が弱い場合には、「りんごはどっち?」など相手からの呼びかけに対して応じる指差しが出ないことがあります。

子どもが、身の回りの言葉をどれくらい理解できているかどうか、生活の中で注意してみてください。例えば、子どもの興味関心のあるおもちゃや絵本、食べ物などを「持ってきて」などと簡単な指示をして、子どもの反応を見てみるとよいでしょう。そのときに、実際に何かを持ってきたり、探す素振りをする場合には言葉の意味は理解できていると考えられます。

指差しが出ないことと、発達障害の関連はあるの?

子どもの指差しが出ないことで、発達障害ではないかと心配されることもあるかもしれませんが、指差しをしないからといって必ずしも発達障害であるわけではありません。

発達障害の一つである自閉症スペクトラム障害の子どもの中には、周囲にあまり興味を持たない傾向があり、指差しがなかなか出ないという子どももいます。

しかし、実際に発達障害があると診断されるかどうかは、他者とのコミュニケーションがとりにくい、人と気持ちを交わすことが難しい、活動の対象や興味の幅が限られるなどといった、複数の診断項目にどの程度該当するかによって決まるため、指差しの有無だけで直ちに発達障害と診断されるわけではありません。

子どもの指差しがなかなか出ない場合でも、発達障害だとすぐに自己判断するのではなく、前述の4つのポイントを意識して子どもの発達状態を探り、必要に応じて専門家のアドバイスを受けながら子どもとの関わり方を工夫してみましょう。
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指差しを引き出すための工夫

ここでは、子どもの指差しを引き出すための工夫についてお伝えします。周囲の環境を整える方法と、お子さんへの関わり方を工夫する方法の、大きく2つがあります。

環境を整える

◇テレビの長時間視聴は避け、子どもが他人と関わる時間を増やす
テレビをつけていると子どもが集中して静かになるので、子育て中の親にとってテレビは便利な道具でもあります。しかし、だからといって、テレビをあまりに長時間見せていると、子どもの発達が妨げられるおそれもあると言われています。

テレビからは一方的な情報が流れてくるので、子どもは受け身になってしまいます。テレビから受動的に情報を受け取っているときには、人とやりとりを行うのは難しいです。

子どもがテレビを長時間視聴することは避け、他人と直接やりとりする機会を増やすことを意識しましょう。他人と一緒に楽しい時間を過ごすことで、愛着関係が形成され、より相手に何かを伝えたいという気持ちを促すことができます。

ただ、テレビ番組を見ながら、歌や踊りを覚えることもあります。絶対にテレビを見せてはいけないと、かたくなになるのではなく、一緒に踊ったり、歌ったりしながら、親子がともに楽しむコミュニケーションのツールとして活用すると良いでしょう。

◇五感を使った体験ができる環境を作る
具体的にものにふれたり、身体を使った遊びや活動を行ったり、見たり、聞いたり、味わったりと、五感の器官を十分に使って世界にふれあうことのできる環境を作り、子どものやりとりや遊びを豊かで楽しいものにすることを意識しましょう。

豊かな生活体験の中で引き起こされる、相手に自分の感じていることや考えを伝えたいという思い、それが指差しを引き出していくきっかけになります。

子どもへの関わりを工夫する

◇指差ししながら声かけする
絵本に描かれている絵を、人差し指でさしながら読んであげましょう。そのときに、りんごや車などのモノの名前や形がはっきりと描かれている絵本を選ぶことがポイントです。

はっきりと子どもの耳に届きやすい声で、スキンシップを交えながら読んであげてください。大人の動作を真似して、指差しをしやすくなると言われています。

◇子どもの好きな遊びを一緒にやってみる
誰かに何かを伝えたいという気持ちを育てるためには、人と一緒に遊ぶ楽しさを味わうことが一番です。子どもの作る世界に大人が入っていってみることを心がけましょう。

例えば、ミニカーを一列に並べている子どもがいるとします。たとえ、保護者の方が「その遊びの楽しさがわからない」と思ったとしても、まずは一緒に同じことをしてみてください。楽しさそのものがわからなくても、お子さんは、保護者の方が同じことをしていると気がつきます。ミニカーを「はい、どうぞ」と言いながら手渡すなど、やり取りの中で積極的に声をかけることも効果的です。このように子どもの遊びに積極的に関わっていくと、最初は一方的だったとしても、次第にコミュニケーションが生まれていきます。

また、他には、子どもの様子から思っていることを予測して声かけをしてあげたり、ボディタッチなど体のふれあいを通した遊びを取り入れましょう。信頼関係を築くことは、やりとりを行いたいという前向きな気持ちを促し、指差しを引き出すきっかけとなります。

◇2つのものの中から選ばせる
2つのものを示して子どもが主体的に選択できる機会を作ってあげるといいでしょう。

例えば、りんごとみかんを見せて「りんごとみかん、どっちがいい?」「大きいクッキーと小さいクッキー、どっちがいい?」などです。選ばせるときには、「どっちがいい?」「どちらで遊ぶ?」などと、好きなものを指を使って選びとるような課題がよいでしょう。

2つの差し出されたものから自分の指を使って、ひとつを選ぶという経験は、大きい小さい、高い低い、長い短いという対比の概念の理解にもつながっていきます。

指差しが出なくて心配なときは、専門機関に相談してみましょう

乳児期の子どもの発達には個人差があります。時間がたてば、指差しが出てくることもあり、心配が取りこし苦労だったという場合もあります。

しかし、専門機関に相談してみることで、子どもの発達に関するアドバイスをいただいたり、より専門的な支援が必要と判断された場合に適切な専門機関を紹介してもらえたりします。気になることがあるときには、以下のような専門機関を訪れてみるとよいでしょう。

小児科

小児科は子どもの病気の診療だけではなく、子どもの発達に関する悩みごとの相談にも乗ってくれます。より子どもの発達に詳しい専門機関などの情報も持っており、地元の専門機関を紹介してくれる場合もあります。

地域子育て支援センター

行政や自治体が実施主体となって行っている事業です。子育て中の親子が気軽に集い、交流や子育ての不安・悩みを相談できる場を提供することを目的として各地域に設置されています。無料で相談をすることができます。

児童相談所(こども相談所)

0~17歳の児童を対象として、育児の相談、健康の相談、発達の相談など、さまざまな相談を受け付けています。必要に応じて、発達検査を行う場合もあり、無料で医師や保健師、心理士、言語聴覚士などから支援やアドバイスをもらうことができます。基本的に予約制なので、あらかじめお住まいの市町村のHPなどを見て確認するようにしましょう。

乳幼児健康診査

乳幼児健診は、各市町村の保健センターなどで行われているもので、、子どもの心身の発達状態の確認や、病気の早期発見や予防をするための検査です。保護者が普段の子育てで疑問に思っていることや、なかなか話す機会がない不安などを専門家に相談できる場でもあります。

また、乳幼児健康診査は、同じ月齢期の赤ちゃんを育てる保護者も来ており、子育てを同じくする人と情報交換できる場所でもあるので、上手に活用しましょう。

児童発達支援

児童発達支援とは、小学校就学前の6歳までの障害のある子どもが主に通い、支援を受けるための施設です。日常生活の自立支援や機能訓練を行ったり、保育園や幼稚園のように遊びや学びの場を提供したりといった障害児への支援を目的にしています。

児童発達支援は、支援が必要であると認められた、未就学の障害のある子どもが対象の福祉サービスです。自治体に申請を出し、受給者証を取得することで、1割の自己負担でサービスを利用することができます。

以下のリンクから、全国の子どもの発達支援を専門に行っている施設や機関を検索することができます。
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専門機関に相談する前には、普段の生活の中でのコミュニケーションの様子や好きな遊びなど、子どもの様子をメモしておくとよいでしょう。

普段の子どもの様子を伝えることは、専門家が子どもの発達段階を把握するために役立ちます。そうすることで、生活の中で取り入れられる工夫や気をつけるべきことについて専門家から教えてもらいやすくなります。

まとめ

子どもの指差しの役割や種類、また指差しが出ないときに確認したいことや、引き出すための工夫についてご紹介しました。

指差しは、言葉を話すことのできない子どもにとって大切なコミュニケーションの道具です。指差しを使って、「自分と相手ともうひとつ」というように関係を広げ、自分の想いを他者に伝えていきます。

子どもの指差しが出るためには、物や人とのかかわりの中からさまざまな力を得ていることが必要となります。指差しが出ないときには、まずは子どもがどのようなことに興味があるのか、好きなのものは何か、と子どもの世界に寄り添いながら、その経験を豊かなものにしてあげましょう。
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